アオナとお婆ちゃん
「あー、そういう関係があのお婆ちゃんとあったのか」
帰り道の途中お婆ちゃんとアオナの関係性についての話を聞いた
「うん、だからそういうことなんだよ」
ここだけ見ても話が見えてこないだろうから帰り道の話の回想に入ろう
…巻き戻し…
「それよりアオナはなんであんな店を知ってるんだ?」
「あぁ、それはね、私の家族関係が関わってるの」
アオナの家族関係に関わるのだとしたら、あのお婆ちゃんもただのお婆ちゃんなはずないよな…
「私の小さい頃の話になるんだけどね…その頃私にはまだお父さんがいたの」
アオナは話を始めてくれたが少し悲しそうな顔をしていた
「お父さんに私と姉のアテナは連れられてあの店に行ったの、思えばあの時が初めて城から出た、外の世界を知ったときだったな…」
アオナはこれでも…これでもと言ってはなんだが
お嬢様なんだよな、これで高級料理とブランド品しか着てなかったなんて言ったら俺の想像通りのお嬢様になるな
「アオナ、それはアオナがいくつくらいの時の話になる?」
「そうね、7つくらいかしら」
7つか…7つで初めて外の世界を知るって恐れ入るわ
「話戻るけど、それでお父さんが初めて連れてきたのがあの武器屋のお店だったの、あとそれから少し経ってから知ったんだけどあのお店貴族御用達の店らしいの」
そこまでくると本当に凄いな、アオナもあのお店も…今更だがボロッちいだのなんだのいってごめんなさい…
「それから私とアテナはよく宝探しごっことか言っては、お婆ちゃんの言う一番の代物を探し出せるまで探したな~」
遠くを見ながらアオナがそんなことを言うところを俺は見とれていた
見とれていた俺にアオナは気づくといきなり叩いてきた
「イテ!なんで叩くんだよ!」
「今思ったけどなんで私があんたなんかに思い出を話さなきゃいけないのよ!」
そういいながらまた叩かれた
「イテ!でも途中から自分で俺の知らなくてもいいところも話始めたんじゃないか!」
「それは…あんたがどーしても知りたそうな顔をしてたからわざわざ話してあげたのよっ!」
わかりました、わかりました俺が悪かったですよ
俺はため息をつき話の続きを聞かせてもらえるようにお願いした
「そんなに知りたいなら教えてあげる」
凄い上から目線だな、ア・オ・ナ・さ・ま・!
「お婆ちゃんの代物を毎回探し出したのはあたしなの、お婆ちゃんがいつも全く動いてないことにきづいてお婆ちゃんの周りを怪しいと思って調べ始めたらお婆ちゃん、顔を真っ赤に染めちゃって、フフッ」
アオナ、笑ったときは物凄く可愛いのにな
「それでお婆ちゃんの座ってる畳の下を調べたら毎回凄い代物が入ってるの!今回もそうだったのよ」
お婆ちゃん毎度毎度お疲れさまです!
アオナはその後もお婆ちゃんのところに行っては代物を探してはもらっていたらしい…
「思えば、お婆ちゃんは私が最初見つけ場所と同じ場所にずっと隠してるのよ、だからすぐ見つけられるんだけどなんで変えないんだろう?」
アオナはわかってないのか?そうしとけばアオナが絶対会いに来てくれるからに決まってるだろう
「でも、昇梨の聞きたかったところはこの辺かしらね」
と、まぁアオナとお婆ちゃんの関係はこんな感じだ
「おし、着いたー!」
回想も終わると家に到着していた
家に入ると買った食材を保存用冷蔵庫にいれ始めた
「アオナ、ありがとうな、この剣」
アオナは食材を入れつつ、そんなのいいよ、という手振りをみせた
「それより早く昇梨は強くならないと、これからこの社会でやっていけないよ、色々と」
「色々?」
「そう色々と…色々と…」
アオナの2回目の「色々と」には何か深い意味が込められているように思えた
俺らはとりあえず食材を一通り入れ終わるとソファに座り一杯お茶を飲んだ
それから今後のスケジュールをアオナがモニターを出しながら説明し始めた
「とりあえず今日から1ヶ月間昇梨の修行について詳細に話すわ、まず最初の1週間で体力と肉体作り・2週間目で偽剣を握って剣士の初歩を覚えてもらいます・3週間目は私と組手を1週間続けます、そして1ヶ月間最後の週は獣狩りをしてサバイバル実践をするわ」
長々とした話だったが俺のことをよく考えてくれているスケジュール設定だと思う、体をもう一度引き締め剣を握ったことがない俺に剣の扱いを馴染ませるための1週間、その後は実践あるのみという感じだな
「ありがとうアオナ!この1ヶ月間が楽しみに、いや、この世界での生活が楽しみになってきた!」
俺は思わず笑みをこぼしながら言葉が溢れた、それはこの世界の生活に俺がワクワクしている証拠だ!
「ば、馬鹿じゃないの!?まだこの世界に馴れてないあんたをいじめるのにいい機会だと思っただけだから!体力と肉体作りだって鬼になるから!あんたをひぃひぃ言わすからね!組手のときだって"手"絶対抜いてやらないから覚悟しといてよね!」
…なんか…お礼言ったら怒られました…しかも手加減抜きとか…こいつ限度わかって言ってるよな…頼むから…
「あ、あはは、まぁとりあえず1ヶ月間よろしく頼むよ」
「別にあんたに頼まれてやるんじゃないから、私がいじめたいがためにやるだけだから…そこんとこ間違えないでよね!!」
…俺よろしくって言っただけなんですけど…
一通り話が終わると俺は外のデッキに出て星空を見上げた
「この世界の生活が始まる…楽しみだ!!」
「うるさい、あと頑張らないと大羽君?だっけ、その子と凄い差がついちゃうわよ」
後ろから要らない一言を突きつけられたが、そんなこと俺もわかっている
俺はもう一度星空を見上げ心の中で誓う
「俺は負けないぞ大羽」




