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研究室配属1

2限目終了のチャイムが鳴り、中島勇太(なかじまゆうた)は昼食を食べに食堂へ向かっていた。

「勇太、久しぶり!」

後ろから声を掛けてきたのは高校の同級生の田邑雅樹(たむらまさき)だった。

「あれ、いつも一緒のイケメン君は?」

「ああ、海斗はなんか用事があるとかで…雅樹こそ1人って珍しいな。この前一緒だった彼女は?」

雅樹は顔をこわばらせた。

「…別れた。」

「ええ!?この前一緒に飲みに行ったとき『あいつと結婚する』とか言ってたのに。」

「喧嘩して…まぁ色々あってさ…ってか勇太はどうなんだよ?彼女できたか?」

「相変わらずいないよ。」

「そっちの学部にアイドルいるじゃん?」

「原田さん?ほとんど話したことないよ。今度研究室一緒になったけど。」

「マジで!?頑張れよ!アドレスゲットしたら教えてくれ!」

「…はぁ。」

勇太には雅樹が冗談で言ったのか本気で言ったのか分からなかった。

2人で食堂に行き、勇太はカツカレー、雅樹は鶏南蛮定食を食べた。

「もう半分以上過ぎたんだよな。」

食堂から出た時、雅樹が少し遠くを見つめながら言った。勇太は何のことか分からず戸惑った。

「大学生活。もう3回生の9月なんだぜ。なんか早いよな。」

「…そうだな。」

雅樹と別れ、勇太は1人校舎に向かった。

今日、研究室配属が発表され、午後の講義終了後にそれぞれの研究室に行くように掲示板で通達があった。

新しい研究室で人気も高かったが何とか入ることができたが不安の方が大きかった。

『もう入学してから2年半になるのか…俺が思い描いてた様な大学生活をおくれているのは海斗とか雅樹の方だもんな。俺は相変わらず…何にもない平凡なんだよな。』

校舎に入り、掲示板を見た。

朝と変わらなかった。


“以下の者を有機化学研究室に配属する。


野上(のがみ)あき 松下海斗(まつしたかいと)

大林貴司(おおばやしたかし) 中島勇太

原田樹理奈(はらだじゅりな)


以上



教授 金剛大也(こんごうひろなり)


他にも各研究室ごとに所属発表の通知が貼られていた。

『成績順かな?学年トップ3(スリー)に元芸能人と俺って…俺以外が強烈すぎるだろ…俺が特徴なさすぎるのか…』

掲示板を後にしてエレベーターに乗りこみ、講義室のある5階のボタンを押した。エレベーターは勇太1人を乗せて昇っていく。

『後1年半で何か変われるだろうか。今より…少しでも輝いているんだろうか。』

エレベーターは5階に着いた。

エレベーターから降りてため息をついて講義室に向かって歩き出した。

この後2回講義を聴いたら研究室に行く。そう思うと気が重くなってきた。

ふと廊下の窓を見た。

窓の外は快晴だった。

『じいちゃん、俺頑張るから。』

そう思い、講義室に入っていった。


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