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浮上

勇太が鉄アレイを浮かせるのに苦労している間、海斗と樹理奈と貴司は新たな術式にチャレンジしていた。

そのことを勇太は研究室で聞いてしまった。

『早く追いつかないと…』

鉄アレイを浮かそうと術式をかけているが、カタカタと震えるだけでなかなか浮かんではくれなかった。

その様子を腕を組ながらペリドットが見ていた。

「集中力が欠けてるぞ。余計なことは考えるな。」

勇太は焦りを見透かされているのだと思っていた。

それがまた焦りに繋がってしまっていた。

「今日はここまでだ。」

ペリドットが言ったと同時に講義室に戻っていた。

『今日もダメだったな…』

次の授業までまだ時間があったのでトイレに向かいながらそう思った。

講義室に戻る途中でばったりあきに会った。

「あっ、野上さん…おはよう。」

今は研究室仲間と話する気分ではなかったので、そう言って歩き出そうとしたとき、

「上昇気流。」

とあきが呟いた。

勇太は驚いて足を止めた。

「雲が発生する仕組み。パラグライダーはこれに乗って空を飛ぶ。」

そう言ってあきは去っていった。

「あっ、そっか。」

勇太の顔がパアッっと明るくなった。


次の日の朝、

「よし、今日で鉄アレイとのにらめっこも終わりにできるかも。」

そう呟いて家を出た。

そして1限目の授業が終わり、『扉の空間』に来た。

勇太は目の前の鉄アレイをじっと見て、深呼吸をした。

鉄アレイに術式をかけた。

『鉄アレイが上昇気流に乗って高く上がっていって…大空を気持ち良さそうに軽々飛んでいて…』

そう思いながら思いっきり魔力をこめた。

すると、鉄アレイが重力をなくしたかのようにふわふわと浮かびだした。

「おぉ!」

ペリドットは目を丸くした。

鉄アレイは勇太とペリドットの身長よりも高いところでふわふわ浮いている。

「気持ち良さそうだな。」

勇太がニッコリ笑って呟いた。

勇太の魔力が切れて座り込んでしまったと同時に鉄アレイもドォーンと音を立てて落ちてきた。

「…お前、すごいじゃないか!」

ペリドットが大声で叫びながら勇太の背中を叩いた。

「さすが、俺の弟子だ!ハハハハ!」

ペリドットはしばらく笑っていた。

『やっと…浮き上がった…』

勇太も座りながら笑った。

やっと浮き上がった…勇太に足りなかったのはイメージと“正の感情”だった。

それをあきから『上昇気流』というヒントをもらって気づくことができた。

さっきの鉄アレイのように気持ちも軽くなった勇太はガッツポーズした。

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