テスト勉強3
下校時間ぎりぎりまで沙耶に英語の今回のテスト範囲の部分を教わっていたけれど、沙耶は教えるのが上手い。この数時間だけで今まで分からなかったことが大分理解できた。
わからないところをピンポイントで教えてくれたからかな。
「じゃあ、そろそろ帰りましょうか」
「そうだね」
ん、そういえば。
「沙耶は苦手な科目とか無いの?」
勉強は普段から予習復習をやっているって言っていたけど。
「私は……その、数学が、ちょっと……」
「数学が苦手?」
「はい。どうしても公式の応用とか使い方が理解できないところがあって……」
そうなのかー。あ、それじゃあ。
「それならさ、明日から放課後は部室で俺は英語を教えてもらって、沙耶には俺が数学を教えるってのはどう?」
まあ、それでも後輩に勉強を教わることに変わりは無いから情けないのは情けないけどな……。
「いいんですか?」
「もちろん! 教わってばっかりだと俺いいところ無しだし。ちょっとは先輩らしいことさせなさいって」
「まあ、先輩が先輩らしくないのはいつものことですけどね」
相変わらずの毒舌だなあ。ま、それも沙耶の魅力の一つだけど。
「じゃあ、よろしくお願いしますね、先輩」
「うん、こちらこそよろしくね」
「そこ、違います。さっきの問題と考え方は同じです」
「はい」
「ここも違います。というかこれは昨日やったところと同じですよ、少し形が違うだけです」
「はい……」
それから期間中、沙耶に英語を教えてもらった俺だったが、どうやら相当に出来の悪い生徒だったようで沙耶先生にはかなり苦労をかけてしまったようだった。
それに比べ……。
「そこはさっきの公式を応用するんだよ」
「ああ、なるほど。じゃあこれもそうですか?」
「そうそう」
沙耶は要領が良いというわけではないが一度理解すると飲み込みは早いな。
この範囲くらいならもう俺が教えなくてもほとんど解けそうだ。
「ありがとうございます、おかげで大分わかりました」
「いや、俺のほうこそお世話になってるし」
「先輩の英語が苦手だということがここまでだとは思ってませんでしたが」
それに関しては俺自身も驚いてる。
こんなに酷かったとは……知佳はよくこんな俺に毎回赤点回避させていたのだと感心する。