魔術師ウィザンと魔気
そんな大羽はフェリスに飛ばされており、全く知らない土地にまた立っていた
「……どこだ、ここ」
「こんにちは、君が大羽さんだね」
大羽はフェリスによる転移魔法で昇梨とは全く異なる場所に転移させられていた
「話は聞いているよ、さあこちらへ」
大羽は案内を受けその人についていった
「あなたは?」
「申し遅れました、私はこういう者でございます」
大羽の歩いてる目の前にその人のプロフィールがモニターとして出てきた
「ロンさん…もう大丈夫です」
「はい、ということで私はただの案内役でして大羽くんに魔法を教えるのは今から連れていく場所におられる方になります」
到着するとそこにはドーム型の建物があった
「では、中に入りましょうか」
「…」
中に入ると目の前には闘技場があった
「こちらです」
案内をされるまま大羽は闘技場の脇にある階段をあがり"ラボ"と書かれた室に入った
「連れてきましたよ、ウィザンさん」
「今話しかけるなロン、いいところだから」
「それでは僕から説明をしておきましょう、あそこでコンピューターを動かしているのが君の師になるウィザン師さんだ」
大羽はウィザンを見て不安になってロンに小声で話しかけた
「あの大丈夫ですか?本当に…」
「なにがですか?」
「なんというかあの人が僕に教えられ…」
その瞬間案内役のロンに口を瞬時に塞がれた
「大羽さんちょっと」
大羽はラボの外に連れ出された、そして先ほどの顔とは全く異なる真剣な眼差しでロンが話を始めた
「大羽さん、君の師になる人はこの世界でも三大魔法師の実力を持つ人なんです、だからもう少し尊敬を持ってくれた方が僕も助かるんですけど」
「でも、さっきラブコメのゲームを…」
ロンはコホンと一つ咳払いをして大羽に申し訳ないといった感じで頭を下げた
「だけど大羽さん、あの人はあのフェリス様とも並ぶほどの力の持ち主で悪魔法戦争時では最前線で戦っていた偉大な人で今では"生きる歴史人物"とも言われているんだ」
大羽はうなずき一言「わかりました」と告げた
その後ロンがもう一度中に入った
「ウィザンさんもういいですか?」
「ああ、いいぞロン」
「こちら地球から来られた武田大羽さんです」
「どうも俺の名はウィザン・リザード、ウィザン師と呼んでくれ」
挨拶を交わし握手を終えると、ウィザン師は早速大羽に魔気量を知りたいと言ってラボの隅にあるケースに入るよう指示をしロンには出ていくよう命じた
「よし、それじゃあ計るから力を抜いてくれ」
「はい、わかりました」
ウィザンはコンピュータをいじり始めケースを閉じケース内に液体をいれ始めた
「その液体は害はないし息も吸えるからリラックスしてくれよ」
「はい、わかりました」
ケースが液体満帆になると大羽は液体に全身浸かる形になった
「大丈夫か?息は苦しくないか?」
「はい、大丈夫です」
それからウィザン師は大羽の魔気量だけでなく全体の資料を勝手に取り始めた
「あのウィザンさん」
「なんだい」
「資料のまとめ中に悪いんですけど"魔気"とは一体なんなんですか?」
その質問でウィザンの手が一時止まったがまた動き始めた
「なんだ、フェリスから聞いてないのか」
「はい」
するとウィザン師の手はまた一時止まりそしてまた手を動かし始めた
「魔気というのは体に流れる1つの液体と気体が混ざった状態のモノをいう」
「ですが地球では人間の液体には水と血液くらいしか流れていないというのが一般的です」
ウィザン師は完全に手を止めてタバコに火をつけ、一服しながら話を続けた
「そうだろうな、まだ地球人には発見できてない…いや発見もできないかもしれない液体だからな」
「それはどういうことですか?」
ウィザン師は半分までしか吸っていないタバコを捨てて、手をまた動かし始めた
「それはだな、地球人にはまだ秘めたる力として解析されていない部分なんだ…そうだ、火事場の馬鹿力という言葉は知っているだろう」
「はい」
「そのとき人間は微量だが我々が呼んでいる魔気という力を発揮する、その魔気は血液と水の間の僅かな空間に通っているんだ、だから今の状態の大羽くんには魔気がない状態とも言える」
「ということは、魔気というのは誰もが持っているが発揮するには相応の出来事が起きないといけないということですか?」
「ビンゴ!!だからこのケースの中に入ってもらい君の魔気を無理矢理全開まで放出させる、一度完全に開いてしまえば2度と塞がることはないからね」
大羽は少し考えた、だとしたら人間は皆魔気を持っているが自分でコントロールはできない、しかも科学的にも発見できてないから魔気という存在事態がないということなのだと
「よし終わったぞ、今から液体抜くからな」
「はい」
「おい、ローン!タオルを一枚持ってきてくれ」
するとロンはタオルを持ってきてケースから出た大羽に渡した
「大羽さんこちらへ」
大羽はウィザン師の側に近寄った、そしてコンピュータ画面を見ると大羽のことについてびっしりと書かれていた
「まず君の体についてだが異常はない、そして体力はないが頭脳が優れている、魔気については最初の持ち量としては中級魔法師並みだ」
「ちゅ、中級魔法師!!大羽さん!君凄いじゃないですか!最初の持ち量で中級魔法師並みって!」
大羽はあまり理解していない様子だった、それに気づいたウィザン師は補足をつけた
「つまり君はいわゆる天才型というやつだ、これからの俺との修行が楽しみだな」
浮わついてるウィザン師に大羽は水を指すように言った
「とりあえず洋服もらえませんか」
・・・
ウィーン
ラボ出入口付近でウィザン師は大羽と立ち話をした
「とりあえずその服が魔法師の制服になる」
服装は特に特徴があるわけでもなく黒い服装に黒いコートを羽織っている感じだ
「ありがとうございます大切にさせて頂きます」
「そんな堅くなるなってもっとリラックスしていこう」
「はい」
「とりあえずこいつを渡すから1週間で目を通しておいてくれ、それじゃ」
ウィザンから渡されたのは分厚い本だった、中を開くと魔法についての説明や実際に使える魔法についての記述があった
「大羽さーん、ウィザン師さんからその本受け取ったんだね、それじゃあ君の部屋を案内するよ」
大羽はロンに案内され自室となる部屋に連れてかれた
「ここが大羽くんの自室になる100号室だよ」
「ロンさんありがとうございます」
「うん、それじゃあ頑張ってね大羽さん」
ロンは励ましの言葉を言ってラボに戻っていった
大羽は部屋に入るとすぐに机についた
「読むか…」




