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王道異世界攻略生活  作者: ピペット
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道具と獣人と今の実力

さて、目指すは道具屋だ。


この袋いっぱいの薬草を捌かねばならん。

ギルドでも道具の売却は行えるらしいのだが、大抵の場合は市場価値よりも安くなってしまうのだとか。

今は薬草も品薄で、道具屋では絶賛高価買取中との情報も得た。(ララさん発信)


と言う訳で到着。

ギルドからほんの1,2分というところだ。


木製の重いドアをギギギと開く。

ガソリンとも理科室ともいえる独特の匂いがした。


「いらっしゃいませ」


店内は狭く、商品らしい商品は並んでいない。

カウンター越しに店の奥が見えるが、こちらよりも大分広いようだ。


こちらで注文したものを奥から持ってきてくれるのだろう。


ひとしきり店内を見まわしたところで本題へ。


カウンターに座っている女の子に話しかける。

これまたかわいいな。


大きな瞳に屈託のない笑顔。

すらりと伸びる四肢に癖毛のブロンドヘア。

もふもふの手にもふもふの耳にもふもふの頬にもふもふのもふもふのもふもふの


「あああああああああああああああ!」


獣人だ!!


~~~~~~~~~~~


平身低頭

誠心誠意

心頭滅却


心からの謝罪をあなたに。


「本当に申し訳ありません」


獣人を初めて見たこと。

差別的な偏見は持っていないこと。

この街に初めて来たこと。

薬草を売りに来たこと。


を、素早く簡潔に伝える。


「うふふ。気にしてませんよ、こんなに驚かれたのは初めてなのでびっくりはしましたけど」


改めて彼女を見てみる。

この世界にどんな生物がいるのかわからないが、耳と尾が狐みたいだ。


獣人、亜人、別人種がいることは聞いていたが、いざ目の前にしてみるとなかなか感動するな。

もっと気味が悪いものかと思っていたが、全然だ。


人間と違うのは耳と尻尾の存在と、手足が毛でおおわれているところくらいだ。

若干鼻筋も狐っぽいか?

怖いだとか、醜いといった負の感情は全くない。


彼女はアイナ、この道具屋の店長だという。

幼いころに亡くなった父の代わりに母親と切り盛りしているらしい。


薬剤の知識もあり「簡単なポーションくらいなら作れますよー」なんだそうだ。


俺が持ってきた薬草を手に、秤のメモリと格闘している。

下唇をはむと噛んで、真剣に分銅を乗せるしぐさがとてもかわいい。

あ、耳がぴくってした。


いいな、もし冒険者としてチームを組むなら全員獣人にしようか。

いぬねこきつねくまねずみうしとらうさぎたつみうまひつじ…。


「はい、すべて薬草もしくは毒消し草で間違いありません。

 しかもこの量なので、サービスさせていただきますよー」


おっと、いかんいかん。

先のことは置いておこう。


「需要もあがっています。12,000ゴルでいかがでしょうか?」


「ありがとう。売らせてもらうよ」

ヒカル曰く想定以上の値段とのことだったので、快諾。


ナイフとバックパック、替えの下着とポーションをひとつを購入。

こちらもサービスと、2割引きの値段で良いと言われた。


差し引きの代金を頂戴し、店を後にする。

「また来てくださいね」なんて言われたりしちゃった。

尻尾と手を同時にひらひらと振ってくれる。


ああ、なんかいいなあ。

品揃えも豊富そうだし、サービスもしてくれる。

贔屓にしよう。そうしよう。


「リョウ様」


ぽーっとしていると、耳元に声がした。

ヒカルだ。


「新しいスキルの効果が判明しました。

 『豪運』の効果により、売買の際に割増/割引が自動的に行われます」


ほほう。

それもまた便利な機能だな。

値引き交渉しなくてもいいのはありがたい。

この時代で生きていくには中々重要なファクターだろうし、値引き。


うん…よし。


近いうちにと思っていたが、俺の能力を把握しよう。

「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」

敵を知らずとも、自分を知っていれば50戦は無敗なのである。


何ができるか把握することで今後の動き方も変わるしね。

今日明日はその時間に充てよう。


~~~~~~~~~~~


ギルドのすぐ隣の宿屋に入り、チェックインを済ませる。

朝夕食付3泊4日分の料金でちょうどすっからかん。

もちろん、明日ギルドに支払う分は残しているが。


通された寝室はいたってシンプルな造りだ。

ギシギシと音が鳴る木製のベッドに丸い机と椅子が1セット。

後はランプと紙とペンとインクがあるのみ。


紙があるのが意外だな。

この世界ではあまり貴重ではないのか?

魔法の使い方次第で量産できるのだろうか。


では、とペンを手に取り現状を洗い出す。

姿を現したヒカル(ひとしきり部屋中を飛び回った後)に、俺の所持しているスキルを羅列してもらった。


判明している範囲ではこんなもんか。


・超回復

4時間寝ることで体調回復


・予見

1秒先の未来を見ることができる


・神速

不明


・賢者

ヒカルの存在


・豪運

売買の際にお得


まずは一にも二にも『予見』だろう。

こちらに来て半日ほど過ぎるが、まだ発動した形跡はない。

1秒のありがたさはいまいちピンとこないが、きっと使いこなせば強力な武器になるはずだ。


さあ発動条件を探ろうではないか。

どうやら一度でも発動すると、ヒカルが把握してくれるらしい。

頼むよ、ヒカル。


起立の状態から足を肩幅にひろげ、カッと目を見開く。

ヒカルに不規則に移動してもらい、それを目で追う。


おおおおおお!開☆眼!

開け俺のチャクラ!ドライアイ上等ォォォ!




ダメみたいだ。

ちっとも発生しない。


次は目を閉じて、脱力。

心の眼で視る的なそれを期待。


これもダメだ。


かれこれ1時間。

うーん、あんまり期待しないほうがいいのかなあ。

外的要因ではと思い、ヒカルにこちらに突撃してもらうが、能わず。

俺のおでこに弾むだけだ。


よし、切り替えよう。

『予見』なんて俺は持っていなかった。いいね。


次は『神速』だ。

'速'のステータスボーナスであることと、その名前から速度上昇スキルであることはほぼ間違いないだろう。


そもそも'速'とは何だろうか。

仮にスピードのことを指しているのだとすれば、「何の」スピードなのかしら。


単に移動のスピード?それとも攻撃の際の速さ?はたまた…。

とあれこれ考えてしまう。悪い癖だ。


何事も試してみようじゃないか。

ぐっとファイティングポーズをとる。

ボクシング漫画で見たフリッカースタイルだ。


俺は間柴、俺は間柴。

と集中し、軽くジャブを一発。


どわあ!


拳から暴風が発生した。


紙が吹っ飛ぶ。インクが倒れる。机が動く。毛布が壁に張り付く。

拳を前に突き出したまま固まる俺。


放ったジャブが思った以上に速かった。

バカみたいな表現だが、それ以上でも以下でもない。

ただ、「思った以上」のレベルが振り切れている。


「屁をこいたらうんこも出た」なんてものではない

「風が吹いたら桶屋が儲かった」くらいの衝撃。


「リョウ様

 新しいスキルの効果が判明しました。

 『神速』の効果により、攻撃の速度に補正がかかります」


これは移動も試してみる価値ありだな。

何せ逃げ足は俺の生命線だ。

明日、街の外で試してみよう。


『賢者』はヒカルが出てることで十分だし

『豪運』は条件と言われてもいまいちわからん。

普段の生活のうちで判明するのを期待するしかないか。


あとは得意魔法か。

これも明日だな。

土も雷も、室内で試すのはちと怖い。


「こんなもんか」とため息をひとつ。


中々の充足感。

初日にしては大成功でしょう。

死んで、生き返って、身分を明かして、自己分析。

待ち受けるのが過酷な日々であろうとも、今日だけは良くやったと褒めてやろう。


窓から顔を出し、人の往来に目をやる。

音楽があれば良いのになあなんてことを思う。


さて、飯でも食うか。

と立ち上がる前に…。


ふと思いつき、人々の動きに集中する。

集中・集中・集中。

発動してくれ『予見』!

これが最後のチャンスだぜ!


ほんの1,2秒で、ぼやっとしたものが見えた。

道行く人々がオレンジに、赤に、黄に。


「リョウ様

 新しいスキルの効果が判明しました。

 『賢者』の効果により、ポテンシャルの可視化が可能となりました」



お読みいただきありがとうございます!


もっと書き溜めて置かないとだめなのかしら。

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