姉妹喧嘩
「うぅー…あぁー!」
ジルコンは甲高い声で叫んだ。
「風子よ、気にすることはない。仕方なかったのだろう?でなければお前が殺されていたのかもしてない。」
モンドが優しい口調で言った。
「ジルコン…風子、何故…?」
クォーツが聞いた。
「姉妹が殺しあって姉が勝ったというだけだ。」
モンドが言った。
「何で…?」
樹理奈が聞いた。
「晴明様が亡くなってからこの姉妹の仲は悪くなった。晴明様が恋しくて生き返らせようとした妹の信子ことジルコニウムと掟を守ろうとした姉の風子ことジルコンとがケンカした。信子はモンドの甘い誘いにのって闇に堕ちたの。」
アメジストが説明した。
「私だって…晴明様のことを…」
ジルコンはすすり泣いた。
「妹を殺してしまった後ろめたさ、後悔の念をモンドにつけこまれたんだな。」
クォーツが言った。
「晴明様が復活されて会いたがっていたのに会おうとしなかったのはこういう理由だったのね。」
アメジストが言った。
「晴明様は…きっと見抜いていらっしゃった…私の中に信子の力があることを…それを指摘されるのが…怖かった…」
ジルコンが途切れ途切れに言った。
「あぁ、分かっておったぞ。」
突然、勇太たちの後ろに晴明の声が聞こえた。
「晴明様!」
みな一斉に晴明の方に振り返った。
「やはりそういうことだったか、風子よ。」
「晴…明…様。」
ジルコンの目から血の涙が流れた。
「すまなかったな。」
晴明は優しい声でジルコンに言った。
「うぅぅ…」
ジルコンは泣き崩れた。
「わしの弟子の体から出ていくのだ!」
晴明がすかさずジルコンに向けて魔力を放った。
晴明の魔力はジルコンに当たり、ジルコンの体から黒いもやが大量に吹き出した。
「バカめ。この女の体がなくとも俺にとってもっと価値のある体が目の前にあるのだ!」
もやの塊となったモンドは勢いよくあきに向かって飛んだ。
「あき!」
勇太があきを庇おうとしたその時、目の前に助手が現れた。
助手は盾の魔法陣でもやをはね飛ばした。
「…来たか。ダイヤの娘よ。お前は『お文』の中で最も優れているという。お前の体をいただくとしよう。」
モンドが体勢を立て直しながら言った。
「そうはさせない。私にも娘たちにも指一本触れることなどさせない。」
助手の横にいつの間にか教授も立っていた。
「師匠!」
「何で出てきたの?!ダイヤの体が乗っ取られたらおしまいなのは分かってるでしょ?!」
クォーツとアメジストはダイヤの出現にかなり驚いていた。