戦いの末に
最初はお互い相手の様子を伺っているようだ、しばらくして先に動きを見せたのはロンだった
「五炎砲!(ごえんほう)」
言葉通りロンの背後には五つの砲台が浮かんでいる状態で現れた
「(ロンの奴、本気で大羽くんを殺しに行っているようなものだぞ)」
「発砲!」
その五つの砲台から火炎放射が放出され大羽に熱を持って襲いかかる
「大羽くん!避けるんだ!」
大羽はその言葉とは真逆に自分に向かってくる五つの火炎放射に走り始めた
「大羽くん!」
ウィザン師の言葉と同時に大羽は五つの火炎放射の真ん中をヘッドスライディングするように空中でくぐり抜けた
「…レーザーフィンガー…」
ドォォーーン!!
ロンは瞬時に大羽の技をギリギリでかわし空中に飛び出していたそしてロンの先程までいた位置に大羽は立ってロンを見上げている
「ふぃー、一時はどうなるかと思ったぜ、まぁ大羽くんがちゃんとあの本を読んでいて良かった」
「チッ、回避方法を知っていやがったか」
あの五炎砲の弱点は術者の背後から発砲するため術者の部分のみ正面から見れば空間が空いてる、その五炎砲の真ん中を上手く通れば術者に攻撃も可能なのだが、あちらもその弱点はとっくに克服していたようだな
「なら、次はこれだ!」
ロンは魔方陣を生成している、その様子を見て大羽も空中にいるロンに向かって魔方陣を生成する
「陽の光線!!」
黄色く光ったレーザーが大羽に放たれた
「ロン!大羽くんはまだ…」
ウィザン師は大羽の様子を見て口を閉じた
「混沌の闇線…」
黒色のレーザーが大羽の魔方陣から放たれロンのレーザーと衝突する
「凄い、凄いぞ!もう魔気を自己流で操れている!まだ何も修行もしていないのにここまで操れるとは、大羽くんは稀にみる天才だ!」
その声が聞こえたのか、ロンは一段階魔気をあげた
「フッ、経験の差が出てきたようだな」
大羽はおされているにも関わらず表情を一切変えない
「もう諦めたのか!まぁ、しょうがない…よな!」
ロンはまた一段階力をあげた
「まずい、大羽くんがおされてきている…」
大羽はロンの言動にも攻撃にも表情を変えないでいる
「(大羽くん、君は一体何をしようと…!?)」
「そろそろ降参したら!じゃないと身が持たないよ!」
大羽はどんどんおされている、攻撃をもう食らいかけない、だが表情は全く変えていない
「終わりだ!!」
そのロンのラストスパートは物凄い威力を発揮した
ドォォーーン!!
今までの破壊音で一番大きい音がした
「はぁ、はぁ、…勝ったぞ、勝った!」
ロンは勝ち誇りとても大きな声で笑い勝利を決定ずけている
「…収拾、石円柱」
その声はロンの攻撃した辺りの砂煙から聞こえてくる
「(ロンさん、あなたはとても強いと思う、だが理解をした上で魔法を使っているんですか…)」
「!!!なんで!なんで、立っているだ!」
砂煙が薄れていくとそこには右手に石で作られた円柱形を持った大羽が立っていた
「なるほど、大羽くんはロンの最後の攻撃の時ロンの魔気を貯めるタイミングを見計らってロンの上空からの死角に入った」
「そんな!まさか僕が!」
「(ロンさん、あなたのレーザーはとても大きかった、いや大きすぎたのが仇となったんです)」
ロンは空中にいるのがやっとの状態だった、先程の大羽への攻撃でほとんど全力を尽くしてしまったのだ
「行け…」
大羽はロンに向かって石円柱を投げた、石円柱は見事にロンに当たりロンは石円柱と壁に挟まれている
「クソッ!クッ!」
力の限りロンはどけようとしたが重すぎて動かなかった
「そこまで!!」
ウィザン師はここで試合を終わらせた
「クソ…クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!クソ!!…」
ロンはとても悔しいみたいで何度も同じ言葉を繰り返していた
そんなロンにウィザン師は近寄り石円柱を触れただけでバラバラにした
「ロン、お前も成長したな、たったこの一ヶ月間で」
「ですが!ですが!」
ロンは涙目になりながらウィザン師に訴えかけていた
そこに大羽も近寄る
「ロンさん、とても強かったです」
「情けは無用だ!勝者が敗者に近づくな!」
「ロンさん、あなたの今回の敗北となった要因はあのレーザー系魔法です」
そんな大羽の解説にウィザン師は止めに入ったが大羽は止めなかった
「あのレーザー系魔法はとても強いです、もし大きさでなくロンさんが質力をあげて打っていたら死角もなくなり負けていたと思います」
「ッ…それで何がいいたんだ」
「言いたいことは、ロンさんの方が全然上だということです」
ウィザン師はその言葉を聞いてロンに向かい激励をした
「ロン、お前は一ヶ月間でここまでの進歩を遂げた、これは普通じゃ考えられないことだ、だが言っていなかったが大羽くんはい星人なんだ、しかも日本人といって魔気を普段出せない種族なんだ、その種族が魔気を全開してみたらこの状態なんだ」
「い、異星人…」
そのウィザン師の説明にロンは言葉を失った
「だから大羽くんは未知なんだよ、俺にもこれからどうなるか全くわからない、だがロン!君はこの世界では最も天才に近いと言える!だからそんなに追い込まないでくれ!」
ロンはウィザン師の言葉で落ち着きを取り戻し嬉し涙を流した
その後ウィザン師は闘技場を復元し、大羽とロンは自室に向かっていた
「大羽さん、今日はありがとうございました」
「こちらこそ(というか戦闘中と全くキャラ違うな、二重人格か?)」
「それより大羽さんは凄いですね、自己流で魔気を扱えるなんて」
「でも、ちゃんとウィザン師に基本的な扱い方を教わります」
「それとあの石円柱?凄かったです!どうやって作ったんですか?」
「あれは簡単なことです、ロンさんの魔法で破壊した地面の破片を収拾して作り上げただけなんです」
ロンはその大羽の発言に対し目をキラキラ輝かしている
「収拾ってどうやるんですか!」
「え、収拾は初歩的魔法ですよ…」
「……あとで本…借りてきます」
自室に着くとロンは大羽の部屋の前で挨拶をしてロンもすぐに自室に戻った




