海斗の特殊能力
貴司は体を硬直させてまた顔を真っ赤にした。
「図星だな。」
海斗が言った。
「うっ…う…」
貴司はうめいていた。
「恋をすることは恥ずかしいことじゃないわ。」
ラピスラズリが言った。
「いないぜ。ちょうど2日前くらいに野上とそんな話してるのを聞いたから。」
海斗が言った。
「本当!?」
貴司は叫んでしまった。
「応援してるぞ。」
海斗が貴司の肩に手をポンと置いてニヤニヤしながら言った。
「若いわね。羨ましいわ。」
ラピスラズリはニコニコして貴司を見ていた。
「そうだ!ねぇ、あなたよね?火と水を同時に出せるのって。」
ラピスラズリは海斗に詰め寄った。
「おっ、まぁ、はい。」
海斗は突然自分にふられて、驚いてやや引きぎみだったが、両手のひらを上にして左手から火の玉を右手から水の玉を出して見てた。
「んおっ?!」
モリオンは前のめりになって海斗の手から出た火の玉と水の玉を見ていた。
「すごいことなんだ…」
モリオンの驚き様を見て勇太が言った。
「火と水って相性的に良くないから両方使える魔術師ってあまりいないのよね。両方同時に使えるのはアメジストぐらいだったのに。ルビーが驚いてたってフラーレンが言ってたわ。」
「アメジストの専売特許がなくなったな。第一属性は水だったか?それなのに火属性を同時に使えてるとなると特殊能力決定だ。」
モリオンは腕組みをして感心していた。
ちなみにアメジストは火属性と水属性の両方が第一属性で、それがアメジストの特殊能力だとモリオンは説明した。
「ひょっとしたら他の属性も同時に使える可能性もあるな。適応力…適応力ってとこだな。」
「特殊能力か…ないのは僕だけだね。」
貴司は少し残念そうに言った。
「俺もあるのかないのか分からないよ。」
勇太が言った。
「中島君は晴明と魔力が同じ性質って…」
「その晴明と同じってのがどういうことか分からないんだよ。」
勇太が言った。
確かに、『晴明の器』、『晴明と同じ性質の魔力』と言われても実感したことも晴明から詳しい説明を聞いたこともなく、勇太自身もよく分からないままだった。
「代表的なのは『純度の高い魔力』。でもお前はそれだという確証はないな。」
モリオンは晴明の特殊能力はいくつかあるらしいが、勇太の魔力は属性に混じりけのない『純度の高い魔力』という可能は否定も肯定もできないとのことだった。
「まぁ、特殊能力のことは気にしなくても良い。ないヤツだっているし。お前の師匠のクォーツだってそうだ。」
「えっ、えー!?」
勇太はかなり驚いた。以前、あきからjewelsのほとんどが特殊能力を持っていると聞いていたので当然クォーツにもあると勝手に思い込んでいた。