五芒星の魔力
『俺の位置からだと…あきだ!』
勇太はあきに向かって一直線に魔力を放出した。
「なっ、中島君!?」
あきは驚いていたが、魔力であきが吹き飛ばされはしなかった。
「みんなの属性魔力で繋ぐんだ!あきは大林君に、大林君は海斗、海斗は原田さん、原田さんは俺に!」
勇太はみなの位置を確認しながら叫んだ。
「…なるほど!」
「直接攻撃するんじゃないのね?!」
「勇太を信じるぞ!」
あきは貴司に魔力を放出した。
「うぅー。光と水と闇と金属…4つは重いけど…松下君!頼んだよ!」
貴司が海斗に魔力を向けた。
「大林、サンキュー!4つの属性をキレイまとめてくれたな。火と地だ。原田…それとも『知性もJuriー☆』か?!」
海斗が樹理奈に魔力を放出した。
「もう!よくアイドル時代の自己紹介覚えてるわね!…すごい!…私は木ね。中島君、頼むわね…」
勇太に5人分の魔力が戻ってきた。
5人の魔力はそのまま線状に5人を繋いでいた。
「うぅ…これが…全属性の魔力…」
「すげぇな…」
「五芒星の形になった…」
5人の魔力は五芒星を形づくっていた。
真ん中の五角形が闇ののろしを囲っていた。
「…お…のれ…」
モンドのかすれた声が聞こえた。
「魔術は元は陰陽術からだって聞いたのを思い出したんだ!だから晴明は5人必要だって言ったんだ!」
勇太はのろしに向かって叫んだ。
「後、どのくらいだろう…みんなもつかい?」
貴司が聞いてきた。
確かにみな何も考えずに魔力を放出していた。
「魔術で大事なもの…」
勇太はペリドットの言葉を思い出していた。
『魔力よりも術の強さよりも大事なのは正の感情、心を強く持つことだ。仲間がいるってのはお前たちの強みだ。』
「正の感情!」
「何事も基礎が大事ってことだな!」
勇太の言葉に海斗は笑いながら言った。
「楽しいこと、幸せなことを思い出しながらだったらイイのね?!」
樹理奈が言った。
楽しいこと、幸せなことかー勇太はそれは何か考えながら魔力をあきに向けていた。
「…中島君、いっちゃんのラーメンのこと考えてたでしょ?」
あきに言われ勇太はビックリした。
「なっ、何でバレた?!ちょうど考えてたんだ!」
「やっぱりー。」
「それってあきちゃんが初デートで行ったっていう?」
樹理奈が聞いた。
「中島君がおいしいって言ってたとこだよね?」
貴司も聞いてきた。
「そうだよ。」
勇太が答えた。
「ホルモンラーメンがおいしいって言ってたけどね…」
「原田はホルモン苦手か?」
気がのらない様子の樹理奈に海斗が聞いた。
「それがめっちゃうまいんだ!俺もホルモンあんまり好きじゃなかったけど、勇太が普通にホルモンラーメン頼むし、周りの客もみんなホルモンラーメンだから頼んでみたけど予想以上だった!見た目程、全然脂っこくなかったし!」
「本当に!試作会でカレー味とキムチ味食べたけどすんごくおいしかったの!キムチ味はチーズとご飯と合って最高だった!」
あきがうれしそうに言った。
「野上は相変わらずよく食うな。」
海斗が嫌味っぽく言った。
「なっ、中島君と一緒に食べたのよ!」
あきが慌てふためいた。
「僕より食べて太ってないの羨ましいよ。」
貴司が言った。
「もー!私、大食いキャラなのー?!」
あきが顔を赤くして言った。
「否定はしないよ。」
勇太は笑いながら言った。
「ぐっ…」
のろしからモンドのうめき声が聞こえた。
「あっ、こんな話してる場合じゃなかったね。」
貴司が笑いながら言った。
『そっか…』
勇太は晴明がクォーツではなく自分たち5人にモンドの封印を任せた理由が分かった。




