3 こんな妻です。
私の一日は、夫を起こすことから始まります。
実はこれが結構、命がけ。
私と夫は壁に接した寝床で一緒に寝ているんですが、私は常に壁側で、夫は外側。
二人で寝るとちょっと小さめの寝床ですので、私が起きて移動するには、夫を乗り越えて行かなきゃいけないんですが、全身筋肉の鎧で完全武装している夫が寝ぼけると、非常に危険なんです。
貞操の危機とか、きゃーっ、って感じの内容の意味での危険じゃないですよ?
一度、首を絞められて気絶したことがあります。
すぐにちゃんと目を覚ました夫によって活を入れてもらって事なきを得ましたが、あの時は本当に夫と一緒に寝るのはやめようと思いました。
実際、物置部屋を片付けて私一人が眠れるスペースを確保して寝床を用意するところまで半日でやりました。
ただ、あまりにも隙間風と雨漏りがひどくて使えませんでしたが。そういえば、夫に修理をお願いしていたのに、まだやっていませんね。後でせっつかなくては。
そういうわけで、寝ぼける夫を刺激しないように驚かさないように、そっと、そ~っと、声をかけつつ揺さぶるわけです。
寝起きの夫にうっかり殺されたくないですからね!
うまい具合に夫が目を覚ましてくれたら、足をよけて私が通れるだけの隙間を空けてくれます。そこを通って寝床から降り、物置部屋で服を着替えて冬ならまず暖炉に火を入れ、夏ならまず外に水を撒きにいきます。
簡単な朝食の用意をして、夫が起きてきたら一緒に食べるのですが、私が食べ終わる頃には夫は出かけています。私と夫の一口の大きさにはだいぶ差があるようですね。
夫が居ない間に部屋の掃除や庭の手入れ、ちょっとした裁縫などをこなしつつ、昼食の時間になると、夫がふらりと帰ってきて、一緒に食べます。私が食べ終わる頃には夫は再び出かけています。
夫が居ない間に夕食の準備と明日の朝食の準備をして、洗濯をしたり、家の周りを散歩したり、本を読んだり。夕食の時間になると、食料や日用雑貨などを持って、夫が帰ってきます。本当は私が買い物に出かけたいのですが、夫は絶対に行かせてくれません。じゃぁ、せめて一緒に行かせてくれとせがんでも、夫は首を横に振るだけ。
どうやら夫は私をあまり街に出したくないようです。
まぁ、親しい友人は訪ねてきてくれますし、月に1、2度はどうしたって街に出なきゃいけないので、その辺はあまりきにしていないんですけどね。
夕食を一緒に食べて、私が食べ終わる頃がちょうど夫の晩酌が終わる頃。食器をまとめて片付けて洗えるので、助かります。後は読みかけの本を読んだり、編み物をしたり。お風呂の準備をして入って、寝床の奥側にもぐりこんだら、おやすみなさい。
これが私の一日です。
・・・夫と交わした言葉は、片手で足りる量でした。