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男子会1

それから授業のない土曜日と日曜日以外は午前中は魔術修行、夕方から研究の日々が1週間ほど続いた。

勇太は魔力を出すのは慣れてきたが、まだ丸く形づくることはできなかった。

『扉の空間』ではみなバラバラに修行しているし、講義室には他の生徒もいる、研究室では助手がいるので自分以外のメンバーがどんな修行をしていてどれくらい魔術が上達しているのかなかなか聞く機会がなかった。

「なぁ、今度ウチで飲まないか?大林も誘って。」

昼ご飯を食べているときに海斗が言ってきた。

「さすがだな。その手があったか!」

勇太は頷いた。

「でも、原田さんと野上さんもいてくれた方が色々情報が…」

「原田は取り巻きに知れたら一緒に参加くるかもしれないだろ。野上にも色々聞きたいけど、女の子1人は…かわいそうかなと思うんだけど。」

海斗が樹理奈の取り巻きを嫌がるのには理由があった。樹理奈の取り巻きの1人、紅玲夢(くれない りむ)は入学当初の海斗の元カノでわずか2日で破局した。原因は勇太は直接聞いていないが、「あいつ、頭悪すぎだろ。」とものすごく海斗が怒っていたのを覚えている。玲夢の方から何度か復縁を迫っていたようだが、海斗は相手にしなかった。化粧は濃く身なりは派手で樹理奈には元芸能人だから近づいたように勇太の目には映っていた。成績はあまり良くないようで、留年の1歩手前だと話していたのを聞いたことがあった。

「じゃあ、いつ飲む?」

「大林とも相談してみるか。」

貴司と話し合って土曜日の研究が終わってから海斗の下宿先で情報交換をかねての飲み会をすることになった。

3人はお酒とおつまみを買って海斗の下宿先へ向かった。新築のデザイナーズマンションで勇太は何度も来ているが貴司は初めてだった。

「…すごいオシャレなところに住んでいるんだね。」

貴司はビックリしていた。玄関はオートロックで、フロアも広くてキレイだ。大学周辺のマンションで家賃が1番高いという噂だ。

「俺も初めて来たときはビックリしたよ。」

勇太が言った。

部屋は広いリビングに大型の液晶テレビとテーブルとソファーが置かれていた。しかもちゃんと掃除もされていた。

「大学生の部屋じゃないよね…松下君モテるわけだ…」

貴司は驚きっぱなしだった。

3人はソファーに座ってお酒を飲み始めた。

「修行のことだけど…」

海斗が口を開いた。

「あぁ、そうだった。」

勇太は集まった目的を忘れかけていた。

「やっとこの話ができる。大学じゃ迂闊に話できないから。」

貴司はメモを取り出した。

「勇太から聞いていたけど、すげぇな…」

メモをパラパラ見ながら海斗が言った。キレイな字で誰が見ても分かりやすいように情報を整理して書かれていた。勇太は帰宅中に何度か見せてもらっていた。

「『扉の空間は魔術界と人間界の間にある』ってどういうことだ?」

海斗が貴司に聞いた。勇太もメモを覗きこんだ。

「パールに聞いたんだ。『扉の空間』は僕たちにとって魔術界への入口みたいなものらしいんだ。魔術師は人間界に干渉してはいけないきまりだって。『扉の空間』も入れる人が制限されているのもそういう理由みたい。」

「確かに、魔術が使えればやりたい放題だもんな。」

海斗が言った。

「修行どこまで進んでいる?」

勇太が聞いた。

「やっと魔力を球体にすることができたかな…」

海斗が言った。勇太と貴司は驚いた。

「俺、まだそこまでは…」

「僕も…」

「ウチの師匠のオパールなんだけど、見た目通りチャラいんだよな…本気で原田を教えたかったみたいだから原田と一緒にやってるんだけど、原田を口説こうとするか何にもしないかだからほとんどエメラルドから教わっているんだよな…」

「原田さんも球体にできるの?」

勇太が聞いた。

「あぁ、エメラルドの教え方が上手いみたいだ。師匠の中でも古株だって。勇太の師匠のペリドットだっけ?エメラルドの弟子らしいし。」

「えっ、初耳だよ。」

「色々師弟関係多そうだよね。パールもダイヤの弟子だったって言ってたし。」

貴司も言った。勇太はペリドットとほとんど雑談していないのに気がついた。

海斗と貴司は今日のためにそれぞれの師匠から色々情報を引き出してきたことにも気づいた。少し疎外感を感じた。

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