第4話「クリスマスと初詣」②
シャワーから出て、用意してくれてる部屋着とは違う、昨日友達と買ったジェラピケに着替える。
セナ君に写真は見せたことがあっても、実際に目の前で着るのは初めて。
なんだか緊張する。
リビングへ向かうと、メガネ姿でテレビを観ている彼が……
もう、やめて。不意打ちでメガネなんて……
綺麗な横顔がさらに整って見えちゃう。
「あ……あの。シャワーありがとう……」
「ん……」
意を決して、ソファの近くまで歩み寄る。
セナ君は視線をこっちに向けたまま、何も言ってくれない。
「クリスマスプレゼント……私も色々考えてたんだけど……」
2年以上そばで見てきて、何が喜ぶかは少しわかってきたつもり。
だから、物じゃなくて……
「プレゼントは……私。とか、どうかな……って……」
は、恥ずかしい……
もう……穴があったら入りたいって、きっとこういうこと。
顔を上げられず、腕で覆ってしまう。
もし『いらない』って言われたら、どうしよう……
「お前さ……」
ソファから立ち上がったセナ君が、私の前に立つと、ゆっくりと追い詰めるように壁際まで追い込まれる。
メガネを外す仕草から目が離せない。
次の瞬間、私のすぐ横に肘を置き、逃げ道を塞がれる。
「……オレの彼女だよな?」
「……え、はい……」
「そんなこと言って、どうなるかとか……予想できないわけねーよな……?」
予想なんて……もちろん、できてるに決まってる。
だって、2カ月ぶりに会うんだもん……それに……
「だって……クリスマス……なんだもん……」
思わず袖を握りながら、顔を逸らし、目を合わせられないまま、答えると、静かにキスが落ちてくる。
肩に、首筋に……指先が私の髪をそっとすくう。
「ダメ……だった……?」
「触れたいけど……ギリギリで止めてたのに……」
「……止めちゃうの……?」
小さく問いかけると、最後に唇が重なった。
最初は確かめるように、でもすぐに熱を帯びて……
セナ君の手入れがされている奇麗な手が、私の腰をなぞるようにゆっくり動く。
「……ベッド行く?」
耳元で、低く囁かれたその一言が、肌の温度をじわりと上げた。
「……うん」
少し震えた声でそう返すと、手を引かれるまま寝室に入る。
部屋に入るなり、さっきよりもお互いの体温に溺れそうな距離。
何度もキスを重ねるたび、呼吸が浅くなる。
寝室に入る直前、窓の外には……今年も雪が降り出していた。
静かに閉じられたドアの向こう。
その夜、心も身体も……そっと重なった気がした。
「奏、仕事の迎え来たから出るな」
え……もう、そんな時間なの……?
身体が重い。というか、なんだか力が入らない。
明け方までセナ君の腕に抱かれて、眠ったのはほんの少しだったから。
ぼんやりした頭に、低く囁く声が降ってくる。
「……昨晩の約束、忘れてねぇよな?」
昨日のことを思い出した瞬間、心臓が跳ねた。
……『奏、冬休みの間……ずっとここにいろよ』
深く、何度も抱きしめられて、息ができないくらいの熱に包まれて。
……『……毎日、お前を感じながら、眠りたい』
「……っ……私も……」
あの時、耳元でそっと囁かれた声に、やっとの思いで答えた……
うつ伏せたまま、顔が熱くなるのを止められない。
わかってる。セナ君は、全部わかってて言ってる。
「その反応は……ちゃんと覚えてるってことだな?」
優しく撫でられる頭。
ぬくもりがまだ肌に残っている気がして、余計に恥ずかしくなる。
「……うん……」
布団に潜りながら呟いた私に、セナ君は満足そうに笑うと、唇で額にゆっくりとキスを落とした。
「冬服、昨日のも含めて……買い足しといたから」
……いつの間にそんなに買ってたの……
もう、私の服、セナ君の家にどれだけあるのかわからない。
「今日も、無理せず好きにしてていいから、行ってくるな」
これが、冬休み中ずっと……続くの?
私の心臓、持つかな……なんて心配になるけれど、毎日一緒に過ごせる嬉しさに胸が躍った。
※本作はシリーズ作品です。
1巻から通して読んでいただくことで、登場人物たちの心情や関係性の変化がより伝わる構成になっています。
よろしければ、シリーズ一覧もあわせてご覧ください。
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