jewels入り
幸せな初デートの次の日は教授から指定されていた日だった。
「GWなのに大学に行かなきゃいけないなんて。」
研究室に向かう途中、勇太は海斗に会った。
「昨日のデートはどうだった?」
「お昼は海斗に教えてもらったイタリアンに行ったんだけど…」
研究室に入るともうあきと貴司と樹理奈が来ていた。
あきの左薬指には勇太とのお揃いのペアリングがはめられていた。
それを見て勇太は安心とうれしさがこみ上げてきた。
「おはよう。」
「みんな揃ったね。」
いつの間にか、教授と助手が研究室のドアの前に立っていた。
「では、『光と闇の空間』へ。」
そう言って、指をパチンと鳴らした。
一瞬で周りの景色が研究室から『光と闇の空間』に変わった。
勇太たちと教授の間の床には五芒星が大きく描かれた魔法陣が浮かび上がっていた。
教授の後ろにはルビー、サファイア、エメラルド、クォーツ、アメジスト、ジルコン、さらに1歩下がったところにオパール、アクアマリン、モリオン、パール、ターコイズが装束姿で立っていた。
「宝石核と宝石と同じ名前を授ける。まずは、松下海斗。君にはこれだ。」
教授は海斗に手のひらよりも一回り大きい、紫がかった黄緑に近い水色の透明な宝石を渡した。
「『フローライト』そして、原田樹理奈には『クリソプレーズ』。」
教授は樹理奈にアップルグリーンの宝石を渡した。
「大林貴司、『フリントストーン』。」
教授は貴司には灰色の石を渡した。
「中島勇太、『メタモルフォシス』。」
勇太の手に乳白色の宝石が渡された。
体中の魔力が宝石に吸い寄せられ、宝石は光輝いた。
そして、宝石は勇太の体へ溶けるように入った。
『すごい…!魔力が以前よりも増しているのが分かる…』
勇太はメタモルフォシスが入っていった胸をなでながらそう感じていた。
「最後は野上あき。『ブルーサンドストーン』」
教授はブルーというより黒に近い紫で、キラキラとラメが光る宝石を渡した。
その様子を見たオパールは眉間にシワを寄せた。
「これで君たちはjewelsの一員、俺のことはダイヤと呼んでくれても良い。ただ、大学では『金剛教授』だがね。」
教授は勇太たちひとりひとりと握手を交わした。
「これから魔術界へ案内するわ。ついてきて。」
助手が壁に手をかざすとドアが現れた。
ドアがひとりでに開き、勇太たちは中に入った行った。
「なあ、モリオン。あきのヤツ、まさか…」
「さすがだ、オパール。そう、人工石だ。」
オパール、アクアマリン、モリオン、パール、ターコイズは『光と闇の空間』に残っていた。
「どういうこと?」
アクアマリンが聞いた。
「あきはまだ監察対象ってことなのね。」
パールが言った。
「その通り。あきに渡したブルーサンドストーンは天然には存在しない石だ。ダイヤと俺が造った。そして、あきにある闇魔力核を監視し、抑える術をかけている。」
モリオンが言った。
「『宝石核を渡す者、つまりダイヤは宝石核には術をかけて渡してはいけない』って規則、ダイヤ自身が破ってるじゃん。」
アクアマリンが言った。
「闇魔力核持ちだから反則もなにもないんじゃない?」
ターコイズが言った。
「つまり、ダイヤも敵の動きを警戒しだしたいる。それを向こうには悟られないようにってとこか。」
オパールが言った。