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5 ミーシャ視点



「いい?よく聞いてね」



いつもニコニコとしているジェイムズが真剣な顔をして、ゆっくりと話しはじめた。



「王子様の婚約者候補になるってことは、他の婚約者を作る必要がなくなるわけだよね?」


「ええ、そうね」


「しかも、正式な婚約者じゃなくて、候補、だから必ず結婚するわけでもない」


「、、、まあ確かに」


「て、いうことはさ、」



空色の瞳がわたしの目を捕らえる。




「うまく婚約者にならずに<婚約者候補>を長引かせられれば、他の貴族との婚約を頑張る必要もないし、王子様との結婚もしなくてすむし、で、一石二鳥ってことにならない?」



社交界デビューは遅くはできないけど、とちょっと困ったようにつけたしたジェイムズ。



いや、いやいやいやいや、、、、、いやいや、、いやいや!!!



 社交界デビューなんて目じゃないくらい、素晴らしい特典じゃないの!!!

 ていうか、そもそも社交界デビューを遅らせることなんて、病気とかなんとか、相当の事情がなければ無理な話だし、ありえないことを言ったからいいの!!!



 なんてことでしょう!!

 すばらしいわ、劇的なビフォーアフターよ!

 こんなに「王子様の婚約者候補」という言葉が素晴らしい響きを持つなんて!!



 声にださずに大興奮しているわたしをよそに、ジェイムズは話しを続けていた。



「これからすることになる、王族としての教育をまあまあくらいの成績で乗りきって、王子様とも嫌われすぎず好かれすぎずの関係を築いて、婚約者にはならないけど、正式な結婚相手が決まるまでは婚約者候補ではいられるようにするんだよ。」



 ウンウンと首を縦に大きく振る。




「そしてこれは例えばの話しだけど、婚約者候補でいる間に、好きな人ができるかもしれない。そしたら、悪い令嬢ではないけれど、ちょっと結婚するには性格が合わないって思われるように工夫をすればいいし、逆に王子様と結婚したい、と思うようになったら、候補から選んでいただけるように、本気で頑張ればいいんだ。」




 な、なるほど!!!

 天才、天才だ、、、、



「ど、どうかな?」



余りにも言葉を発しないわたしに不安を抱いたのか、ジェイムズが遠慮がちに尋ねてくる。



 どうもこうもないわ。




「天才よ!あなた!!!」




 一言発したら、体内で沸騰していた興奮がジェイムズに対して溢れ出した。



「本当にこれで王子様の婚約者候補になることが全く嫌じゃなくなったわ!!まあ、お勉強はすこし嫌だけれど、それだって今後の領地経営とか、社交界でのやりとりにつながるわよね!たしかに、上手に婚約者候補でいればいろいろと楽だわ!なんで気付かなかったのかしら!」



 そう?なんて聞いてくるジェイムズの両手を握り、大きく振って、いかにジェイムズの案が素晴らしいかを熱弁してしまった。



「わ、ちょっとちょっと落ち着いて!ミーシャ!」


「あ!ごめんなさい」



ジェイムズの困った声に我に返ってわたしは手を離した。

 そしてもう一度優しく手を握ってお礼を言った。



「でも、本当に助かったわ。ありがとうジェイムズ」





 婚約者候補が良いものに変わった安心から、満面の笑みを浮かべていたと思う。

 なんならちょっとだけ涙目になっていた気もする。





 このわたしの泣き笑いをみて、ジェイムズの心臓がドキッと音を立てていたなんて、この時のわたしには知る由もないのでした。




婚約者候補に選ばれる編が完結となります。

読んでくださってありがとうございます。


ジェイムズがこれからどうやって恋を自覚していくのか、学園生活編も今後書ければいいなと思っています。


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