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5 夫を躾直します。お話をさせましょう。①

 結局。

 夫に挨拶をさせることは出来ました。なんの感情もこもっていない、爽やかさからは程遠い低い声での挨拶でしたが、良しとしましょう。


 やったぞ自分!! とりあえず朝の挨拶は達成した!!


 身を削るような状態でしたが。


 それにしても、朝の挨拶だけでこんな目に遭うなんて、前途多難にもほどがあります。接触は極力避けましょう。どう考えても私の寿命が先に磨り減ってなくなります。


 うん、そうしましょう。夫は喋らないだけで、こちらの言っている事は聞いているようですし、ちゃんと言葉に出してお願いすれば大丈夫なはずです。ええ、きっと大丈夫です。


 ・・・だから、どうしてちゅーと朝の挨拶がひとまとめになってるんですか!?


 いえ、朝の挨拶のことはもういいです・・・。


 考えてみれば、これは未来の奥さまとのスキンシップが増えるということなわけですから、良いことに違いありません。

 ええ、たとえ毎朝羞恥心で死ねるっ! と天国と地獄からのお迎えが見えるような気がしたとしても、きっと気のせいなはずです。


 朝の挨拶には予定外の副産物がついてきてしまいましたが、10日ほどかけてじっくり躾したおかげか、食事の時や出かける時と帰ってきたとき(ここでも一悶着ありましたが、私は毅然と立ち向かいましたとも!)そして寝る前の挨拶はしてくれるようになりました。


 ほら、これだけで片手を超える会話が成立しています。

 やったぞ、私!


 次は食事ですね。

 夫は三食必ずうちで食べるのですが、感想を貰ったことがありません。せめて不味いとか、嫌いなものとかを教えてくれないかとずいぶん前から聞いているのですが、無視されています。

 いつも綺麗に平らげてくれるので、好き嫌いは無いのかも知れませんが、量が足りているのかどうかさえ分からないのは妻としては気になるところです。

 ここは未来の奥さまのためにも、一度はっきりさせるべきでしょう。

 ついでに、食事の時にちょっとでも会話がはずめば、無い無い尽くしから脱却できます! 俄然やる気が出てきました!


 まずは、朝ご飯です。

 朝はいつも簡単で、夕べのスープの残りと、お芋を湯がいて潰して、お庭の野菜を混ぜたサラダとパン。以上です。

 はい、手抜き料理ですが何か? って正直、毎日こんな手抜き料理な訳で、ここで感想を聞くのってもしかして自滅路線まっしぐらな気がしないでもないのですが、背に腹は代えられません!


 いざ、勝負!


「旦那さま、今日の朝ご飯の量はどうでしょうか!?」


 妻の攻撃! 首を振るだけでは答えられない質問を投げかけた!

 夫の反撃! 夫は頷いた!

 ・・・沈黙。


「あ、あのっ、もう少し違ったものも作りたいなぁって思うんですが、どんなものが食べたいですか!?」


 妻の再攻撃! 首を振っても意味が分からない質問を投げかけた!

 夫の反撃! 首を傾げた!

 沈黙。


 あ、あのー。

 ・・・会話、しましょうよ?



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