小さな星
教授は18時半に帰っていった。
勇太たちも19時に研究を切り上げた。
研究室をみなで出た。助手が鍵をかけた。
「文子先生は金剛先生とお帰りにならないのですか?」
樹理奈が聞いた。そういえば親子なのに一緒に帰らないのか…と思っていると、
「えぇ、父は…教授は今日は理事たちとご飯を食べるとかで早く帰られたみたい。」
そう言って鍵を守衛室に返しに行くと言ってその場で別れた。
勇太たちも校舎を出てそれぞれ別れて帰っていった。
同じ方向へ帰るはずの貴司は友達と待ち合わせていたらしく、結局勇太は1人で帰った。
帰宅後、夕食を食べてお風呂に入って自分の部屋でぼーっとしていた。
本棚に置いている手のひらサイズのアンモナイトの化石が目についた。昔、祖父がどこかに旅行したときのお土産だ。それを眺めながらため息をついた、
『じいちゃん。昨日今日って色々ありすぎて、まだ頭ん中混乱してるよ…俺が魔術師になるんだって!明日から本格的に修行するって…研究も始まったし…普通の生活じゃなくなるんだよな…俺、どうなるんだろ?』
勇太はじいちゃんが大好きだった。幼稚園児だった頃に一緒に星を観に行ったときにじいちゃんが言ってくれた言葉が今でもはっきり覚えている。
『勇太。お前はわしにとってほら、あの小さい星なんだよ。小さくてもキレイに光っている星なんだよ。勇太ならいつか月や太陽みたいにでっかくてもっともっと光る存在になれるよ。』
じいちゃんの言葉を思い出しながら勇太はベッドに寝転がり、目をつぶった。
『じいちゃん、俺、まだまだ月や太陽になれそうにないよ。でも、少しは大きく輝いた星になれてるかな?』
勇太が部屋でくつろいでいる頃、大学の校舎の屋上に黒いフードを被った男2人が現れた。
「扉、開いたみたいだな。」
「ガーネットは見つかったのか?!」
「いや、ロードクロサイトが代わりをしたそうだ。ダイヤも出てこなかったからクォーツが出てきたそうだ。」
「もうtwelvesも終わりだな。オニキスも始末したし、jewelsが崩壊するのも時間の問題…」
「いや、5年前の時の女が今回いるらしい。」
「マーキュリーを追い詰めたヤツか!?厄介だぞ!」
「Jewels入りを断ったと聞いていたんだがな。ずっとヤツらの監視があったのもこのためだったのかもな。お陰で接触できなかった…」
2人は何かに気づいて消えてしまった。その直後、クォーツとアメジストが現れた。
「逃げられたね。」
アメジストが悔しそうに言った。
「ヤツら扉を開けたことに気づいているかもな。」
「監視つけとく?」
「いや、あきがいるから大丈夫だろ。それより警戒しとかないといけないな。また戦争が起きるかもしれないぞ。」
クォーツの言葉にアメジストが頷いた。