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少女と鵺と  作者: 西くん
4/5

妄想症

「え・・・・・核って・・・・・」

「ふむ。ワシはリトルボーイしか知らんぞ。」

これは、なんなのだ。

次々と、爆発が起こっている。

人の血肉は恐らく、一瞬にして消え去るのだろう。

「せ、医者せんせい・・・・・これは、どんな、どういうことなんでしょう・・・・?」

「被害妄想の一種だね。良く言えば常に周りに気を配って、緊急事態にすぐ対応できる軍隊を配備しておいたんだろう。悪く言えば、やっこさん、少々頭が弱いのかね。全く、一体日本からどんな『攻撃を受けている』んだが。どこの国かは知らんが、遅かれ早かれ私たちは軍医に呼ばれるかもしれん」

それかその前に死ぬか。そんな事を言った医者の表情は笑っているが、その目には少なからず怒りも混じっていた。

「だめだね。もうじき札幌に大きなクレーターが出来あがるに違いない。」

「・・・・・と、止める事は?」

「出来るわけが無い。まずこの核のことを調べ、それから国を特定しないと。だが、その作業を終える前に皆全滅だ。」

「・・・・・まさか。」

国から、国へと。

「・・・・・それとも、」

影響を受けることがあれば。

「核を撃ってきているのは、一国だけではない・・・・・?」

それは、その国の悪夢として国に表れるに違いない。

「それかもしれない。」

「・・・・・・なんでそんなに冷静なんです、医者。」

「別に。私だって焦ってるさ。」

「そんな風に見えません。」

なら、と医者。

「いきなり奇声を上げてみせようか?それともメスを持って君の両腕を切り落とそうか?いや、両足?君の望むほうを言いたまえ」

「な、なんですかいきなり」

「だから、私だって焦っているんだよ。君が『冷静を解け』と言ってるんだから、なんならサイコパスなってあげようというだけさ」

「私は別に・・・・・」

「なら、黙っておれ。不快極まりない」

静かな一括と、少々気押される私。

ズズ、とコーヒーを啜る程度のほんの小さな音でもなければ、私はそこに固まっていたであろう。

「・・・・・すみません」

「・・・・・しょうがないことさ。死を受け入れるには時間がかかるからねぇ」

「死んだ事があるんですか?」

「今知った」

少し微笑むようなその言葉は、私の雁字搦がんじがらめになった思考回路をいとも簡単に解いた。

「・・・・・ありがとうございます」

「なにをいまさら」

「・・・・・外へ出ても、良いでしょうか」

「あまりオススメはしないがね。」

そう言いながらも、あっさりと私に鍵を渡す医者。

「・・・・・頑張ってちょ」

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