告白、そして
「僕は原田さん…Juriが一緒の大学を受験することを知ってた。学部も一緒ってことも。ウワサが本当だってはっきりと分かったのは入学式の時だった。ビックリしたけど、うれしかった…誰かと付き合うんじゃないかってずっと思ってた。」
貴司はふーっと一息ついた。
「僕は…あなたが好きです。」
樹理奈はじっと黙って貴司が話すのを見ていた。
「はぁ…言っちゃったよ。ゴメン、こんな時に。」
貴司はハハハと笑いながら謝った。
「うれしいよ…」
樹理奈は涙目だった。
「大林君がもしかしたらファンでいてくれてたんじゃないかなって何となく分かってたんだよね。でも、研究室一緒になって、修行とかでも仲良くなってもそんな話してこなかったから違ったのかなって。もしかしたら、私のこと軽蔑してるのかもって思ってた。」
「そっ、そんな…軽蔑なんてしてないから!何で僕が軽蔑するの?!」
貴司は驚いて否定した。
「中途半端にアイドルして、不純な理由で大学に来たから。大林君は勉強もできるし、研究だってすごく意欲的にしてるから。だから、大林君に軽蔑されてるんじゃないかなってずっと思ってた。」
「本当は夏休みの旅行の時に告白しようと思ってたんだけど…その…色々あって…しそびれて…」
「大林君。私も…大林君のこと…好きなんだよ。」
「えっ、えっ…えー!」
貴司は樹理奈の告白にものすごく驚いていた。
顔が真っ赤だった。
勇太も驚いたが、海斗とあきは微笑していた。
「海斗は知ってたの?」
勇太は海斗に聞いた。
「原田の様子でな。」
「そうだったんだ…」
「中島君も気づいてるって思ってたけど。」
あきが言った。
「私も。」
樹理奈はハンカチで涙を拭きながら言った。
「おのれ…我が闇から逃れるとは…」
勇太たちは円状に立っているが、その中心の黒い闇のもやから聞こえてきた。
「モンド…」
勇太は拳をギュッと握った。
「俺たちはお前の思い通りにはならない!」
『もう終わらせなくては…この戦いを…人間界と魔術界を元に戻すんだ!そして…あきを…敵の驚異から解放したいんだ!』
そう強く思った勇太の後方から光が溢れだした。
「勇太…」
「…すっ、すごい光の魔力だ!」
「えっ?!」
勇太は無意識に光属性の魔力を放出していた。
光は勇太たちにまとわりついていた闇を消し去った。
闇のもやが激しく揺れだした。
「効いてるんだわ。」
あきが言った。
「でも、全ての属性が必要だって…」
貴司が考えていた。
「5人必要…全ての属性魔力…」
あきもそう呟きながら考えていた。
『全ての属性…魔術の全ての力…そうだ…魔術って確か…!だから5人必要なのか!』
「あのさ!みんな!」
勇太はみなに向かって叫んだ。