ランクアップと今後の予定
あーびっくりした。
改めて話を聞くと、本当にララさんのお兄さんらしい。
よく見たらそっくりだな。
ララさんが行商人を紹介してくれた時の「きっと良くしてくれるよ」というセリフにも
言外に「お兄さんが」という意味が含まれていたのだろう。
店主に聞いても否定しないし、
信頼が商売道具であるような行商人が、こんな下手な嘘は吐くまい。
俺のことを知っているのも頷ける。
ララさんの肉親だったとは。
ただ、本当に俺の素性や能力については聞き及んでいないという。
そこら辺はちゃんとしてくれてるんだな、ララさん。
「まあ、ワーベア3体を単独撃破できるんだから並大抵の冒険者じゃないよね」
ふへへと下手くそな愛想笑いで誤魔化す。
どうかご内密にお願いしますよ、兄貴。
あまり目立ちたくない。
「今後も良きお客様になってくれるであろう君の意向に逆らうつもりはないよ。
どうか行商ロインをこれからも御贔屓に」
話を締め、席を立つ。
もちろん熊角はお任せした。
今の俺には宝の持ち腐れだ。
…デートのことは秘密にしておこう。
~~~~~~~~~
翌日。
また街の外に出た。
昨日受けた薬草採取依頼をこなすためだ。
さっさと収集してランクを上げちゃおう。
頼んだぞ、ヒカル。
「承知」
―
―――
さあ、終了。
ヒカルがいれば一瞬だ。
作業中に、思わぬ副産物を得ることができた。
人以外もオーラを放出している。
集中力向上のために常時『賢者』を発動しておいたおかげだ。
薬草やモンスターもオーラを放っていることに気付いた。
ポーションや武具などのアイテムも同様だ。
きっとアイテム作成や売却の時に関係するだろう。
うむ。
これは『鑑定』だね。
ヒト・モノ・モンスターを凝視することで対象のポテンシャルを推し量ることができる。
『賢者』とは別個のものとして呼称しよう。
今後ヘビーユーズしていくものだろうし、そうしたほうがしっくりくる。
ね。
「良いと思います」
~~~~~~~~~
「お疲れ様です。
こちらが報酬金です」
ギルドにて、ララさんに薬草を渡し依頼完了だ。
どうやら機嫌も良いらしい。
すんなりとランクアップの申請を通してくれた。
赤いラインのカードを返却。
代わりに、金属製のカードが渡される。
おお、氏名や年齢、得意属性が刻印されていてかっこいい!
仕上げに、とカードを水晶にかざすとオレンジ色のラインが浮かび上がる。
どんな仕掛けなんだろう。
「はい、これでリョウ君は晴れてオレンジになりましたー」
ぱちぱちーと口で言いつつ手をたたくララさん。
「ちょっと早すぎるけどね。
これからはLv.2、Lv.3の依頼も受けることができます。
とはいえこの街でLv.3の依頼って中々無いんだけどね」
なぜか申し訳なさそうにはにかむララさん。
ここで、改めてギルドと冒険者の存在意義を聞いてみた。
今後どう生きるかを決めるうえで小さくない要因になるだろうからね。
「そもそもギルドとは、このセイム大陸の安全のために設立されました。
モンスターや魔族、他大陸からの侵略などの脅威に対抗するためだね。
そのため全ての国・街のギルドは連盟となっており、横のつながりを超重要視しています。
そして、ギルドに籍を置く冒険者、リョウ君も含めてね、は貢献度によって評価され
連盟のギルドが設置されている街に自由に出入りできるようになるって訳。
それだけでも結構なメリットだよ、何せ一定まで関税が無効になったり、煩雑な入国手続きがいらなかったりするからね。
さらにさらに、上位ランクになったあかつきには、それ相応の見返りもあるよ!
Lv.3で奴隷の使役許可。Lv.4でギルドに専用の窓口と秘書、住居も提供されます。
ただ、それにはもちろん責任が伴います。
ギルドの一員であることは正義の証だからね。悪いことはできないよ!
また、自警団としての責務もあります。
身近で起きる事件や事故は、進んで解決するよう手配する必要があります」
びしっと人差し指を向けられる。
心得ました。
面白い話を聞けたな。
ギルドの成り立ち、役目か。
大広間を見回し、目を細める。
ここにいる面々も自分の責務を全うしているのだろう。
自分の生まれ故郷のために体を張って危険と対峙する。
胸が熱くなるな。
こちらまで誇らしくなる。
~~~~~~~~~
家に着き、椅子に腰かける。
「ヒカル」
今日のメニューは?
「いつものパン、肉と豆のスープです
完成までもう少し時間がかかりそうです」
よし、じゃあメシまで作戦会議をしよう。
議題は「今後、どうするか」だ。
'神'からは「好きに生きろ」と言われてるんだ。
楽しんでやろうじゃないか。この世界を。
――
―まずはギルドだ。
ランクごとの特権が知りたいな。
「ランクによる、大陸内での権利、メリットは」
とヒカルが説明してくれた。
Lv.1 身分証が与えられる。
Lv.2 より信頼度の高い身分証が与えられる。(これにより、街の往来や住居の購入・賃貸が可能となる)
Lv.3 奴隷の使役が認められる。
Lv.4 ギルドに専用の窓口と秘書が与えられる。国・街によっては住居が提供される。
Lv.5 重婚が認められる。
Lv.6 戦争の際に将軍格として参加(必須)。貴族と同等の位が与えられる。
Lv.7 領土が与えられ、一国の主となる。
ふむ。
なんか一気に世界観が解ってきたな。
奴隷・重婚・戦争・貴族・領土。
あまり関わりたくない単語も多い。
厄介ごとは極力避けて生きていたいものだ。
善良な一般市民というやつだな。
とは言え、明確な目標もできた。
近々の目標をランク上げにしよう。
まずはLv.3だ。
奴隷にも興味がないといえば嘘になる。
冒険するにも何かと便利だろう。
…なれるのかな。
俺、自分の実力がいまいち分かんないんだよな。
うむむと悩む。
能力の向上と相応の準備が必要だ。
うん。
俺は冒険者として生きよう。
期待してくれる人もいる。
それを叶えられる才能もある。
そして何より、こんな楽しい生き方あるだろうか。
ヒカルにそう宣言する。
「微力ながらお手伝いさせていただきます」
いつも通りぶっきらぼうな返事だ。頼りにしてるぜ。
まずは仲間が必要だな。




