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研究室で

夕方、研究室に助手がいなくなった隙に近くの実験台で分留ロートで有機溶液の洗浄作業をしている貴司に話しかけた。

「あの、大林君。」

貴司は作業をちょうど終えたところだった。

「後で、液クロしてと…どうしたの?」

「また今度、色々話したいなと思って。」

「そうだよ!…あっ、文子先生もいないか…金剛先生も教授室にいないみたいだし、ちょっと話しない?」

貴司の呼びかけに樹理奈と海斗も手を止めて集まって来た。あきはちらっとこちらを見ただけだった。

「全員、初級魔術師(オーレ)になったってね。」

樹理奈もやっと魔術関係の話題で口を開けるとなって生き生きした声だった。

「俺が最後だったみたいなんだ。」

勇太も言った。

「僕、まだ昨日からだからね。」

貴司も笑いながら言った。

「なあ、野上の意見聞きたいんだけど。」

海斗があきに向かって言った。

「やっぱり俺たちは良いように利用されてるのか?」

勇太も貴司も樹理奈も黙ってしまった。

「大部分はね。」

あきは答えた。

「魔術での人間界への干渉は原則禁忌だから向こうの言いなりになってしまうわ。」

「僕たちも戦うの?」

貴司が聞いた。

「術式もまともにまだできないのなら戦えない。」

あきがピシャリと言い放った。

「あいつらは俺たちを仲間にするのが目的なのか?本当の目的は何なんだ?」

海斗があきに詰め寄った。あきは海斗をじっと見つめた。

「Jewelsを増やすこと。でもそれだけじゃない。」

「何?」

「分からない。でも何かあるのは確か。」

あきは勇太たちの方を見た。

「私が修行中に『またハズレだった』って言われたことがあるの。何かを探しているのかも。」

「ハズレ?」

樹理奈も言った。

「エメラルドが野上さんのこと、1番才能があったって言ってたわ。」

「僕もパールから聞いたよ。」

貴司も言ったが、あきは首を横に振り、

「何がハズレかは私も分からないの。あなたたちはどうなのかも。ルビーたちに探りを入れるのムリだから分からないままなの。」

部屋の外で足音が近づいてくるのが聞こえた。

「あら、珍しいわね。」

助手が研究室に戻ってきた。

「あなたたち、いつも真面目に黙って研究してるから少し心配だったの。仲良くないのかなって。私の考えすぎみたいで良かったわ。」

助手はニッコリ笑って自分のデスクに戻って行った。

勇太たちももうこの話題ができないのは暗黙の了解だったので再び研究を再開した。



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