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彦吉の本当の願い

勇太たちの真ん中のモンドの黒い闇ののろしは途切れ始め、プスプスと消えかかってきた。

「後、もう少し…」

樹理奈が呟いた。魔力をかなり消費して疲れが出てきた様子だった。

勇太はのろしをじっと見ていた。

勇太の視界の半分は疎らに草が生えた荒地があり、そこに2人の男が立っていた。離れた物陰にもう1人の男がじっと2人を覗き見していた。

立っている男は晴明と教授、覗き見している男はボロボロの服を纏って、痩せ細っていた。

その男は怨霊の依り代になった男ー彦吉だった。

「モンドは…金剛先生と晴明と仲良くなりたかったんだ…」

勇太が優しく呟いた。

「なっ、何を…」

モンドの動揺している声が聞こえてきた。

勇太の視界にはまた別の光景が見えていた。

通りを歩いている教授と晴明の後ろを彦吉がそろりとストーキングしている光景だった。

「ガーネットが分かったかどうかは分からないけど、モンド…彦吉は金剛先生と晴明の仲が羨ましかったんだ。一緒に語り合いたかったんだ…友達として。だから、晴明は俺たちを…」

「うっ、うっ、黙れ…俺は知っているんだ!魔術界の秘密を!一條との関係を!知りたくないのか!?」

モンドが叫んだ。

「知りたいよ!けど!」

貴司が叫んだ。

「俺たちはまずこれを終わらせないと。」

海斗が言った。

「クォーツや文子先生に後で聞けるから!」

あきも叫んだ。

「私もまだ頑張れる!」

樹理奈も叫んだ。

「晴明、後は頼んだよ。」

勇太は魔力で描かれた五芒星の中心に向かって晴明の金の五芒星のペンダントを放り投げた。

金の五芒星は魔力で描かれた五芒星の中心にある闇ののろしに触れた途端、閃光を放った。

あまりの眩しさに勇太たちは目をつぶった。


勇太が目を開けると辺りは真っ白になっていた。

勇太の前には彦吉が倒れていた。

「俺は…金剛と安倍と…魔術を磨きたい…魔術が欲しい…そうすれば…」

『魔術があれば金も玉も手に入る。位が上がる。飯をたらふく食える。』

不気味な声が響き渡った。

「だっ、誰だ?!」

『富も屋敷も欲しい…』

「欲しい…俺も!」

彦吉がよろよろと立ち上がって叫んだ。

その時に彦吉の頭上に黒いもやが被さってもやはそのまま彦吉の体の中に入っていった。

「はーっはっはっ!」

彦吉は目を大きく見開き、大きく口を開けて笑った。

「これが彦吉が怨霊にとりつかれる前の記憶だろうな。」

じっと彦吉を見ていた勇太に海斗が近づいてきた。

「ここはどこだろう?『扉の空間』みたいに真っ白だけど。」

貴司も勇太たちのそばにいた。

あきと樹理奈もいた。

彦吉の姿が消え、5人が真っ白な空間にぽつんと取り残された。

「全ての属性を極めると時間と空間を操れるって晴明が言ってたよね?」

あきが言った。

「じゃあここは?」

樹理奈が言いかけた時、

『新たな空間だ。』

と教授の声がした。

『お前たち全員の力が作ったものだ。まさか、彦吉の記憶も見れるなんて。中島君…メタモルフォシス、君の特殊能力なのか…』

『いや、正確には違うな。』

今度は晴明の声だ。

『主は女の力の一部を吸収したにすぎん。』

「そっ、そういえば、マーキュリーに攻撃された時にもマーキュリーの記憶が見えたことが…」

勇太が言った。

「相手の魔力に触れることで記憶を見ることができるってこと?」

あきが聞いた。

「野上のと確かに似てるな。」

海斗が言った。

『吸収して自分のものにする…応用…応用(アプリケーション)ってとこか…』

教授の声が聞こえた。

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