属性魔術
「野上さん、何かアドバイスして欲しいな。」
樹理奈があきに言った。
「特にないわ。」
あきが即答した。
「花と蝶をもっと操れるようになりたいんどけど。」
樹理奈が言った。
「属性魔術次第でできるようになると思う。」
あきが言った。
「属性魔術?」
貴司がメモをしながら聞いた。
「まだ初級魔術師だからあんまり関係ないけど。」
勇太はペリドットとの会話をはっと思い出した。
「Elementsっていう属性魔術のスペシャリストがいるって…」
貴司も樹理奈も海斗も驚いて勇太を見た。elementsは初耳のようだった。
「Elementsはほぼ活動していないと思う。タイガーアイとオニキスがいないから。」
「Elementsって誰なの?」
貴司が食いぎみに聞いた。
「ルビー、サファイア、エメラルド、ダイヤ、タイガーアイ、オニキスの6人。」
「属性って?」
樹理奈も聞いた。
「火、水、木、光、土、無。得意の属性は人それぞれね。」
あきが答えた。
「野上さんは何が得意なの?」
勇太が聞いた。
「私は水。」
「俺たちが修行しているのは属性魔術じゃないのか?」
海斗も聞いた。
「無属性魔術よ。全ての魔術の基本になる属性。オニキスがスペシャリストだったの。」
オニキスは敵にやられたっていう魔術師のことか…勇太は以前アメジストが話していたのを思い出しながら聞いていた。
「私たちの属性は分かるの?」
樹理奈が聞いた。
「分からないわ。上級魔術師になるぐらいに調べると思う。まだまだ先ね。」
「誰がどの属性魔術のスペシャリストなの?」
貴司がメモしながら聞いた。
「ルビーは火、サファイアは水、エメラルドは木、ダイヤが光、タイガーアイが土。」
「前に闇の魔術師って聞いたような…」
貴司がすかさず聞いた。
「闇属性は敵なの。」
あきが答えた。
『この人たちと戦っている闇の魔術師たちがいるの。彼らは人の心の闇が深ければ深いほど魔力が増す。』
『属性魔術の1つ、“闇魔術”は自分以外の人間の負の感情つまり“心の闇”をも糧にして増大する性質があるんでな。』
勇太はあきとペリドットが以前話してたことが繋がってきたことを感じた。あきもペリドットが言っていた闇魔術の性質について話して、
「色々聞きたいことあると思うけど属性魔術はまだ先の話だし、もう戻る?」
と言った。
貴司と樹理奈はまだ何か聞きたそうな顔をしていた。
「そうだな。じゃあ、今度みんなで食事会か飲み会しないか?魔術の話抜きで。研究室仲間としてさ。」
海斗が言った。
「そうね!やろう!」
樹理奈は笑顔になって言った。貴司も笑顔でうなずいた。
『研究室仲間として』という言葉に勇太は少し感動していた。
『俺もみんな魔術のことでもいっぱいいっぱいだったもんな。普通の研究室仲間としての付き合いがしたいって思いはみんな一緒だったんだ…』