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海斗と玲夢

「玲夢はどうなるの?」

樹理奈はロードクロサイトに聞いた。

「とりあえず、魔術界に連れて帰るのよ。」

ロードクロサイトが答えた。

「やっぱりね。リチウム捕まったわね。」

突然、上の方で声が聞こえた。声をする方を見上げるとタイトな黒い服を着た男女が中に浮いてこちらを見ていた。

「マーキュリー…アイロン…助けて…」

玲夢は苦しそうに2人に助けを求めた。

「勝手に暴走するからでしょ?」

「2対4じゃ部が悪いからな。マーキュリー、お前が殺したがっていたヤツがいるぞ。」

マーキュリーと呼ばれた黒い髪に銀のメッシュのポニーテールをした女が鬼のような形相であきをにらんだ。

「野上あき…殺してやる!」

その声には憎しみがこめられていた。

「待て。今日は扉が開かれたのを確かめるのが命令だっだだろ。殺すのは後々だ。」

マーキュリーは髪の毛をツンツンに逆立てたアイロンに言われて、

「そうね。アイツの見張りもいなくなったことだし、今度は殺してやるわ!」

と言ってアイロンと共に姿を消した。

「あれが敵?」

貴司が聞いた。

「そう。」

あきが答えた。

「何で冷静なの?!野上さん、殺すって言われてたでしょ?!」

貴司があきに詰め寄った。

「返り討ちにするだけよ。」

あきが静かに答えたが、勇太にはそれが少し怖く感じた。

「リチウムは捨てゴマだったみたいね。」

ルビーが言った。

「そういうところね。修行しているのは誰かはっきり確認するのが目的だったってところかしら。雅子、堕ちても良いように利用されるなんてね。」

アメジストが玲夢を見て言った。勇太はいつも上から目線のアメジストが玲夢を本当に憐れんでいるように感じた。

花火が上がった。学園祭の後夜祭が始まったようだ。

「じゃあ、私たちは戻りましょうか。」

ルビーがアメジストとロードクロサイトに言った。

ロードクロサイトは立ち上がった。

「明日は『扉の空間』で今回のこと、ちゃんと説明するわ。リチウムからも色々情報を引き出さなくちゃいけないし。今日はありがとう。」

そう言ってルビー、アメジスト、ロードクロサイトと魔法陣に閉じ込められた玲夢が消えた。

勇太たちは屋上に取り残された。海斗はまだ意識を失ったままだった。

「松下君を家まで送った方がいいわね。」

あきが勇太の頭に手を当てた。ビックリした勇太は固まってしまった。すると、周りの風景が海斗の部屋に変わった。

「えっ…ここって?」

「松下君の部屋に移動したの。」

あきが平然と答えた。

「めっちゃキレイ…」

樹理奈が部屋を見回しながら感心していた。

海斗はいつの間にか靴を脱いでベッドに寝ている状態だった。勇太たちも靴が脱がれた状態で部屋に立っていた。

「リチウムはかなり気合いを入れて攻撃したみたいね。」

あきは海斗を見て言った。

「玲夢はね…松下君のこと本当に大好きだったみたい。」

樹理奈が話始めた。

玲夢は大学入学当初に海斗に一目惚れして付き合った。しかし、すぐに別れてしまった。樹理奈たちには『私から振ってやった』と言っていたが、振られたのは玲夢の方だというのはバレバレだった。樹理奈が元芸能人ということもあって、俳優やモデルとの合コンを主宰するようにしつこく頼んだりしたが樹理奈が乗り気でなかったので結局開催されずじまいだった。

「玲夢はね。私たちのグループでも少し浮いていたのよね。口を開けば『男』とか『合コン』ばっかりだったから。ある日、みんなで飲んだときに玲夢が酔って本音を話してくれたの。松下君のことずっと好きだって。振られたときすごくショックで、今も松下君に連絡とろうとしてるって。私ね、玲夢もこんなかわいいところあるんだなって思ったの。」

「そういえば、別れた原因なんだったんだろ?」

勇太の言葉に樹理奈は驚いた顔をした。

「松下君から聞いてなかったの?!」

勇太は頷いた。すると樹理奈はふふっと笑って言った。

「中島君の悪口を言ったからなんだって。」

「えっ?!」

勇太はビックリして海斗を見た。海斗はまだ意識が戻っていない。

「ゴメンね。怒らないで聞いてね。玲夢にとって松下君は完璧な男だったの。でも玲夢は松下君に中島君みたいな人が友達じゃダメだって言ったら松下君がものすごく怒り出したんだって。それで別れたみたい。」

勇太は納得してしまった。玲夢が何故自分にものすごく嫌悪感を露にしていたかやっと分かった気がした。

「そんなことないと思うけど。」

貴司が勇太に気を使って言ってくれているのが分かった。

「でも、さっき中島君が松下君を必死で助けようとしているの見て玲夢の負けだって感じたわ。」

樹理奈は勇太にニッコリ笑いかけた。

「やっぱり松下君、男前だ。」

貴司も感心した。勇太は少し照れてしまった。

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