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異世界転生・転移の文芸・SF・その他関係

異世界の財閥の一族に転生して、町を作っていく事になった

作者: よぎそーと
掲載日:2023/05/06

「まさか、こうなるとは」

 渡された資料に目を通し、ため息を吐く。

 そこには個人ではとうてい使い切れないほどの予算が記されており。

 その予算を使うための計画が書き込まれている。

「町を作って発展させろってなんだよ」



 とある財閥の当主一族に産まれて。

 その為、若造どころか小僧の年齢で大きな仕事をやらされる事になった。

 実務は財閥の人間がやるので、実際にはお飾りだろうが。

 それでも、全て丸投げというわけにはいかない。

 ある程度は指示を出さねばならないし、自分で考えねばならない事もある。

 だが、それにしてもだ。



「最初はもっと簡単な仕事をさせるもんじゃないのか?」

 若輩者にはまず簡単な仕事から。

 そうして少しずつ難しい仕事をこなしていく。

 そうやってやり方をおぼえていくものだと思っていた。

 だが、与えられたのは町を作るというとんでもない大規模なもの。

「何を考えてんだ、我が一族は」

 そこに生まれて15年ほど生きて生きたのだが。

 いまだに自分の血縁関係者達の考えが理解しきれなかった。



(俺が基本的に庶民だからか?)

 親の片方の身分が低いとか、育った所が庶民の町だったとかではない。

 生まれてこの方、一族の屋敷で育ち、相応の暮らしをしてきた。

 庶民的と言われるような事をしてきた事はない。

 それでも庶民というのは、持って生まれた記憶による。

(前世はただの一般人だったからな)



 地球の日本で生まれて78年。

 ごく普通の一般人の家庭に生まれて育ち、仕事も一般的な会社の社員だった。

 特別優れた業績をあげた事もなく、かといって不祥事を起こす事もなく。

 大過なく仕事も人生も勤め上げ、最終的には孫に看取られて死んだ。

 そんな人生経験というか記憶がある。

 おかげで、様々な意識や感覚、常識が前世に引っ張られる事がある。

 どうしても一般人・庶民感覚で物事を見てしまう。

 今回生まれた一族の地位・立場・身分・出身になじみきれない事が多い。



 そんな庶民感覚を搭載してる者に、町を作れという指示が出されたのだ。

 受け入れきれないのも当然だろう。



 とはいえ、やれと言われればやるしかない。

 拒否権はない。

 そんなもの認めてくれないのは、この世界での15年間が教えてくれた。

 ただ、何の手助けもないというわけでない。



 やる事からは逃げられない。

 しかし、求められれば手助けはする。

 基本的には助言がほとんどだが。

 どうしようもない時には、実際に仕事を手伝ってくれる事もある。

 一族がヘルプ機能として活動してくれる。

 頼りっぱなしというわけにはいかないが、見捨てられる事はない。

 よほど馬鹿な事をしでかさない限りは。



 実際、尋ねてみれば様々な助言をもらえた。

 年齢の近い者から、隠居した長老まで。

 電話で、メールで、様々な助言をくれる。



 それに。

 計画を見ていて思い出す事があった。

 前世で似たようなものを見ていた。

「これ、町作りゲームじゃねえか」



 前世で遊んだゲームだ。

 何もない土地に、発電所や鉱山、工場に商業施設、居住地に娯楽施設、道路や線路などを配置して町を作っていくのだ。 

 効率よくやらないと、町は全く発展しない。

 必要な施設や設備を効率的に配置する事が求められる。



 そのゲームと渡された計画がほとんど同じだった。

 くまなく探せば違うところもあるかもしれない。

 しかし、ざっと見たところ、書き込まれてる内容は前世の町作りゲームと同じ内容だ。



 そのゲームはそれなりに楽しく遊んでいた。

 どうやったら町を上手く発展させられるかはだいたいわかってる。

 それがこの世界でも通用するかはわからないが。

 だが、もしゲーム通りならやりようはある。



 まず、ゲームの時の手順で町を建設していく。

 必要最低限の施設を作って、様子を見る。

 建設が開始され、人が生きていく為に必要な基盤が出来上がっていく。

 さすがにゲームと違って、完成には何ヶ月もの時間がかかる。

 それ以外の部分は概ねゲーム通りといったところだ。



 その数ヶ月の間に今後の計画を立てていく。

 町を作ってるのは、そこに財閥の拠点を作るためだ。

 財閥関連の企業を配置し、全ての産業を自己完結出来る場所を作る。

 その為の場所を作るのが与えられた仕事だった。

「そんな大きな話をガキにやらせるな」

 なんで自分に任されたのか、今更ながらに不思議になる。



 とはいえ、何となくやり方はわかった。

 基本的にゲームと同じだ。

 指示を出せばあとは関連企業が動いて作業を進める。

 実務は配下の者がやるので、考える必要は無い。



 買収した用地に次々に施設を作っていく。

 完成まで何ヶ月もかかるが、出来上がると町が動き出す。

 そこに財閥の人間を移動させていく。



 最初は小さな町だったが、時間と共に拡大していく。

 工場が、ビルが、各種店舗が、住居が出来上がる度に人が移住していく。

 無味乾燥な町に生気が宿っていく。



 町から利益も上がってくる。

 人の生活という営みは何かしらの利益を生み出す。

 それが次の資金となって町の発展に繋がっていく。



 5年もする頃には、数千人の人間が暮らす町が出来上がった。

 10年目には1万人を突破した。

 これらが土台になって、より多くの人間が暮らせる場所が出来上がってくる。

 15年目には財閥の中心地となり、主要企業の本社が次々と移転してきた。



「凄いな」

 出来上がった町を見て驚く。

 もともと何も無かった場所だ。

 そこを切り開き、地ならしをして、電気にガスに水道などを通した。

 道と線路をしいた。

 工場とビルと住居を建てていった。

 損結果、何万という人間が住む町になった。



 様々なものを誘致した。

 スポーツチームに研究機関、テーマパークと様々な娯楽。

 人が望む遊びを積極的に取り入れた。

 マジメ・頑固な連中は反対したが、都市計画の邪魔として全員クビにした。



 更にはゴミ処理施設に墓地などの一般的には嫌われるものも。

 人が生きていくならどうしても必要になるものだ。

 拒むわけにはいかない。

 むしろ、積極的に呼び込んでいった。



 高速鉄道や高速道路なども通るようになった。

 財閥の拠点である産業の中心地の一つだ。

 接続のための手段は必要になる。



 町の内部にも電車バスなどを張り巡らせている。

 道は余裕を持てつくり、歩道も大きめに作ってある。

 車が通れない歩行者専用道路も適切に取り入れてる。

 場所によっては一方通行を多用し、渋滞の発生を極力減らした。

 おかげで交通量の割りにはさほど道が混む事もない。

 交通事故そのものも比較的少ない。



 予想外に大きくなった。

 ゲームであるなら順調な発展なのだが。

 まがりなりにも現実である。

 それがこうも短期間で巨大都市になるとは思わなかった。

 15年である。

 町や都市が出来上がる期間としては短い。

 それで人口何万も抱える都市を造ったのだ。



 しかもこれで終わりではない。

 労働者に従業員はまだまだ必要だ。

 このままいけば、人口数十万人は確実になる。

 それだけの人数を収容するために、町はまだ開発拡大を続けている。



 それらが無理なく行われている。

 これも前世で培ったゲーム経験によるのだろう。

 全てがゲーム通りではなかったが、基本は概ね同じだ。

 おかげでやり方に迷うことは少なかった。



 それでもまだ終わりではない。

 ゲームと違って到達目標があるわけではない。

 攻略完了になるわけではない。

 よりよい状態を可能な限り続けていかねばならない。

 その為にこれからも頑張らねばならない。



 ただ、いつまでも頑張れるわけではない。

 寿命には限りがある。

 いずれ次の者に全てを託していく事になる。

 その為に転生者はとあるものを開発させた。



「それじゃやってみてくれ」

 子供達にゲームを提供していく。

 遊ばせていく。

 前世で転生者が遊んでいたのと同じものを。

 都市運営シミュレーションゲームを。



 自分の経験を反映させたゲームという触れ込みで作らせた。

 実際は、前世で遊んだゲームをほぼそのまま流用したのだが。

 知る者もいないだろうからそこは口をつぐんだ。

 言っても頭がおかしいと思われるのがせいぜいだ。



 作らせたゲームを一族の子供達に遊ばせていく。

 一般に販売していく。

 誰かがゲームを通じて都市開発・運営を学べるように。

 転生者がそうだったように。



 そうして遊んでるうちの誰かが後継者になるかもしれない。

 転生者が死んだあとも都市を引き受けてくれるかもしれない。

 問題なく町を運営してもらえるように世間に仕込んでいく。

 ゲームを通じた都市運営を。



 今も遊んでる子供達を見て目を細める。

 誰がなるかはわからないが、誰かが後を継いでくれるようにと願う。

 だが、それ以前にゲームとして遊んでもらえればと思った。

 楽しめればと思った。

 ゲームはゲーム、楽しむのが一番だから。

 楽しみながら、何かを学んでくれればそれでよかった。

 無理強いも期待の押しつけも出来ない。



 それでも、

「あの」

 声をかけられればそちらに向かう。

「ここ、どうすればいいの?」

 純粋な疑問。

 それに答えていく。

「これはな……」

 そうして教えていくことで、子供達が何かを学んでくれればと思う。

 高が遊び、されどゲーム。

 それを通じて伝えられる事もあると信じて。



「…………と、こうするんだ。

 それじゃ、やってみな」

「うん」

 頷いた子供は真剣な顔で画面に向かう。

 集中してるその横顔を見て、転生者は満足していった。

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あと、異世界転生・異世界転移のランキングはこちら

知らない人もいるかも知れないので↓


https://yomou.syosetu.com/rank/isekaitop/

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