裏切り者の末路
「裏切り者はペリドットだった。」
クォーツが言った。
「裏切り者?どういうこと?ペリドットはどうなったの?」
勇太はペリドットの姿が消えてしまったことが理解できずにいた。
「敵にこちらの情報を漏らしたのはペリドットだ。マーキュリーと繋がっていたようだ。最期はマーキュリーの術に支配されてしまったが。」
クォーツが言った。勇太にはその口調が冷たく感じた。
「ペリドットはどこに行ったんだ?!」
勇太はイライラして叫んでしまった。
「処分した。」
クォーツが言い放った。
勇太の顔が凍りついた。
「処分って…殺したってこと?!」
樹理奈も驚いて聞いた。
クォーツは黙っていた。
「何でだ?!敵は殺さないのに!」
海斗も驚いて叫んだ。
「海斗、あぁするしかもう方法はなかったんだ…」
オパールが言った。いつもは海斗のことを『元バカ弟子』と呼んでいるオパールが海斗を名前で呼んだことに勇太たちは内心、少し驚いた。
「俺も…ペリドットの様子が変なことに気づいてた…まさか…こんなことになるなんて…ラピスに聞いたときは信じられなかったが、いざあんな姿のペリドットを見てしまうと…」
オパールはガックリ肩を落としてうなだれていた。
その様子を見て勇太も海斗も少し冷静になった。
しばらく『扉の空間』に沈黙が続いた。
「ダイヤに報告に行くわよ。」
アメジストがクォーツに言った。
2人はそのまま姿を消した。
「晴明様、そろそろ人間界に…」
サファイアが晴明に言った。
ルビーはエメラルドに寄り添っていた。
エメラルドは泣いているのか両手で顔をおおっていた。
「では、主。戻るぞ。」
晴明がそう言うと勇太たちは昼ごはんを食べていた準備室に戻っていた。
勇太は自分のお弁当に唐揚げが1つ残っているのに気づいたが、魔力をほとんど消費してヘトヘトなはずなのに唐揚げが全く喉を通らなかった。
「今、先生のところに行ったらアメジストとクォーツもいるんだよね…」
貴司が恐る恐る言った。
勇太は今はクォーツの顔を見るのが辛いし、怒りがこみ上げてきそうだった。
「俺、もうしばらくここにいる…」
勇太が言った。
「俺もいるわ。」
海斗も言った。
「私は行ってくる。ちょうど良い機会だし。」
そう言ってあきは準備室を出た。
「…私も行ってくる。」
「大丈夫になったら呼びに来るよ。」
そう言って樹理奈と貴司も出て行った。
勇太と海斗は準備室で座ったまま一言も交わさずにいた。
しばらくして貴司が戻ってきた。
「先生、いなかったよ。野上さんが『たぶん、魔術界にいるんじゃない』って。」
「ありがとう…」
勇太はまだ立ち上がろうとしなかった。
「研究の続きするか。」
海斗が立ち上がって背中を伸ばしながら言った。
「そうだな…」
勇太もやっと腰を上げた。
「では、主。また自宅でな。」
そう言って晴明は消えた。
勇太たちは準備室を出て、研究室に向かった。




