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エレベーターと罠

勇太はそれから3日間は研究室を早くあがらせてもらって自宅と病院とを往復していた。

もちろん、その間も魔術修行はあった。

クォーツは勇太の事情に関係なくスパルタだったが、修行が終わったら小さな赤い飴をくれるようになった。

「倒れられても困るからな。」

研究室で倒れたことを助手から聞いたんだろうなと勇太は思った。

飴をなめるとあきがくれる赤い粒と同じように体中がポカポカして元気が出てきた。

「父さんの体調、もう安定しているから大丈夫よ。母さんも夜に家に帰るし。だから勇太は研究頑張りなさい。」

母親に言われて勇太は1日研究室で研究できるようになった。

「中島君、ちょっと。」

みなで昼ご飯を食べに行って研究のある校舎に入ろうとした時、助手が勇太の手を引っ張ってエレベーターの中に連れて行った。

「先生?何か?」

エレベーターが上昇していた。その間、助手はずっと黙っていた。


「しまった。やられた。」

突然、助手が勇太の手を引っ張って行ったので呆気にとられていた他の4人だっが、あきがエレベーターに向かって走り出した。

「どうしたの?」

樹理奈に続き、海斗と貴司もあきを追いかけていったが、エレベーターの扉ははすでに閉まり、上昇してしまっていた。

「何か分からないけど、横のエレベーターで…あれ?」

勇太が乗ったエレベーターの横のもう1つのエレベーターが『故障中』のランプが点灯していた。

あきが周りに自分たち以外の人間がいないか確認した後、エレベーターのボタンに手を当てた。

「野上、どうしたんだ?」

海斗が聞いてもあきは黙っていた。『故障中』のランプが消えてエレベーターのドアが開いた。

「追いかけなきゃ。中島君が危ない。」

4人はエレベーターに乗り込んだ。


勇太と助手が乗ったエレベーターが研究室のある階に着いた。

「中島君、こっち。」

助手が研究室に向かって歩き出した。勇太もついていった。

助手が研究室のドアを開けた。

「入って。」

勇太が一礼して入ろうとしたその時だった。

勇太の足元に魔法陣が現れた。

「これは…(トラップ)…せんせ…」

魔法陣が光ると勇太は気を失ってしまった。


「野上、勇太が危ないってどういうことだ?!」

エレベーターの中で海斗があきに聞いた。

「あの『星印』の意味、まだ完全には解読できていないんだけど、クォーツたちがずっと待っていたもの、中島君だけの特性といったところかしら。クォーツやルビーの目を盗んで色々調べてみて解ってきたことがあるの。」

3人はあきの方を真剣な顔で見た。

「五芒星は陰陽術のシンボル。有名な陰陽師といえば安倍晴明よね?図書館(ライブラリー)に安倍晴明にまつわる文献がなかったから魔術界に関係ない人だ と思っていたけどそうじゃなかったわ…安倍晴明に関わることを意図的に隠蔽していただけだったの。ここまで調べるのにかなり時間がかかってしまったわ。」

「それと文子先生とどう関係があるんだい?」

貴司が聞いた。ちょうどエレベーターのドアが開いたので4人はエレベーターから降りて研究室に向かって走った。

研究室のドアを開けると助手が1人で立っていた。

「お帰りなさい。」

助手はニッコリ笑って言った。

勇太の姿はなかった。



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