依頼書と約束
俺らは外へ出るととりあえず資金集めのために
商人に話を聞き小遣い稼ぎができるという街の掲示板へ向かった
少し歩くと大きな看板が見えてきた、その商人が言うには大きな掲示板と言っていたがまさかと思いその大きな看板の下へと向かうと
「これか………ってか掲示板デカくね‼」
その掲示板は遠くから見るとただのデカイ看板にしか見えなかったが、近くで見ると20階建てくらいの大きな掲示板だった
そんな"まさか"な掲示板を前にしてもいつも通りの仕草で、かつ驚いて腰が退けてる俺を見もせずツッコミもせず冷静に1つ1つなにもなかったかのようにじっくりと掲示板に張ってある依頼書を見ては手に取り、手にとっては張り直す大羽、すると大羽は1つの紙を見つめて決めたかのように腰が退けて座っている俺に紙を渡してきた
「これなんかどうだ?」
と大羽が渡してきた紙には右上に((王国依頼書))と書いてあり人探しの依頼が書かれてあった
俺はその依頼書を受けるとお金の額に目がいった
「金は…に、に、200万フェリス!!」
俺はその高額に驚いた、そんな大声で驚いている俺にも大羽は動揺せず俺を立ち上がらせ、いつもの声で行くぞと言ったが俺は気になる点があり大羽を引き止めた
「おいおい、人探しって言っても写真も名前さえも無いんだぞ大羽、書いてあるのは特徴だけ、そんなん見つかりっこないっ……てぇーーーー!!!」
俺の言葉は最後まで言えなかった、というか驚きすぎて大声を張り上げたなぜなら大羽がその依頼書を裏面にし俺に見せてきたのだ、そこには見慣れた顔の絵と名前が書いてあった
「大羽、お前よく気づいたな…というか俺はその名前と絵にも驚いてんだけどな…」
その俺が指差した依頼書には俺の顔と名前が書いてあったのだ
「いや、風が吹いた時に光が当たって裏面が透けて見えてなんか書いてあるなと思ってパッと取ったら…って感じ、普通に考えて依頼書に裏面書かれてるのがあるなんて奇妙だろ」
それもそうだな俺でも取るだろう、だがなぜ俺のことが依頼書に書かれているのだろうかまだ来て少ししか時間も経ってないのに…なんかやらかしたかと考えていると
「よし、行くぞー」
と大羽に手首を捕まれ引きずられながら歩き始めた、そんな俺は大羽に問いた
「行くって言ったってどこに」
「そりゃ王国に決まってるだろ」俺はその大羽の即答に疑心も持たずそうかと納得し、城への道を商人や村の人に聞きながら向かった
「それにしても大羽、お前驚かないのかあんなデカイ看板とか、まだ来たばかりなのに手配状みたいになってる俺の顔の依頼書とか」
と俺が横から顔をだすと
「まずここは異世界なんだからあんなのでいちいち驚いてられないよ"奇想天外""喫驚仰天"これが異世界の普通だろ」
確かにそうだ、ここは異世界なのだから俺たちが知らなかったり見たことがないものもしくは俺たちの想像を遥かに越えるものやこと、などが多くあってもおかしくない、だがそう考えると先程まで驚いて腰が退けてた俺って…
「それから昇梨の顔の依頼書を出せる人と言えばこの世界で出会った人達、この街まで運んでくれた王族である王女アオナ様、お前をこの世界に呼んだ女性くらいだと思う」
大羽に言われよくよく考えるとわかってきた気がする、まずこの世界で会った人で王族であるのはアオナ、もしくは俺を呼んだあの女性が王族なら話が進む…けどそれならアオナはさっき会ったときに俺らを連れていけばよかったはず、と考えるとアオナが依頼書を出した可能性は低いななどと考えているうちに着いたようだ
「着いたな」
ああ、と俺が返答すると大羽は右手に俺の襟を持ち左手には先程の依頼書を門の前にいる銀の鎧を着た腕組みをしている二人の番人に見せつけた
「これは王国からの依頼書、そして依頼書に書かれている結村昇梨本人だ」
と自信満々に言うと二人の番人は近づき依頼書と俺の顔を照らし合わせた
すると番人の二人が顔を見合わせて後ろを向き
大声で叫んだ
「門を開けろーーーー!!」
その声とともに正面の門が開かれそして橋が降り城への道ができた
すると番人は俺達の護衛につくかのように俺達の後ろについた
俺は大きく息を吸い深呼吸したあと大羽と城へ入る、その時には門は閉められる途中で新たな番人が閉められる門の隙間から見えた
後ろから番人が声をだし城の案内をしてくれたおかげで、いかにも王様と姫様がいると思われる扉の前についた
俺は息を飲んだのと同時に扉が開かれた、そこにはやはりと言ってもいいほどに全くオーラの違う女性が一人黒子のように顔を隠し椅子に座っていた
俺達は右足から揃って部屋に入った
「ありがとう、もう下がっていいわよ」
この言葉に鎧を着た番人は片膝をつけ椅子に座る女性に一礼をして部屋から出た、番人が部屋から出るとまた扉はこの部屋にいるメイド達によって閉められた
「あなた方、もう少し前に」
と言われ俺は大羽の後を追うように少し遅れて歩いた、そして片膝をつき顔を下げる
「顔をあげていいわよ」
俺達はそれにならって顔をあげた女性は顔を覆っている黒子がしてそうなあれをあげて名を名乗った
「私の名はロマ・フェリス・アルテ、この国の第一王女」
俺はその名前よりも顔を見たときに体がゾクッとなり眼球が開いた
すると第一次王女ロマ・フェリスは俺に歩み寄り抱きついた
俺が動揺すると抱きつく力が強くなったのがわかった、そして俺から一歩引くと俺をみて彼女は涙目になりながらこう言った
「もう、成長するの遅いよ、昇梨くん…どれほど待ったと思ってるの」