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太陽の貴公子番外編  作者: みずっち
10/14

2017年3月末

>早苗のターン!


>舞を唆す

「なぁ陽輔ぇ」

「まだ言うんですか」

「だってよー」


都内のアパートの一室で、早苗が陽輔にまとわり付いている。


「もー、叔母さんたら~」


舞が困った顔で呆れ気味に溜め息を吐いた。

発端は、いつもの如く、早苗の我儘であった。

陽輔がアパートを契約した時は大人しくしていたのに、舞が下宿する予定である早苗の家から、電車で四駅と聞いて、気が変わったらしい。

そんなに近いなら、寧ろ一緒に住めば良いだろうと言い出した。


「いや、もう引っ越しましたから…」

「今からでも良いだろ」

「何言ってんのよ」


全く良くない。

陽輔も舞も呆れてしまった。


「なぁ舞」

「何?」

「陽輔と一緒に住めばさ、毎日楽しいぞ」


陽輔が作業をしている間に、早苗が舞に耳打ちして来た。


「えぇ~?」

「想像してみろって…同じ家に住んで、朝起きて挨拶交わして、行ってきますのチューして、夜帰って来たらただいまのチューして」


具体例を挙げて畳み掛ける。


「その気になったら、毎晩子作り出来るぜぇ?」

「ひぇっ!?」


思わず想像してしまったらしい。

舞が素っ頓狂な声を上げた。


「おめぇ、将来的に何人欲しいんだ?今から作ったら、十人でも二十人でも作れるぜぇ?」

「じゅ、じゅう、にん…!?」


舞の喉がゴクリと鳴った。


「良いか?男ってのはな、結構単純なんだぜ」


舞が興味を示したので、更に耳打ちをする。


性癖(フェチ)と胃袋掴んでりゃあ、一生安泰だ」

「ふぇ、ふぇち!?」

「おうよ。体の部位とか服とか…」

「手!?太もも!?ナース!?」


早苗の言葉に、舞が顔を赤らめて聴き入る。

興味津々と言った風情だ。


「まだ有るぜ、他には…」

「はわわわわ…」


今度はスマホを取り出し、鞭やら蝋燭やら、キーワードを沢山検索し、舞に見せた。

何れも、十八歳以下はお断りの画像だ。


「もう十八だし、そもそもヤル事ヤッてんだろぅ?」

「そ、そ、それ、は、そう、だ、けど…」


舞がスマホの画像を見ながらゴクリと喉を鳴らした。

画像に有る様な濃厚なプレイはした事が無い。


「良いか?想像してみろ。こっちが舞でこっちが陽輔だぞぉ」

「っ…」


舞の視線が、スマホの画面に釘付けだ。

目を皿の様にして内容に見入った。


「早苗さん、何やってるんですか」

「…ちっ」


作業の終わった陽輔が、呆れた顔で早苗の肩を叩く。


「舌打ちしましたね」

「んだよう、舞に性教育してただけじゃねえかよう」


流石に限度が有るだろう。画面に映っていたのは調教物だった。

そして早苗は不貞腐れてしまった。


「舞ちゃん、大丈夫?」

「…あの、陽輔くん…」

「うん?何?」


舞が、モジモジしながら言った。


「わ、私、陽輔くんの趣味がどんなのでも、ずっと、付いてく、から!」

「ええっ!?」


効果は抜群だった様だ。





翌日


「ね、姉さん!?な、何で居るの!?」


早苗がビックリしているのは、愛子が来たからでは無い。

そもそも早苗が住んでいるこの家は、愛子にとっては実家である。

だから、愛子が来ていても、特に驚く事では無い。

早苗の恐怖は、愛子の笑みにあった。


「早苗、ちょっといらっしゃい」

「ぎゃあああああああああああああああああああ!!!!」


愛子に頭を鷲掴みにされた早苗が、仏間に吸い込まれて行った。頭蓋骨をミシミシ言わせながら…。

>効果は抜群だった!

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