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1|“顔”は、いつから階級になったのか
生まれて最初に評価されるのは、泣き声ではなく、顔だった。
「あら、この子は将来美人になるね」
「あら……」
言葉の後ろにある微妙な間が、赤ん坊の「生」の価値を無言で仕分ける。外見とは、生の開幕から社会への通行証として機能している。
「ルッキズム」という言葉はまだ日本社会には十分浸透していない。だがその実態は、あらゆる場面に潜んでいる。
面接で落とされる理由に「顔」は書かれない。
恋愛対象から除外されるとき、「好みじゃない」はその場を濁す魔法の言葉になる。
SNSでバズる動画の9割に、ある共通点がある――「見栄えの良さ」だ。
見た目は、選ばれる人間と、選ばれない人間を分ける階級制度になっている




