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王道異世界攻略生活  作者: ピペット
9/14

報酬とお金と初クエスト


大小3つの首を携え帰路に就く。


結構な重労働だな。

腕がパンパンだ。


土魔法を使っての移動も試みたが、これもしんどい。

常に集中力を保たなければいけないからな。


そう、集中力なんだよ。

スキルにせよ、魔法にせよ、行使に極度の集中が必要になる。


さっきの戦闘で『神速』が出なかったのはそういうことなのだろう。


いかなる場面でも集中できる神経の図太さと、

集中力を切らさない持続力が急務だな。


訓練次第で何とかなるものなのだろうか。


そんなことを考えながら、土魔法で人形を作り隣を歩かせる。

大きさはSDガンダムほどだ。


ぴこぴこと手を振り、ちょこちょこと歩く様はなかなか愛らしい。


ヒカルも人形の周りを飛び回りながら

「すごい、すごい」と感心している。


そんなすごいの?


「はい。

 魔法による形状操作は一般的に困難とされています。

 土は個体なので簡単な部類ではあるのですが、熟練した土魔法専門家でも簡素な建築物が関の山です。

 これほど緻密な魔法は他に類を見ません」


はえー。

それはいいことを聞いた。

いざとなったら大工に就職しよう。


そんなこんなで城門が見えてきた。


あ、カイジだ。

ちゃんと仕事しててえらいな。


手を振るとこちらにに気付いたようだ。


あん?険しい顔してんな。


近づくにつれ、カイジの眉間の皺が深くなる。

何が気にくわないのか、お腹でも下してるのか。


「どうしたのそんな顔して」


「お前、それ自分で狩ったのか」


なんか怖いな。


おお、と返事をすると険しい顔のまま踵を返し門番の控室に引っ込んでしまった。

と思えば、すぐに戻ってきた。手には大きな麻袋を持っている。


ずいと俺に差し出し。


「これに入れてギルドへ行け」


ああ、確かに生首抱えて街中を闊歩するのもおかしいしね。

職質じゃすまされない可能性もある。

そういやこの世界に警察っているのかな。

城に仕えている兵士がそういった役割も兼任しているのかしら。


「ありがとう」

本当に有難い。結構気に掛けてくれるんだよな。

いや、街の秩序を守るための仕事の一つなのか?


俺のお礼に「ん」と返し、立ち位置に戻る。


どちらにせよ良いヤツだな、カイジ。

今度メシでもご馳走しよう。


「またな」


「…またな」


~~~~~~~~~~~


「どうしたの?」


ギルド内の依頼掲示板の前で「ワーベア」の文字を探していたら、ララさんに話しかけられた。


「おっきな袋だね。薬草こんなに採ってきてくれたの?」


「いえ、モンスターを倒したので何かクエストとして消化できないかと思いまして」


どんなモンスター?と袋を除いた瞬間、腕をつかまれ奥の部屋へ。


後は以下同文だ。

デジャブかと思った。


ワーベアは強力なモンスターだったらしい。

この辺りでは群を抜いて危険度が高く、統率の取れた4人組のチームで狩るのがセオリーということだ。


「一人で3頭も狩るんじゃありません!」


怒られてしまった。

うち2頭が子供だったということに気付き少し落ち着いたが、

マシンガントーク(説教)は終わらない。


ワーベア討伐は常設、しかもフリーの依頼です。

最近目撃情報も多く、凶暴且つ危険なため市民は困っていました。

今回の討伐にはとても感謝しています。

でも魔法を使役するモンスターなんだよ!

そんなことしてたらランク上がっちゃうよ、いいの?

報酬金が高く、広間では渡せませんでした。

ちゃんと角は取った?そう?ならいいけど。

道を外れたでしょう。危ないんだよ!

パーティを組みなさい。

心配です。

…で、どうやって倒したの。

土魔法?ウソウソ、だって石ころぶつけるだけで倒せっこないもん。

え!突き抜けた?弾丸にして!?…弾丸って何?

土の壁!?事前に用意したものではなく戦闘中に構築したの!?


こんな感じだ。

もう後半はキラキラしながら話を聞いてくれた。

テナーサックスをショーウィンドウ越しに見つめるアメリカの少年みたいだ。


こういった冒険譚が好きなんだな。ララさん。


大きな水晶を前に、討伐した本人であることを確認され、

さらに依頼達成報告書にサインを書く。


「依頼をクリアしてくれた人は公表されます。

 今回はLv.3の依頼を単独達成ということで話題になると思うけど覚悟してください」


はい


「それと、今回の報酬金です」


360,000ゴル。


え"、結構まとまった金額が手に入ったな。

金貨3枚と銀貨6枚が目の前に積まれた。


金貨は初めて見た。

金を含んだ合金でできているのだろう、不思議な魅力がある硬貨だ。

豪奢な剣が描かれたそれを指でなぞり、そのまま財布に入れる。


「両替、預金も承りますー」

おそらく報酬金を渡した後の定型文なのだろう。恐ろしいくらいに心が籠っていない。


あ、と何かを思い出したようにララさんがこちらを見る。

「大きいお金はあまり受け取ってくれないお店もあるから、両替はしましょう」

と提案してくれた。


親切だなぁ。

かわいいなぁ。


金貨1枚を銀貨9枚と銅貨10枚に両替することに。

金庫の中をごそごそと整理している。


良い機会なので、ギルドや依頼について聞いてみよう。


「依頼を受けてみようと思ってるんですが」


バッと顔を上げてこちらを見るララさん。

目を細め、下唇をぬっと出している。


「もうランク上げるつもりなんでしょ」


あれ、怒らせるようなことなのか?


両替したお金をこちらに寄越すと、その表情のまま話し始めた。

あ、若干しゃくれてる。かわいい。


「カードのランクを上げて、他所の街に移るんでしょ」


ああ、身分証のランクのことか。

確かランクによって信用度が上がるんだっけ。


「今回の実績があるから、リョウ君は次回の依頼成功でランクが上がります。

 依頼のLvはなんでもいいわ」


おお、そうなんだ。

じゃあ、と話そうとするとララさんが遮ってくる。


「でもダメ!受けさせない!」


以下、マシンガントーク(わがまま)の内容。


ランク上がったら別の街でも活動できるようになるでしょ。

そうなったらこんな中小規模の街に来なくなるじゃん。

せっかく頼もしい冒険者が来たのに。

もう話聞けなくなっちゃう。

そんなのやだ!

右も左も分からないくせに!

私がいろいろ教えないと何にもできないでしょ!

どうせラールバトの街を踏み台くらいにしか思ってないんでしょ。

良い街なのに!

リョウ君がしらない良いところがいっぱいあるよ!

え、出て行ったりしない?うそつき!

…ほんとうに?

うう。


薬草採取クエストを受けることになった。


あと、デートすることになった。

○○と○○と○○

のサブタイトル考えるのがめんどくさくなってきた。

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