ルドの正体(オチの話)
足が痛い。。。
当然と言えば当然なのだが、ランニングシューズでもない、少しヒールのある靴で、結構な距離を走ったのだ。
正直、途中からは走ること自体が目的になっていたような気もする。
「ほんと馬鹿なことしたぁ」
恵留は自分しかいない部屋で、思わず独り言を漏らす。
漏らしてしまうほど、自分の愚かさを痛感していた。
あの後、アルカードくんこと理生には、謝罪と急に仕事を思い出してという、取ってつけたような理由とメッセージを送った。
理生はすぐに返事を返してくれて、また誘いますねと書いてくれたものの、きっともうお誘いは無いだろう。
結局、今日一日、何も得られなかったというか、失う物が多すぎた。
久々にメンタルバッドな気分である。
それでもお腹は空いてしまうものだ。
恵留はベッドに寝転がりながら、イーターのアプリを立ち上げる。
精神的にも肉体的にも疲れていたし、足も痛いし、外に出たくなかった。
メニューを眺めていると、和菓子スイーツ無料サービスの文字に目が留まる。
そう言えば、これルドがうちに来た時のお店だ。
無料サービスの和菓子は、あんころ餅で、思い出したらまた食べたくなってしまった。
濃厚な小豆の風味が特徴で、甘すぎない餡子が、とても美味しかったのを舌が覚えている。
お店は中華系で、チャーハンとかラーメンとかしかなく、何故和菓子なのかは謎で、あまり相性も良くないなと食べながら思ったのだが、すでに口は餡子を欲していた。
恵留は前と同じようにチャーハンを選ぶ。
ふと、そういう企画も面白いかもしれないと思った。
中華料理店で何故和菓子?謎が謎を呼ぶ餡子秘話(仮)
みたいな。
そんな謎は無いんだろうけど。
恵留は、またシャワーを浴びてイーターを待つことにした。
寝転がりながら、YouTubeを見ていたら、玄関のチャイムが鳴る。
まだ、痛みの取れない足で踏ん張り、玄関のドアを開けるとルドが立っていた。
睨みつけるわけでもなく、品定めをしているような感じで、ルドを見ていたら、ルドが恐縮したようにしゃべりはじめた。
「あのー、狙って配達しているわけではなくて・・・」
それはそうだろう。
今回はむしろ恵留が狙ってやったことなのだから。
***
作者です。
という感じで、話が進んでいきますが、大幅に改変を加えたくなったので、本物語の以降の流れや設定、オチについて最後に書いておこうと思います。
◯ルドの正体
ルドは本当にヴァンパイアで、そもそもヴァンパイアは宇宙から来た知的生命体であるという設定です。
ルドが乗ってきた宇宙船には、たくさんの生物が一緒にコールドスリープされて乗っていて、その宇宙船から逃げ出したのがUMAとなります。
つまり、宇宙船はノアの方舟だったというオチ。
また、ルドという名前は、ノアの息子である、セムの息子、つまりノアの孫にあたる人物です。
ルドは、逃げ出したUMAを探し、捕獲、保護、または地球というか、人間世界に馴染んでいる場合には監視、またはそのままにするという活動を2000年ほど前からやっています。
それがタイトルである、どうしてUMAが居ないのか?に繋がるわけです。
昔はたくさん発見されていたUMAが居なくなったのは、ルドが回収していたから。
◯以降の話
恵留は、モンスターやUMA、妖怪など探しているルドの手伝いをすることになります。
ただ、人間社会に適応している人狼のワウルくん、小豆とぎのとぎさんなどと出会い、UMAという存在に対しての見方が少しずつ変わっていくという流れです。
ここで言うUMAは、単純に未確認生物という意味だけではありません。
社会の中で浮いている、少し変わった人間のことでもあり、いわゆる多様化社会を違った形で描くというのが本作の根幹にあります。
ということで、本作は未完ではありますが、改めて書き直す予定です。