新たな脅威
「無線機は持ってないけど、ケータイならあるわ。ここ、人間界なんだし。」
アクアマリンが携帯電話を取り出して、
「もしもし?モリオン?海斗…フローライトだっけ?と合流できたから。ニッケルを撃退したってとこね。フローライトに代わるわ。」
アクアマリンが海斗に携帯電話を渡した。
「モリオン、敵の目的が分かったんだ!」
海斗はモリオンにニッケルから聞いた話をした。
「うっそ…そんなことを…」
モリオンの横で聞いていたリシアが言った。
「予想と60%一致…だから奪還しなければ。ヤツが魔力が強い肉体を求めているのは魔術界と本気で戦う準備をしているということだな。とにかくお前たち2人はそんな格好をしていては見つかりやすい。アクアなら何とかするだろう。リシア、俺たちも移動するか。結界も張らなければ。ニッケルのヤツが誰かに潜入のことを漏らしてる可能性がある。」
そう言ってモリオンは電話を切った。
「なんでこの作戦でケータイじゃなくて無線機での交信にしたんだ?」
海斗が歩きながら言った。
「このアジトの地図をとりたいんだと思う。ケータイじゃ位置情報は不安定だし。とにかく、変装しなきゃ。」
アクアマリンが海斗に術をかけた。
「私たちも錆に見えるようにしたから。ただ、モリオンのローブと違って話し声はそのまま相手に聞こえるけど。とにかく、誰かと合流しなきゃ。」
海斗とアクアマリンは奥に向かって歩き出した。
「シルバー、毒抜きは終わったか。」
奥のシルバーの部屋にコッパーが入ってきた。
天蓋つきベッドであきが眠っていた。
その横でシルバーが寝そべっていた。
ベッドの周りには錆が数体立っていた。
「キレイさっぱり抜いたぞ。いよいよか。」
シルバーはあきの顔を撫でた。
「俺の女をキレイに飾ってやってくれよ。」
シルバーは錆の1体に言い、部屋を出ようとしたが、
「魔術界のヤツは来てないだろうな?」
と振り向いてコッパーに聞いた。
「お前が見張りを増やしたのだろう?」
コッパーが言った。
「じゃあ闇を高めてくれば良いんだな?そのあと、『常闇の空間』か。」
「そうだ。王の完全なる復活に近づくのだ。」
シルバーが部屋を出た。
コッパーが錆たちを集めた。
「プラチニウムにこれを着せろ。」
そう言って真っ黒なウエディングドレスを渡してコッパーも部屋を出た。
「モリオン、とりあえず錆をやっつけたら良い?」
錆の1体は樹理奈とアメジストだった。
「あきちゃんの口から小さな銀色の蛇が何匹も出てきたの。それらがシルバーの体に吸収されてた。今ならあきちゃんを…」
「待て。シルバーのことだからまた来るかもしれない。コッパーもだ。クォーツたちが来るまで待つんだ。」
アメジストがモリオンと交信している時だった。
コッパーが入ってきた。
「お前、来い。新たな仕事だ。」
コッパーが樹理奈とアメジストが扮する錆を呼んだ。
「せっかくあきちゃんに近づけたのに。」
樹理奈とアメジストは言われるがまま部屋を出た。
コッパーは樹理奈とアメジストを何もない広い部屋に連れてきた。
コッパーはドアを閉めた。
「久しぶりだな。アメジスト。まさかお前がここまで来るとは。」
コッパーはニヤリと笑った。
「アメジスト、バレてる…」
「仕方ないわね。」
樹理奈とアメジストはローブを脱いだ。
「やはりもう1人いたか。」
「まだくたばってなかったのね、ばあさん。」
アメジストが言った。
「お前とわしとの年の差はもう誤差範囲だぞ。」
「モリオン!アメジストたちもバレてる!ヤバイ!コッパーじゃん!」
モニターでこの様子を見ていたリシアが言った。
「まさか、コイツにバレるとは。」
「ニッケルにバレるのは予想範囲だったの?」
「私の予想だけど、モリオンはわざとニッケルとあんたを接触させたんじゃない?」
移動しながらアクアマリンが海斗に言った。
「あんたならニッケルから情報を上手く引き出せるって確信してたんだと思う。ニッケルは自分に過信しすぎてるところがあるから。結果的にモリオンの読み通りってとこかな。」
「ばあさん、手加減しないわよ。」
アメジストが構えた。
「樹理奈…クリソなんちゃらだっけ?クリナで良い?あんたはさがって。サポート頼むわ。」
「クリナは嫌よ。」
「もう決定だから。」
「2人まとめてつぶしてやるわ。」
コッパーが言った。