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黒の銃騎士   作者:
学園編
14/37

十二話 『生徒会との遭遇』

 ー模擬戦前日ー




「いよいよ明日ね」


場所は一年A組。俺を中心にチームのメンバーが集まっていた。


「ようやくきましたね」


模擬戦は二日に分けて行われる。

1クラス40人で8チーム。クラスが五つあるから人学年で40チーム。

各学年最強のチームが決まったら一年生と二年生のチームが対決し

勝利したチームが翌日三年生チームと戦うことになる。


チームのメンバーであるナナやエリルのテンションはかなり高まっている。

リサも声に出してこそ言わないがナナやエリルの発言に力強く頷いている

ところからもやる気は十分のようだ。


「はぁ~あ。つっても俺らの出番は明後日だろ?」

ギルバルトがあくびを噛み殺しながら言う。

出番が明後日と言っているのは決勝戦まで自分まで回ってくることがないという

チームへの信頼からくる発言だ。俺自身まだこの学園の平均的な力がどの程度なのか

わからないがこのチームなら決勝まで難なく上がって行く気がする。


「気をつけるべきは生徒会チーム。一応ここ数日で情報を集めはしたけど

十分とは言えない。」


ナナが気を引き締めるように言う。

聞いてびっくりしたのが生徒会チームは全員がAランクだそうだ。

それもAランクでも二つ名持ちは希少と言われているにもかかわらず全員が二つ名持ち。


ああ、二つ名っていうのは話すと非常に面倒なんだが(俺自身それほど理解していない。

正直魔法が使えない俺には無縁のもんだからよ)、『魔法連盟条規』に記されている

一定の条件を満たすことで得られる『勲章』みたいなもんらしい。その規定が非常に

厳しく二つ名を取ることは非常に困難とされている。

ならなぜたかが学生が取れるのかって?

話は簡単。『魔法の才は幼い頃から現れる。

名を馳せる魔術師は等しく幼少より突出した才を見せる』ということらしい。

簡単に言うと強い奴は最初から強いというまぁチートみたいな感じだな。

魔力の量は最初から決まっており年をとっても変わらないらしいし魔力量からして

力量に差がつくそうだ。ただ魔力がいくらあっても魔力操作が下手くそだったら

宝の持ち腐れ状態になるそうだ。

そうならないために魔法学校など教育機関が充実してるんだってよ。



とまぁ、話がそれたな。生徒会チームについてだが話を聞けば聞くほど厄介なチームだ。

一年生の頃から優勝しているだけのことはある。ってかそもそも教師もどうして

こいつらをひとまとめにしたんだろうな。どう考えてもオーバーキルだろ。



「はぁ~ぁ、まぁ今日はみんなゆっくり寝て体調整えておけよぉ」


どこか他人事のようにギルバルトの発言で俺たちは解散した。


エリルはなんでも最後の打ち合わせがあるとかでリナたち三人で話してから帰るという

ことだったんで男ひとり教室にいるのもいずらい(ほかの生徒は全員すでに下校していた。

ギルバルトは話が終わって速攻で帰った)ので校門で待つことにした。



「はぁ~」

模擬戦が明日なのにいまいち緊張感がわかない。やっぱりチームの奴が強いからだよな。

校門にもたれぼーっと空を見上げていたら五人の人影が近づいてくるのが目に入った。


視界の端でそいつらを捉える。赤い百合のバッチを胸にはめている。あれは三年生

であることを証明するものだ。こんな時間まで打ち合わせするとは、

意気込みばっちりだな。

俺は特にそいつらに用件があるわけでもないのでぼーっとしていたのだが五人が俺の前を

通り過ぎる直前。一人の男が声をあげた。


「ん?って、おいおい、こいつ、噂の転入生っしょ」

背は高く細身だが鍛えられていることが制服の上でも伺える。髪は青。


「誰だ?」


「え、俺のこと知らない!?まじで!?」

男は軽い口調で話す。

知らねぇよ。誰だこいつ。喋り方からしてめんどくさい。


「知らねぇよ。めんどくせぇな。さっさといけよ」

俺は思ったことをそのまま口にした。


「おいおい、下級生のくせにその言い草はないっしょ?

 お前、今ここでつぶしちゃうよ?」

軽い口調はそのままに男がさっと身構える。

なんだ、こいつ。好戦的だな。どうすりゃいいんだ。俺。

模擬戦前に手の内を明かすのは気が引けるしな。

(秘密にしておいたほうがインパクトが強いから)

結局念の為に自分の前に空気の壁を作るだけにした。


男が詠唱を開始しようとしたときだった。

それまで黙っていた少女が口を挟んだ。


「シーサー!やめなさいな。みっともないですわ」


「おいおい、そりゃないっしょ」


身構えていた男がすっと力を抜く。


「失礼したわね。私はニナ・ル・グローラ。生徒会副会長です。

そしてこっちはシーサー。生徒会会計よ」


どぉも~とシーサーと呼ばれた男が挨拶をする。

なるほど、こいつらが生徒会チームか。女子三名。男二名。

聞いていた通りだな。


「こんな遅くまで模擬戦の打ち合わせをしてたのか?熱心だな」


俺はやや挑発的に言った。仲良くなりたいなんて微塵も思わなかったからな。

どうせ戦う相手だし。


「っへ、冗談はよせよ。俺らは生徒会だぜ?

 だったらやることは一つ。生徒会の仕事しかないっしょ」


この男をぶん殴りたい。激しく。まぁ、でもなるほど。

模擬戦という一大イベントの前と

なるといろいろ生徒会もやることがあるんだろうな。ご苦労なこった。



「いい戦いができることを期待しているわ。それでは。」


生徒会副会長の言葉を最後に生徒会チームは学校を去っていった。



んで、どれが生徒会長だったんだ・・?

っつかあいつら全員自宅から通ってるのか。やっぱ金持ちなんだな。

(ギルバルトは寮)



それからしばらくしてエリルたちが戻ってきたので途中まで一緒に帰った。






「どう思ったよ?」

 シーサーが皆に尋ねる。


「魔力を一切感じませんでしたわ。隠しているようでもなかったですし、

 噂は本当のようですわね。」



 噂。ー転入生は魔法を使えないどころか魔力を有しないー


「っへ、おめぇが止めなかったら俺が今頃戦闘不能にしてたっしょ。まじで」


「それはどうでしょう。」


沈黙を守り続けていた生徒会長が話に入る。


「どういうことですの?」

シーサーの行動は許されるものではないと思っているもののニナもまた同様にあのまま

自分がシーサーを止めなかったらあの転入生が戦闘不能状態になっていたと思っていた。


「動揺を感じなかった」


不動の男、ジョージが冷静に言い放つ。


「ジョージの言うとおりです。彼には一切の動揺も戸惑いもありませんでした。」


「戸惑う暇もなかったってことっしょ」


「あんたらはシーサーにしか目が行ってなかったからねぇ~。うちらはその間冷静にあの

転入生を観察してたわけ。んで、シーサーが身構えたとき

あの転入生の腕がかすかに動いたのよ。

でもすぐ元の位置に戻した。あの動きは何かを取り出すような動きだったわ。

っま、さすがにそれがなんなのかまではわかんなかったけどね」


 カヤの話を聞いていたユーナは素直に感心した。

 カヤ同様あの転入生が腕をかすかに動かしたのは

わかったもののその動きが何を意味するかまでは読み取れなかった。

 それほど微細な動きだったのだ。


「なるほど。それは迂闊でしたわ」

 

 ニナは素直に自身の不届きさを認めた。

 カヤだけでなくユーナまでもが言うのなら間違っているのは

自分なのだろうと判断した結果だ。


「っへ、まぁ、あいつが何者なのかはすぐわかるっしょ。

残念なのはあいつの相手が俺じゃないってことくらいっすわ」


 手をプラプラさせてシーサーが言った。『この話は終いにしようぜ』

という意味だろう。



 ユーナは彼が先ほどしていたように空を見上げた。

 日が傾きかけ、空は真っ赤になっていた。

 どこまでも広がる空に、無限の力を感じる。


 この模擬戦、一筋縄ではいかないような気がする。

 ユーナはそんな気持ちを抱きながら帰路についた。

















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