ガーネット
「ガーネットって…行方不明って言ってた…twelvesの?」
樹理奈がアメジストに言った。
「そう。簡単に死んだなんて思ってなかったけど、まさかここに潜入して、しかもコッパーに成りすましているなんて。」
アメジストはまだ驚きを隠せないでいた。
「それだったら1つ大きな疑問があるわ。本物のコッパーはどうしたの?コッパーは1000年前からいたけど、ガーネットはそのずっと後に魔術界入りしたのよね?はじめからコッパーの正体はガーネットだったってことはないはずなんだけど。」
アメジストが言った。
「それは本人に聞いて下さい。」
ガーネットの声は先ほどのコッパーの声とは違い、若い女の声に変わっていた。
「本人って?」
「私はガーネットの式神です。」
ガーネットはニッコリ笑った。
「じゃあ本物はどこ?」
「今は『常闇の空間』にいます。」
「ガーネットは何故ここに潜入してたの?」
「それも本人から聞いて下さい。そうそう、今の会話はあなた方の無線機には聞こえていませんのでお仲間にはご自分で説明してくださいね。私は次の指示がありますので。」
そう言うとガーネットの式神は錆の姿になり、部屋を出ていった。
アメジストと樹理奈は呆然と立ち尽くしていた。
「アメジスト!樹理奈!聞こえてる?」
無線機からリシアの声が聞こえ、2人は我に帰ることができた。
「2人とも無事?」
「大丈夫。無事だから。」
樹理奈が言った。
「良かった。」
「何が起きていたんだ?コッパーはどうした?無線機の妨害電波を流されていたようだ。対策はしておいたんだが。」
モリオンが言った。
「落ち着いて聞いて。実は…」
アメジストが話した。
「ガーネット…」
「ゴメンね、あき。今はブルーサンドストーンだっけ?あなたの闇魔力核のことは気づいていた。ボスに忘却術をかけるなんて大した子ね。」
ガーネットはあきを抱きしめた。
あきの目から涙がこぼれた。
「もうすぐ王子様が迎えに来るから一緒に逃げなさいね。」
そう言ってガーネットは立ち上がった。
「待って。ガーネットは?」
あきが聞いた。
ガーネットはあきに笑いかけ、姿を消した。
「うわー!」
叫び声とともに勇太があきの目の前に転がってきた。
「中島君?!」
「痛っ…あき!良かった!シルバーは?」
勇太は腰をさすりながら起き上がった。
あきはシルバーの亡骸を指差した。
「…あきがやったの?」
勇太が恐る恐る聞いたが、あきは首を振った。
「中島君はどうやってここに?」
「突然、錆が現れて手招きしてきたと思ったら、壁に開けられた大きな穴に突き落とされて…でも誰が…」
勇太がそう聞きかけたとき、あきの背後に大きな黒い蛇が現れ、襲いかかろうとしているのに気づいた。
「危ない!」
勇太は蛇があきに飛びかかる寸前に光の盾であきから蛇を守ったが、蛇が勇太の光の盾に当たった瞬間、盾も蛇も爆発し、勇太とあきがいた場所に大きな穴が開いた。
2人はそのまま穴の中に落ちていった。