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鉱山(マイン)

貴司は少し驚いていたが、海斗は表情を変えなかった。

「敵のアジトに乗り込むんだな。」

海斗の言葉に勇太は頷いた。

「敵のアジトは鉱山(マイン)と呼ばれ、人間界にある。そこに行くにはヤツらが作った坑道(ゲートウェイ)の入口を見つけなければいけないが、当てはあるのか?リシアがリチウムだった時に使っていた物は閉鎖されてる。お前たちが泊まっていたホテルの側にもシルバーが作ったものがあったらしいが、それも使えない。」

モリオンが聞いた。

「ジルコンが見つけたものがある。向こうもまだ知られていることに気づいていない。」

クォーツが言った。

「なるほど、クォーツも一緒というわけだな。」

モリオンが言った。

「他は誰が行くんだ?」

海斗が聞いた。

「誰も。」

勇太が首を振った。

「俺も手伝う。」

海斗が言った。

「海斗…」

「サポートぐらいなら僕できるよ。」

貴司が言った。

「弟子のサポートは俺がするか。」

モリオンも言った。

「ただ、5人で作戦を立てるのか?」

海斗がクォーツに聞いた。

「そろそろ来るか…」

クォーツが呟いた。

「いたいた!って、増えてるじゃん!」

アメジストも食堂にやって来た。

勇太の知らないところでクォーツはアメジストに声をかけていたようだった。

アメジストの後ろにはリシアと樹理奈もいた。

「傷の方は大丈夫?」

樹理奈は勇太に聞いた。

「もう大丈夫だよ。ありがとう。原田さんには迷惑かけたね。」

「じゃあ、良かった。」

樹理奈はようやく笑顔を見せた。

「ロードにも声かけようかと思ったんだけどいないのよね。そういえば最近見ないし。」

アメジストが言った。

「あまり多人数だと良くない。」

クォーツの言葉に、

「えっ、なんで?敵のアジトに攻めこむんでしょ?」

樹理奈が聞いた。

「多ければ多いほどこちらの情報が漏れやすくなる。」

モリオンが言った。

「魔術界総出で攻撃しかけた方が良いような気がするけど。」

貴司も言った。

「それが、ムリなのよねー。私たちの立場が弱くなっちゃったから。」

アメジストが言った。

「どういうこと?」

樹理奈が聞いた。

「今回のことでダイヤモンドやクォーツといった魔術界創設組とオパールたちのようなそうでない者との亀裂がさらに深まった。もともと創設組は色々隠し事が多過ぎだった。そこから不満が生じ、安倍晴明の件、そして今回の件でオパールの怒りが爆発したというわけだ。」

モリオンが代わりに説明した。

「モリオンはどっちなんだ?」

海斗が聞いた。

「どっちでもない。だから今回俺も参加するんだ。ところで、ダイヤはどうなんだ?」

モリオンはクォーツに聞いた。

「まだ言ってないが、師匠は鉱山(マイン)には行けない。晴明様は知っている。」

「そうか。」


その頃、鉱山(マイン)ではー

「聞いてない!ふざけんな!」

鉱山(マイン)にはいくつもの洞窟があり、その8畳ほどの1室でマーキュリーが怒りをぶちまけながら叫んでいた。

「そのセリフ、もう何百回目よ?いい加減聞きあきた!」

マーキュリーと同じボンデージ姿の真っ黒いボサボサのロングヘアーの女が寝転がりながら言った。

「アーセニック、あんたはこのままで良いわけ?」

マーキュリーが寝転がっている女に言った。

「だってー、ボスの意向なんでしょ?まさかあんたが殺したがっている女がねー。」

アーセニックは起き上がった。

「ボスに忘却術をかけていたんだからプラチニウムの名前も伊達じゃないことぐらいは分かるでしょ?」

「ボスの意向って…シルバーとコッパーのババアが勝手に言ってるだけじゃないの!?鉱山(ここ)にいるんだからアイツを…野上あきを殺しに行きたい!」

「諦めろ。」

マーキュリーたちのいる洞窟に男が入ってきた。

男は濃い青い目をしていて、黒いライダースジャケットに黒の革のズボンを履いていた。髪は紳士風に七三分けだった。

「あの2人の意向はボスの意向同然。だいたい、お前は何度もやられているのに誰のおかげで処分されずにすんでいるんだ?女王を喜んでお迎えするべきだ。」

「マーキュリー、コバルトのいう通りね。シルバーがあんたの特殊能力を気に入ってるからでしょ?それとも、シルバーを取られた嫉妬かしら?」

アーセニックはフフンと笑った。

「…うるさい。」

マーキュリーはグッと奥歯を噛みしめた。怒りはまだおさまっていなかった。


あきは鉱山(マイン)の奥の広い1室で黒いドレスを着せられて天蓋付きベッドで眠っていた。

その横でシルバーがいとおしそうにあきの頭を撫でていた。

「手をつけていないだろうな?」

喪服を着た腰の曲がった老婆が入ってきた。

「俺のものにしたくてウズウズしてるぜ。」

シルバーがあきの頬に触れた。

「それは王のものであって、お前のものではない。」

老婆が言った。

「分かってる。でも、結局俺のものになるんだがな。」

シルバーは老婆にニヤリと笑った。

「お前には何度言っても同じか。」

老婆は呆れていた。

「我慢できねーから別の女を喰ってやった。なかなか良い女だぜ!散々抵抗した後、俺に従順になったところとかかわいくてしかたねーよ!俺のモノになるまでにはずいぶんかかったが、楽しませてもらった。」

「…まぁ良い。」

「ところで王は?」

「部屋で力を蓄えておられる。」

「じゃあまだ当分お預けかー。」

シルバーはあきの身体に触れた。

「ところで、コッパー。魔術界の様子はどうだ?まさか俺の女を取り返しに来たりはしないだろうな?」

「わしにもまだ分からん。ボスは何もおっしゃってなかった。」

「そうか。俺はいつでも準備が出来てるぜ!女とのお楽しみも。魔術界のヤツらと戦うのも!」

シルバーはあきの寝顔を見てニヤリと笑った。

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