金剛の血
「先生、教えて下さい。お文だった文枝は…私のおばあちゃんの妹だったのですか?だったら何故…」
「気づいたのね。そう。あなたの祖母の初枝の妹は6代目お文の文枝よ。」
助手は平然と言った。
「この事はいずれあなたに分かってしまうと思っていたけど、今は忘れてもらった方が良いのかしら。」
助手が構えて忘却術を発動させようとしていた。
「やめなさい。」
助手の後ろにいつのまにかガーネットが立っていた。
「この子は少し前から気づいていた。それに事実なんだからわざわざ忘れさせるなんてナンセンスよ、“おばさん”。」
ガーネットは嫌みっぽく言った。
勇太はガーネットが何故助手を“おばさん”と呼んだか理解できなかった。見た目では助手よりガーネットの方が歳が上に見えるのもあるし、実年齢もおそらくガーネットの方が上だと思っていた。
助手は黙ってガーネットの方に振り返った。
「この子も金剛の血が流れている。それがすべてよ。プラチニウムとして選ばれた理由がそれなんだから。」
「じゃ、じゃあ金属中毒は知っていたってこと?!」
勇太は驚いてガーネットに聞いた。
「少なくともコッパーは知っていたみたいね。ずっと文枝の片割れの初枝を監視していたようだし。それで、モンドに進言したようね。後は生かしていて知っていたのはニッケルぐらいか…」
ガーネットが言った。
勇太はガーネットがコッパーを始末したのはあきを守るためだったのではないかと思った。
「モンドが欲しているのは金剛の血なの。だから、お文はなるべく表には出さない。もしくはダイヤは自分とずっと一緒にいるようにしていたってわけ。けど、6代目は双子で産まれた。片方にも自分の血が流れているから子孫を残させないようにするために呪いをかけたんでしょ?」
ガーネットは助手を睨んだ。
「つまり、野上さんは金剛先生のひ孫ってことだよね?!」
貴司がメモしながら言った。
次の日、勇太たち5人はいつものように『扉の空間』に集まった。
「そういうことになるね。」
あきが言った。
「まさか…ビックリね!」
樹理奈も海斗も驚いていた。
『ペリドット…来てくれないか?』
勇太は頭の中でペリドットを呼んだ。
「来たぞ、勇太。」
突然、姿を現したペリドットに勇太以外の4人はビックリした。
「ペリドット、以前言ってたよね?『あきには大きな秘密が2つある』って。1つは闇魔力核のことだとは分かってたんだ。でも、もう1つは『あき本人すら気づいていない秘密』だって言ってた。それがこれだったんだね。あきは金剛先生…ダイヤの血を引いているということ。座標がどうとか言ってたのも関係あるんだよね?」
5人はじっとペリドットを見た。
ペリドットは観念したようにため息をついた。
「あぁ、そうだ。」




