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シャーロットの仮説  作者: ariya
代理の打ち合わせ

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5.

「アシュラム市警のジャン=クロード・シェトラン、警部をしています。喫茶店て不審死が出た為しばらくあなた方を引き止めさせていただきます。ご協力ください」


 店内で先程の警察、シェトラン警部は身分を明かし、今起きていることを伝えた。


「引き止めるていつまで?」

「先程騒いでいた方が亡くなられたそうよ。殺人かしら」

「いやだ。怖いわ」


 店内の令嬢たちはひそひそと会話をした。


 警官たちが客たちの聴取をしていきながら、シェトラン警部は事件のあらましを確認した。


「被害者は、エリオット・ルース。ルース子爵の令息ですね。23歳、男性。死因は中毒」


 エリオットの胃内、血液から判明した。

 評価したのはシャーロットだった。


「アルカロイド系の神経毒だな」

「種類は?」

「この試薬でわかるのはそこまでだ」

「ベルエイデン伯爵家ならさらに検出する為の器具があるのではないかい?」


 ずいとシェトラン警部が近づく。少し距離が近いように思える。


「そんな持ち歩ける便利なものはないさ」


 シャーロットは近いと肘でシェトラン警部を押し除けた。

 詳しく調べるなら検死室ですべきだろう。


「エリオット・ルースが飲んでいたコーヒーカップの残液からも、同様のアルカロイド反応が出た。同じ薬の可能性はある」


 コーヒーカップの方は警官らが確認してくれていた。その情報をシェトラン警部から聞いてシャーロットはため息をついた。


「と、すると自殺の可能性もあるのかね」


 シャーロットの言葉にシェトラン警部は神妙な面持ちをした。


「何だね」

「いや、実は彼は3年前に婦女暴行の容疑で捜査したことがある」

「あー、女癖が悪そうだ」


 事件前の被害者の様子を思い出した。


「それで?」


 その婦女暴行事件はどうなったか気になりシャーロットはシェトラン警部につめよった。


「捜査はとりやめ。被害届を出した令嬢が取り下げた」


 シャーロットはいかにも嫌そうな顔をした。


「それで君は手を引いたのかね? 令嬢が脅された、買収されて口を抑えられた可能性があっただろう」

「勿論、それも考えたが令嬢は頑なに何も言おうとしなかった。ルース子爵が圧力をかけてきて、私自身上から注意をされてそれ以上は……そこまでふてぶてしいエリオット・ルースが婚約解消、負債をかかえる恐怖くらいで自殺をするかな」

「お前も情けないものだな」


 シャーロットは呆れた。

 呆れたのはエリオットにではなく、シェトラン警部にである。

 お前も、というと別の誰かを思い出したのかもしれない。


「あのね、私にも生活があるの。爵位なしの私が命令違反して警察クビになれば生きていけない」

「探偵をしたらいいじゃないか。探偵ネロみたいに」

「あれは小説の話で、現実は甘くないのだよ。伯爵令嬢にはわからないだろうけど」

「ふん、その伯爵令嬢に検案参加させているのはどこのどいつだ」


 シャーロットはぷいとシェトラン警部から離れた。


「おい、あまり出歩くな」

「喫茶店敷地内にはいるから問題ないだろ」


 シャーロットは警官たちの輪から離れて、ルイスの方へ近づいた。


「災難だったな、殺人事件に巻き込まれるなんて」


 退屈していると思われたのか、ぽんと肩を叩かれてルイスはシャーロットをみた。


「いえ、なかなかない体験と思うことにします」


 人が死んだのだから推理小説みたいと騒ぐような気分にはなれない。


「それにしても警察と仲良しですね」

「あー、父が法医学のプロだからな。私自身も法医学専門医を取得しているからよく現場検証、検死、解剖に駆り出される」


 困ったようにシャーロットは説明した。


「すごいですね」

「すごくないし、きつい。深夜に駆り出された時なんて奴の頭を刈り上げてやろうと何度思ったことか」


 シャーロットの眠気まなこで出向く姿を思わず想像してしまう。


「会社に戻らなくていいのかい?」

「今日は、ネロの打ち合わせ以外の予定は入れていません。先程、店の電話を借りて部長に話しておきました」


 実のところ、午後の時間が開けば執筆中の旅行記の推敲をするところだったのだが仕方ない。


「名探偵ネロがいたら安心するのですけどね」


 ついこぼしてしまう。

 現実、小説のようにはうまくいかないものだ。


 シャーロットが店内をぐると歩き回り始めた。何をしているのだろうとルイスは無意識についていく。


「ルイスさんはこの事件はどう思う?」


 後ろについてきているのを感じてシャーロットは質問する。


 どうとは、どうだろうか。


「自殺と思うか、他殺と思うか?」

「自殺、とは思い辛いですね。さっきの警部の話から、エリオット・ルースは自殺をするような神経はしていないと思います」


 シャーロットはじっとルイスを見つめた。

 先程、シャーロットがシェトラン警部と話していた時近くにはルイスがいなかった。警官たちの話、客への状況を確認する声で聞き取りやすいとは思えなかった。


「随分耳がいいのだね」

「耳は自信がありまして」


 騒音の中でも集中したらだいたいの会話を聞き取れた。この能力は旅行中でも有用で、何度かルイスを助けてくれた。例えば、騙されて人身売買されそうになった時など。


「機密情報なら聞いてはいけないんだけど」

「まぁ、いいさ。大した内容ではないし、聞こえたものを奴が咎めることはない。困る内容なら場所を選ぶ」


 シャーロットはむしろルイスの能力に興味津々だった。


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