扉を閉じる
『さて、君たち5人がモンドを静めてくれた。心から礼を言いたい。』
教授の声が続いた。
『そして、jewelsたちよ。魔術界と人間界のモンドの闇を消し去ってくれてありがとう。俺はモンドと封印され、晴明と共にあの世に行くとしよう。』
『風子よ。そなたがわしの代わりに清太と小春をみてやっておくれ。』
晴明の声だった。ジルコンに話しかけているようだ。
『清太、小春。長い間、すまなかった。清太よ、文子を頼んだ。』
教授が言い終わると勇太たちはいつの間にか『光と影の空間』に戻っていた。
勇太たちはもと通り円形に立っていて、中心の床には勇太が投げた金の五芒星が埋まっていた。
その横には晴明が媒介にしていたアンモナイトの化石が落ちていた。
勇太がアンモナイトの化石を拾うために一歩踏み出すと服の中から黄緑色のドーム型の石がコロンと落ちてきた。
「それって…」
あきが聞いた。
「ペリドットの宝石核の半分だよ。晴明にこのペンダントに入るように形を変えられてたけど、元に戻ったんだな…このペンダントも晴明にみんなには見えないようにされてたんだ…」
勇太がペリドットの宝石核とアンモナイトの化石を拾いながら言った。
「晴明との繋がりが切れたってことは…『扉の空間』が封印されたってことよね?」
樹理奈が言った。
みな黙って感傷に浸っていたが、
「あーっ!」
貴司が突然叫んだ。
「講義が始まるよ!1限目が終わってから『扉の空間』で話して、戻ってきたら人間界の時間が止まってたから魔術界に来たんだ!」
「あっ、そうだった!」
「げっ、マズイな!」
勇太と海斗も貴司に言われて慌てていると、
「大丈夫よ。」
ガーネットが5人の前に現れた。
「クォーツがあなたたちが人間界に戻ったら人間界の時間が戻るように粋な細工をしてくれたみたいだから。」
ガーネットは微笑んだ。
「ガーネットさん、あなたは何をしてたんですか?」
勇太が聞いた。
クォーツ、アメジスト、ジルコン以外のjewelsはみな魔術界で門戸の闇に対抗すべく、魔力を放出していたはずだからだ。
勇太たちが魔術界に来た時もガーネットは姿を見せていなかった。それにも勇太は引っ掛かっていた。
「jewelsたちへの魔力の補給よ。魔ザクロの実をみんなの口に入れたりしたかしら、式神を使ってだけどね。ほとんどのjewelsは気づいてなかったわ。」
「本当にそれだけか?」
海斗が聞いた。ガーネットの言葉を信用していなかった。
「あら、疑り深いのね。」
ガーネットはニッコリ笑った。
「いずれ教えるわ。さぁ、あなたたちはどうする?jewelsたちと戦いの勝利を喜び合うか、それとも人間界に戻って国家試験の勉強をするか。」
そう言うとガーネットは姿を消した。




