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闇の中での模索

「主の命に応えたいが、わしにも分からぬ。」

少し間が空いて、晴明が言った。

「そんな…」

「マーキュリーの術だったらあの腕は水銀でできているんじゃないか?だったら水銀を根こそぎ出したら…」

海斗が言った。

「そんな簡単なものじゃない。闇とマーキュリーの水銀がペリドットの体を完全に蝕んでしまっている。光で浄化する方法もムリだろうな…もう手遅れなんだ。」

サファイアが言ったそばから腕がまた攻撃してきた。

今度はあきが魔法陣の盾を出して、攻撃を防いだ。

「この嫌な感じ、まさしくマーキュリーね。」

ルビーが言った。

「大林君、俺をペリドットの精神の中に入れてほしいんだけど。」

勇太が貴司に言った。

「無茶よ!あなたまで闇に犯されるわ!マーキュリーの術を甘くみてはダメ。それに、狙われているのはあなたなのよ!」

ルビーが頷こうとした貴司を制止して言った。

「じゃあ…どうすれば…」

勇太は必死にペリドットを元に戻す方法を考えていた。

「ルビー、火属性の攻撃で強力な術ならマーキュリーの術ごと焼き去ることはできるんじゃない?」

あきが言った。

「ほう。」

晴明はあきを見て感心したのかニヤリと笑った。

「できるけど、ペリドットの魔力核(コア)が術に犯されてしまってるからいたちごっこ状態になってしまうわ。」

ルビーが険しい顔で言った。

「ごめんなさい。この子たちを止められなくて。」

助手も『扉の空間』に現れた。

「オ…フ…ミ…?」

ペリドットが首を傾けてじっと助手を見ていた。

『オフミ…お文…そうだ確か…』

勇太はペリドットが伊吹勘助だったときの話を思い出した。

「お文ー!」

ペリドットが叫ぶと同時に背中の腕がさらに、2本生え、4本同時に助手に向かって勢いよく伸びた。

「うわぁー!」

目から血の涙を流しながらペリドットはまた叫んだ。

「フラーレン、危ない!」

ルビーの手から炎が出た。炎は4本の腕を包み、完全に腕を焼き去った。

「これならいける…」

勇太は少し希望が見えたと思った。

しかし、またペリドットの背中から腕が4本生えた。

「お文…なぜだ…」

ペリドットは血の涙を流しながら助手に向かってゆっくりと歩き出した。

「中島君、今のペリドットなら正気に戻せるかも。」

あきが勇太に言った。言葉が片言でなくなっていることに勇太も気づいた。

「ペリドットの精神に少しだけ入って、光属性の回復系の術でマーキュリーの闇属性を浄化するの。でも、本当に入るのは少しだけね。」

「よし、やってみようか。」

貴司は術の準備に取りかかろうとした。

「リスクが高すぎる!やめなさい!」

エメラルドが貴司を制止しようとしたが、

「中島君には晴明がついているわ。中島君がマーキュリーの術に犯されたら困るのは晴明もでしょ?」

あきが晴明を見て言った。

「左様。主の命があればわしも手助けしようぞ。」

晴明はニヤリと笑った。

「晴明、手を貸してくれ。」

勇太はまっすぐ晴明を見た。

「御意。」

晴明は勇太の肩に手を当てた。

勇太の目の前が真っ暗になった。

「ここはあやつの精神の中だ。」

晴明が勇太の肩に手を置いたまま言った。

さっきまでそばにいた海斗たちの気配がないので、勇太と晴明2人がペリドットの精神の中に入っていることが分かった。

周りはただ真っ暗で何も見えず、体の芯まで凍りそうなくらい寒く感じた。

「主よ。自身の魔力でこの闇を浄化するのだ。術など気にすることはない。」

勇太が回復系の術をクォーツから教わっていないことは晴明にお見通しのようだった。

『浄化…清らかな川の水が汚れを洗い流すイメージ…』

勇太は手からありったけの魔力を放出した。

「ペリドットに…届け…!」

勇太の魔力は闇を浄化し、光の筋道を作るが、新たな闇が流れ込んできて浄化しきれなかった。

「やはり、きりがないか。」

晴明が分かりきっていたように呟いた。

「ペリドット…」

勇太は諦めずに魔力を放出し続けた。

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