アメジスト
「私、アメジストってゆーの。よろしく!」
アメジストが上から目線で鼻で笑いながら言った。
「この程度の人払いは私には効かないわよ。」
そう言って勇太たちのフライドポテトを勝手につまんで食べだした。
『アメジスト…外国人みたいな名前だけど見た目は日本人だけどなぁ…』勇太はそう思っていると、
「捕捉させてもらうけど、jewelsの中で扉を開けれるのはtwelvesと呼ばれる12人だけなの。」
アメジストは得意気に言った。
「私、ガーネット、アクアマリン、ダイヤ、エメラルド、パール、ルビー、ペリドット、サファイア、オパール、トパーズ、ターコイズ…これで12人か。」
アメジストが指を折って数えながら話していると樹理奈が、
「誕生石よね…」
と呟いた。
「そうだ。誕生石と一緒だ。」
貴司も興奮気味に言った。先ほどからのあきの説明をちゃんとメモしている。
「正解よ。誕生石の名前を持つ魔術師12人がtwelvesなの。今回はガーネットとダイヤの代わりにロードとクォーツが開けたけどね。」
アメジストは嫌そうな顔で言った。
あきも話始めた。
「私は5年前に扉が開いたときに魔術師になった。私の他に2人いたけど今は2人とも魔術修行していた時の記憶が消されてしまっているわ。」
つまり、上級魔術師になれなかったということだと勇太は理解できた。
「上級魔術師になって、実力が認められれば宝石の名前が与えられるの。さらに色々条件を満たせばjewelsになれるんだけど、あき、あんたは拒否したんだっけ?」
みなあきの方を見た。
「それで監視されてたのよね。下手なことしないように。幸い、あんたは監視中は1度も魔術を使わなかったみたいだけど。でも事情が変わったのよ。オニキスがやられてしまったからね。こちらにとってかなりの痛手よ。」
アメジストは真面目な顔になって話した。
「ダイヤはなんとしてもあきをjewelsに入れてオニキスの穴埋めをさせようとしているのかもね。それでわざわざ扉を開けてあんたを…」
「ちょっと待て!」
海斗が叫んだ。
「やられたってどういうことだ?お前らは何かと戦っているのか?そのために仲間を増やすのか?俺たちには関係ないことだろ!」
確かにその通りだ。さすが海斗だなと勇太は感心したいたが、
「残念ながらあなたたち石ころのせいでもあるのよ。それはん~と…あき、説明してくれる?」
めんどくさそうにアメジストが言った。
「この人たちと戦っている闇の魔術師たちがいるの。彼らは人の心の闇が深ければ深いほど魔力が増す。」
「何百年くらいだっけ?ずっと戦い続けてるんだけどこっちが今かなり劣勢なの。つまり、あんたたちは昔よりも生活は豊かになっても心がものすごく乏しいからアイツらがどんどん強くなってきて、こっちが迷惑してるってことよ。」
アメジストが強引にまとめてしまった。
「じゃあなんで俺たちなの?」
勇太が聞いた。
「知らない。ダイヤが決めてるから。」
「ダイヤ?」
「そういえばみんなダイヤって口にしてるわね。」
樹理奈が言った。
「ダイヤは私たちのボスよ。まぁ、私の師匠でもあるけど。」
「じゃあダイヤに直接会って聞きたいんだけど。」
海斗が食い気味にアメジストに言ったが、
「無理。」
とあきが言った。
「5年前扉が開いたときに1度会ってるはずなんだけど顔が思い出せないの。上級魔術師になって会ってたことをやっと思い出したの。あの時、5年前に会った記憶を消されたのよ。何故かは分からないけど。それ以降は姿を見せていないから簡単には会わせてくれないわ。」
「へぇ、思い出しただけだもすごいわよ。」
アメジストがニヤリと笑って言った。