黒いのろしに向かって
「黒いのろしってまさか?!」
樹理奈があきと目を合わせた。
「モンドか。」
クォーツが呟いた。
「大也からの合図だ。行けば分かるだろうの。」
晴明が1人落ち着いた様子で言った。
「では、さらばだ。清太よ、主たちを頼むぞ。」
晴明はみなに言った。
「…分かりました。晴明様、ありがとうございました。」
クォーツは晴明に一礼した。アメジストもクォーツに続いて一礼した。
「行こうか。」
「待って!」
クォーツがみなを移動させるために術を発動しようとした時に勇太が言った。
そして、晴明をじっと見た。
「晴明、色々…ありがとう。」
勇太にとっても晴明との別れはあまりにも突然だった。
こちらが呼んでも答えてくれない、何日も帰ってこないことは最近ずっとだったが、それでも少しずつ寂しさを感じていた。
「それはこちらもだ。」
晴明はニヤリとした。
『この時代も楽しかったぞ』
勇太の頭の中で晴明の声が響いた。
『これから俺たちがどうすればいいのか…封印の仕方?分かんないんだけど…』
『主たちなら大丈夫だ。行けば分かる』
頭の中で晴明と会話した。
「では、行くぞ。」
クォーツの声とともにみな、『光と闇の空間』にいた。
「あっ、クォーツに…みんな?!いっぱい来たわね。」
『光と闇の空間』にアクアマリンとラピスラズリ、ロードクロサイト、その他何人ものjewelsがすでにいた。
「ここから闇が…人間界の時間が突然止まってしまって魔術界に戻ってきたんだけどね。のろしみたいのが上がってるから来てみたんだけど。人間界の時間が止まったのってこれのせい?人間界で過ごしてるjewelsみんながここに集まってきたわよ。」
アクアマリンがクォーツに言った。
『光と闇の空間』の部屋の真ん中の床から一筋の黒いのろしのような闇が上がっていた。
黒いのろしは白い天井にたどり着く前に煙のように消えていた。
「モンドが攻めてきた。これは『扉の間』からだ。」
晴明が言った。
「モンドが『扉の空間』に?!」
ラピスラズリが聞いた。
「いまいち状況が分からないんだけど。」
ロードクロサイトも言った。
「師匠にモンドが取りついて、師匠がモンドと『扉の空間』で対話するそうだ。」
クォーツが言った。
「この魔術界を創ったのはダイヤだ。『扉の空間』とここ『光と闇の空間』を繋げるのは造作ないことだろう。」
『光と闇の空間』に来ていたモリオンが言った。
「モンドが私に取りついた時、私の魔力を暴発させたの。」
ジルコンが口を開いた。
「私も全ての属性魔術を使える身。それで人間界で時間を止めてしまった…」
ジルコンが目線を下に向けていた。




