年齢
「リチウムは恐らくマーキュリーに焚き付けられて今回行動を起こしたんだろ。リチウムにつけてた見張りをマーキュリーあたりに始末されたのが誤算だったな。リチウム程度じゃジルコンの見張りは倒すことできないからな。あきがリチウムのことを早くから気づいてたが、こちらの弟子の中で行方不明になった者と照合するのに時間がかかりすぎてしまったし。なにしろ化粧で化けたから俺たち男にはかなり厄介だった…」
クォーツが話している途中で、
「あのー…ちょっといいですか?」
貴司が恐る恐る手を挙げて言った。
「紅さんもロードクロサイトさんも100年前からいるんですよね?でも、見た目は僕らと年があまり変わらないような気がするんですけど…」
勇太もハッと思い出した。ペリドットも年齢は50歳かるく超えていると言っていた。
『鉄アレイ浮かせたら色々教えてくれるって約束してたのに…聞くの忘れてた…』
クォーツがアメジストたちを見回した。アメジストが「私にふらないでよ」と言いたげな顔をした。
クォーツは観念したように、
「俺たちjewelsは年齢をコントロールできるんだ。」
と答えた。
「それって不老不死とか…?」
貴司も驚きながらさらに聞いた。
「まぁ、それに近いものではあるな。ちなみに、闇の魔術師もだ。」
クォーツが答えた。
「話を戻すけど、あんたたちラッキーだったのよ。雅子は闇魔術をマスターできてなかったし、リチウム金属の電気ぐらいしか使えなかったしね。」
アメジストが勇太と貴司に言った。
「そういえば、ケータイの電池…リチウムイオン電池だ。」
貴司が言った。
「家に帰ったとき、ケータイの電池切れてた!」
勇太も気づいた。リチウムの攻撃を受けたのは携帯電話の電池からの電気からだったのだ。
リチウムの攻撃を受けた樹理奈もハッとした。樹理奈も携帯電話の電池も切れていたようだ。
「そう。だからラッキーなのよ。雅子が真面目に修行してたらあんたたちじゃ足止めすら無理だったわけ。ってか、殺されてたかもね。」
アメジストがいつもの様に上から目線で言った。
「でも、今回は勇太と貴司の活躍のお陰でリチウムを拘束できたわ。」
ルビーが言った。
「あとは、各師匠ごとかなおまかせするわね。そうそう、海斗。あなたは中級魔術師に昇進よ。とうとう敵が動き出したから修行頑張ってね。」
そう言ってルビーは消えた。
「おいおい、敵に捕まったのに昇進かよ。」
オパールは皮肉を言ったが、弟子の海斗が昇進となってうれしそうだった。
「勇太、俺たちはあっちに行こうか。」
そう言ってペリドットは歩き出した。勇太はペリドットについて行った。
みなが見えなくなった所まで歩いてきて、ペリドットが勇太の方へ振り向いた。
「お前、よくやったそうじゃないか!」
ペリドットはうれしそうに勇太の肩を叩きながら言った。
「いや…野上さんもいたし、大林君と協力したわけだし、俺1人じゃできなかった…」
勇太が言いかけている途中で、
「そう謙遜するなよ。自信持てよ。よくやった!」
とペリドットは割って言った。ペリドットがうれしそうだったのが勇太も少しうれしかった。
「でも、運がよかったって…」
勇太がそう言ってもペリドットの興奮は覚めなかった。
「まぁそうだが、それでも敵を拘束したのが俺の弟子なんだ。俺はうれしくて…」
ペリドットは勇太のキョトンとした顔を見て、ハッと冷静になった。
「悪い悪い…つい興奮してしまった。」
ペリドットは座り込んだ。
「お前との約束、忘れてたわけじゃないんだが…今日はちゃんと話そうと思う。まぁ、座ってくれ。」
勇太も座った。
「まず、俺が人間界にいたのは150年くらい前…今じゃ、幕末と呼ばれた時代だった。」
ペリドットが話始めた。