温度
あっつ!
思わず口にしてしまうほど、風呂桶に張られた水は熱かった。
もう一度、もう一度。
おそるおそる足を湯気立つ水面に近づけていく。
触れて、跳ね上がって、また触れる。
ちゃぷん。
そんな気の抜けた音とともに、右足がお湯の中へと吸い込まれていく。
底に足がついたところで、大きく息が漏れた。
一度入ってしまえばこっちのもので、先ほどのためらいが嘘のように身体から力が抜けていく。
温かい湯に体を包まれ、目を閉じる。
かすかな浮遊感と心地よさに身を委ねる。
冬の入浴はまだまだ長くなりそうだった。




