ダイヤとモンド
「たしかにそうだな。」
教授が言った。
「俺はお前を恐れていた。お前は俺の闇を持っていったから。だから磐石に体勢を整えてからでないとお前の前に立つことはできなかった。」
「お前と俺は1つになって完全なのだ!」
「ジルコニウムにジルコンを殺しに行くように命じたのだな。」
教授は鋭い目つきでモンドに言った。
「相討ちでジルコンが死ぬか、ジルコニウムが生き残っても現状維持、風子が生き残れば手先にする…お前にとって損はない、そうだろ?」
「さすが、俺の片割れだ!」
モンドの黒いもやは人の形となり、口がニヤリとした。
「片割れではない。お前の中に俺の力があるだけだ。返してもらう!」
教授が叫んだ時、モンドの周りを光が囲い始めた。
「この程度の力で俺を倒そうとでも?」
モンドの黒いもやが細かく散って、光の囲いから出ていった。
「どこに行った?」
みな見えなくなったモンドを探すためにキョロキョロと辺りを
見回していた時だった。
「危ない!」
クォーツが助手を見て叫んだ。
助手の後ろにもやの塊が現れ、助手に被さろうとしているのが見えた。
「えっ?!」
助手が振り向こうとしたその時、もやがまた散り散りになって消えた。
「今度はどこに…」
みながまた探そうとしていた時だった。
「あっ…」
あきが青ざめた。
あきの体の周りを黒いもやが囲っていた。
「プラチニウムよ。お前とシルバーの子供の体をもらうつもりだったが、お前の体をもらうとしよう。ダイヤの血は薄くなってしまってるが、それでも構わん。」
もやから声がした。
あきの体は固まって動かないでいた。
「力も魔力も出せなくなっただろう。さぁ、頂くとしようか。」
「あき!うわっ!」
勇太はあきに触れようと手を伸ばしたが、あきの周りは冷気で覆われていて指先に静電気が走ったようにバチっとした感覚があり
、触れることすらできずにいた。
『どうすれば…このままじゃあきが…』
勇太はあきを助けようと必死に考えていた。
突然、ピシャンと音がし、あきの体の周りに透明な壁ができ、壁がもやを弾き飛ばした。
「…この力は…ダイヤ…ではない…誰だ?!」
散り散りになったもやは集まり、息を切らしながら言った。
「この娘を1度だけ助けなければ呪い殺されるのでな。」
晴明が涼しげに言った。
「せっ、晴明?!」
勇太は晴明があきを助けてくれたことに感謝したが、それ以上に驚いた。
驚いたのは勇太だけでなかった。
「晴明様を呪い殺せる者が?いるはずないと思うけど。」
アメジストが言った。
「お前の気まぐれか?まぁ、助かった。」
教授が言った。
「お前にはもう仲間はいない。ガーネットが金属中毒の闇魔力核を奪った。ほぼすべてな。それも俺の力の一部だったものだ。金属の力もだ。俺がお前を…闇を受け入れよう。」