クォーツとの修行
勇太たちは春休み中は9時前には研究室で研究を始めていた。
そして、1限目の終わる10時30分にチャイムが鳴ると『扉の空間』に召還され、魔術修行をして、修行が終わると何事もなかったかのように研究を再開する、という毎日だった。
勇太はクォーツとの修行に緊張しっぱなしだった。
「光属性魔術は基本的に自分の魔力をを可視光線化させ、攻撃や補助に応用させる。防御にはあまり向いていないと思うだろうが、魔力を鏡のように変化させれば、相手の攻撃を跳ね返すことで防御としても応用させることができる。」
クォーツの説明は少し難しかったが、
『要するに、自分の魔力を光に変えるってことだよな…』
と勇太は思っていた。
今は、
「自分を光源として、魔力を可視光線化させる」
イメージトレーニングをさせられていた。
「よし、魔力を放ってみろ。」
イメージトレーニングの後、クォーツに言われて魔力を放ってみた。
勇太には魔力が以前よりも光が増しているように見えたが、
「全然ダメだ。今の時代、『電球』という分かりやすいものがあるだろ。」
とまた怒られてしまった。
クォーツが言うに、自分が『電球』になって魔力という『光』を放つイメージだそうだ。
『電球ねぇ…今まで自分が電球になるなんてイメージしたことないしな…自分が光を放つ…後光が射すようなイメージで良いのか…それじゃ自分が神様になったようだな…だから光属性の魔術師はプライド高いってことなのかな…』
これを延々とし、およそ1時間くらいで終了というのがクォーツとの修行だった。
ペリドットの時のように休憩もなければ雑談もない。
「中島君、お疲れだね。」
昼ご飯をみなで一緒に食べているとき、貴司が疲れた顔をしている勇太に言った。
「まぁね…」
昼ご飯はコンビニや弁当屋で買って研究室の横の部屋で食べるか、大学の外で食べるかのどちらかだったが、今日はコンビニで昼ご飯を買ってきて研究室の横の部屋で食べていた。
そんな日はあきが人払いの魔術を部屋にかけてくれるので魔術修行の話もできた。
「クォーツって、話したことないけど気難しそうね。」
樹理奈も言った。
「やっぱりそう思う?俺もペリドットの時の修行が懐かしいよ。」
勇太が笑いながら言った。
『また明日も『電球になる』修行か…いつまで続くんだろ…俺がちゃんと光を放てるまでか…』
勇太はそう思ってため息をついた。
「あら、焦ってるじゃない。」
勇太が人間界に戻った直後、『扉の空間』にクォーツの前にアメジストが現れて言った。
「やっと、『星』が現れたんだ。早く光属性魔術の基本ぐらいはマスターしてもらわないとな。」
クォーツが言った。
「あんたが焦ってもアイツは上達しないわよ。」
アメジストが笑いながら言った。
「ダイヤの方も準備は出来てるって言ってたし、後はアイツ次第ね。」
「金属中毒が『星』の意味が分かる前に何とかしてみせるさ。」
「あんたは修行に専念して。私は敵の動きと裏切り者のこと調べてみるわ。」
「分かった。」
そう言うと2人は『扉の空間』から消えてしまった。




