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ダイヤのけじめ

「ガーネットがほとんどの闇魔力核(ダークコア)を奪ってきた。そのおかげで、俺は闇と金属の力を取り戻した。金属は金、銅、錫、プラチナ以外だったが、晴明に協力してもらってすべての金属を操れる力を取り戻した。」

「ほぅ、そうすれば、お前の体を奪えれば俺はすべての属性を手に入れられるのだな。」

教授の言葉にモンドの黒いもやはうれしそうに波打ち始めた。

「俺と来い、モンド…いや、彦吉(ひこよし)。ただ、体は渡さんがな。」

教授は黒いもやに手を差しのべた。

「彦吉…それが、モンドの本当の名前…?」

クォーツが呟いたが、

「彦吉は前の俺の体の男の名前だ!あの体はただの器だ!もう捨てた!俺が欲しいのはダイヤ…金剛大也!お前だ!」

モンドが叫んだ。

勇太は彦吉とは鉱山(マイン)で見た教授や晴明の過去で、魔術に執着し教授の妻を殺した男だと思った。

「もらうぞ!」

黒いもやは勢いよく教授に飛びかかった。

「師匠!」

クォーツとアメジストは振り返り、教授を助けようと構えたが、教授は首を横に振った。

「はーっははは!」

歓喜の声をあげた黒いもやは教授の体に入っていった。

「師匠!」

「モンド!」

教授は目をつぶっていた。

「…晴明、後は頼んだぞ。」

教授はそう呟いたまま、目を閉じて立ったままだった。

「晴明様、どういうことで…」

クォーツは慌てて晴明に詰め寄った。

「では、移動させるか。」

晴明がそう言うと教授の姿だけが消えた。

「師匠はどこへ?」

クォーツが晴明に聞いた。

「『扉の間』だ。」

晴明が答えた。

「怨霊と共に大也を封印するのだ。」

「何故?!」

クォーツが晴明に詰め寄った。

「怨霊から逃げてた大也は怨霊と対話するのだ。時間は止まっているのでいくらでも話ができる。そして、人間としての時間を終える。」

「ちょっと待って!つまりそれって話し合いして解決したらダイヤは…師匠は死ぬってことなの?!」

アメジストが叫んだ。

「左様。」

「じゃあ俺も一緒に…」

『来なくて良い、清太。』

クォーツが言いかけた時、みなの頭の中で教授の声がした。

「しかし…」

『お前も小春ももう十分私のためにしてくれた。いや、私が千年もお前たちを縛りつけていたのだな。すまなかった。』

「そんな、師匠は俺の命を救って下さったのです!そして魔術も…俺は…そのおかげで生きること必要とされていることに喜びを感じることができたのです!」

クォーツは半泣きで叫んだ。

「私も…兄と一緒の気持ちよ!最期まであなたの弟子として…」

アメジストも叫んだ。

『もう、好きに生きてくれ。私はお前たちの青春を奪ってしまった。今から取り戻してくれ。』

「そういうことよ、クォーツ、アメジスト。」

ルビーが言った。

ルビー、サファイア、エメラルドがいつの間にか勇太たちの後ろに並んで立っていた。

「俺たちも行くか。」

「えぇ。主と共に。」

サファイアとエメラルドが笑顔で言った。

「何を言ってるの?」

あきが聞いた。勇太たちみなもサファイアたちの様子を理解できないでいた。

「ダイヤと共に逝くんだよ。」

サファイアが笑顔で言った。

「私たちは人間ではないの。」

ルビーが言った。

「この者たちはダイヤが作った…精霊…いや、属性魔術に特化させ、人間の感情を学んでいく、燃え盛る火、清き水、大樹の力の結晶を玉を媒介にして創った式神だ。つまり、ダイヤが主なのだ。」

晴明が説明した。

勇太たちは驚いた。

「だから、ジルコンは…」

勇太はルビーたちを『大也の“人形”たち』『化け物』と呼んだことを思い出した。

他の4人も納得した様子だった。

「行くのか…紅玉、青玉、翠玉。」

クォーツが言った。

「えぇ、さようなら、清太。」

ルビーがニッコリ笑った。

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