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2.ステータスオープンしてゴブリンに無双して第一ヒロインに惚れられるまで。

 ヒュルルルルル――


「――ああああああああああああああああぁぁぁぁ!!!」


 ズッドォォォーン!


 ずいぶん長いこと落っこち続けたが、ようやく地面とディープキスできたぜこの野郎!

 念願のファーストキスは泥の味と砂の感触とかド底辺の俺にはお似合いってかチキショーメェ!


「クッソ、あの腐れホタルめ……次に会ったらただじゃおかねェ……」

『うー、それは怖いですねぇ。何されちゃうんでしょうかワタクシ、くわばらくわばら』

「はや!? 再会はっや!?」


 泥をぬぐいつつ立ち上がった俺の目の前に現れたのは小さな光、腐れホタル!


「テメェ腐れホタル! ここで遭ったが百年目、覚悟しやがれ!?」

『ノンノンノン、違いますよ梅虎さん。ワタクシは創造と維持と破壊を司る愛と美と花と蝶の女神、ラマラマです』


「属性多いな!? つかそれを言うなら俺だって梅虎じゃなくて虎梅だっつーの!」

『じゃあワタクシを女神ラマラマと呼んでくれれば正しい名前でお呼びしますよー』


「おう分かったぜ腐れホタルの女神ラマラマさんよォ!?」

『分かってくださればいいんです処女不良娘バージンヤンキーの虎梅さんよぉ!?』


「……分かった、分かったから人の弱点を的確に抉るのはやめろ繰り返す弱点を的確に抉るのはやめろ」

『相当気にしてたようですねぇ。せっかく可愛い顔してたんだから、テキトーに男引っかけて卒業しちゃえばよかったのにー』


「かっ、可愛いってオメー! テキトーなお世辞コイてんじゃねーぞこのやろう!」(テレテレ)

『うわめっちゃ嬉しそう』


「……ん? つかなんで『可愛い顔してた』って過去形なんだよ!? 今はちげーってのかコラ!?」

『違いますよ? だってほら』


 そう言って腐れホタル――女神ラマラマは不思議な力で姿見を出現させる。マジなんでもありだなこいつ……。


「って、なんじゃこりゃああああああああぁぁ!?」


 兄貴!? 兄貴じゃねーか!? 姿見に映ってるこの姿はどーみても俺じゃねェ! あのクソ兄貴の姿だ!

 へらっとして覇気のねー顔! のくせに日々の弛まぬ鍛錬で身につけた筋肉は鎧みてーな分厚さの! 俺のことをいつまで経ってもガキ扱いして猫っ可愛がりしやがるうざってー兄貴の姿そのものだ!


「おいラマラマ! こりゃ一体全体どーゆーこった!? なんで俺が兄貴の姿になってやがんだ!?」

『なんでってそりゃー、本当は異世界転生するのはアナタのお兄さん、梅虎さんの予定だったからですよ。でも名前が似てるせいで間違えちゃったんで、仕方なくアナタの魂をワタクシが用意した梅虎さんを模して作った肉体にブッ込ンだんです』


「フザケンナ! せめてやり直して俺の身体に作り直しやがれ!」

『無理ですよぉ。だってもうワタクシ、力のほっとんどを使い果たしてしまったんですもん。もうすっからかんのからっけつです。だいたい、ワタクシの本体は未だ異次元に封印されたまま。この姿は僅かな力で作った端末みたいなものですし、なんともかんとも』


 あっけらか~~んと言いやがる! この腐れホタルがッ!


『まあまあ、でもその身体も悪くないと思いますよ? なんと言っても、このワタクシが様々なスキルを練り込んで作った肉体ですからね。……例えば、ステータスオープン! と言ってみてください』

「な、なんだよそれ?」

『いーですから、ほら、気合いを入れて!』


 ちっ、仕方ねーな。


「ステータスオープン!」

『解放!』


 ブゥン、とビームサーベルみてーな音を立てて、俺の目の前に半透明状の板が出現した。

 その薄緑色の板には親切にも日本語でなんか色々書かれてる。


「なになに……?」


 ステータス:

 名前:逆神梅虎

 性別:男

 年齢:20

 種族:ヒューマン

 ちから:S

 たいりょく:S

 すばやさ:S

 かしこさ:S

 まりょく:F

 こううん:S

 みりょく:S

 所持スキル:HP無限 状態異常無効 ラーニング ステータスチェック アイテムボックス 孤児院運営技能1級 金貨枚数カウント技能1級 交渉術Lv・MAX 鑑定眼Lv・MAX 調合術Lv・MAX 錬金術Lv・MAX etc.etc……


「おい、なんかすげーことになってンぞこれ。Sってのはあれか? 最高ってことか?」

『モチのロンですよ。同じSランクに相当する能力の者は、この世界にはほんの数人しかいません。しかもそのいずれもが一つの能力に絞って鍛えた専門家みたいなものです』


「あ、さりげなく魔力だけFランクじゃねーか。なんでだよ?」

『理由は二つです。一つは、ワタクシ自身にほとんど魔力が残されていないため。もう一つは、単純に必要ないからです。敵は全て物理で殴って倒せますので』


「ンだよ。折角ならいろんな魔法バンバン撃って見たかったのによォ」

『おっ! 乗り気ですねぇ? それなら魔王を倒してワタクシの封印を解いてくれたら、お礼に魔力もSランクにして差し上げます! そうすりゃ好きなだけ魔法を使いたい放題ですよ? 黒でも白でも赤でも青でも! なんでもござれのござえもん!』


「(テンションうぜェ……)その魔王ってのはどこに居ンだよ?」

『(テンションうぜェって言うなし……)もちろん、魔王城です。ここから遙か北の果て、魔界と呼ばれる領域に魔王の城がありますです』


「おいおい、なんで最初っから俺を魔界に転送しねーンだよ? このステータスなら魔王相手でも負けねーだろ」

『まぁ負けはしないと思いますが、魔王の魔力はSランクなんですよ。魔法で罠を張っている可能性は十分に考えられたんで、大事をとって離れた場所をスタート地点に選んだってゆースンポーです』


「なるほどな……。とりあえずは分かった。あと一つだけいいか?」

『なんじゃらホイ?』

「せめて名前だけは虎梅にしてくれよ!」




 不本意ながらも異世界転生デビューを果たしちまった俺こと逆神虎梅は、一人森の中を歩いていた。

『とりあえず近くの町に向かいましょう。この森を抜けた先にあるらしいですよ? じゃけん早く行きましょうね』


 ――このクソ羽虫は一人じゃなくて一匹なのでノーカウントだ。


「きゃああああああああああっ!」


 !? この絹を裂くような悲鳴は!?


『早速きましたよー! イベント発生です!』

「ちっ、めんどくせー! オイ、急ぐぞ!」


 俺はすばやさ:Sの脚力を生かして突風のような勢いで木々の間を駆け抜けていく。

 するとすぐに声の主と思われる一人の少女と、そいつを取り囲むようにして陣を組んでいる緑色の小人みてーな奴らを発見した。数は、ざっと数十匹。


『あれはゴブリンですねー! なんてこたーない、ただの雑魚モンスターですよ!』

「じゃあ軽く蹴散らすか!」


 うおらああああっ! と、まずは先制跳び蹴り攻撃! 衝撃波でまとめて10匹くらいぶっ飛ばす! 直撃した奴は血煙になって消滅した! ……威力やばない? これ。


 驚き慌てふためくゴブリンどもを、俺はちぎって鼻毛……もとい、ちぎっては投げ。

 元々喧嘩は得意だったが、こうも紙クズみてーに敵が倒せると気分が良いなァおい!


「コッ、コイツツヨイ!」

「ドウシヨウ、コノママジャゼンメツ!」

「イヤマテ、キテクダサッタゾ!」

「リーダー! リーダー!」

「キタ、ゴブリンリーダーキタ!」

「コレデカツル!」


 ピーチクパーチクうるせーな! 誰がキタってぇ!?


 ――バキバキバキッ。(大木がへし折れる音)


 ピーチクパーチク!(野鳥が一斉に飛び立つ音)


「……」(ヌウウウウウン)


「……でっけェなオイ」


 それは身の丈20メートルくらいありそうなゴブリンだった。20メートルって言ったらアレじゃねーか。マジンガーよりデケーじゃねーかどうなってんだオイ。


『大丈夫ですよ! グレートよりは小さいです!』

「そーゆう問題じゃねーだろが! どーすんだアレ、倒せンのか!?」

『なに言ってンですか! 余裕のよっちゃんイカですよ! 試しにテキトーにパンチしてみてください!』


 本当だな!? 信じるぞ!?


「タイガーパーンチ!」


 メギョッッ!!!!!


 どひゅううううううん!


 ――キラーン。


 ……なんともあっけなく、ゴブリンリーダーは本日の一番星となったのだった。



「本当にありがとうございました! なんとお礼を言っていいのか……」


 ゴブリンどもを全て始末した後、俺は助けた少女からお礼の言葉を受けていた。


「いや、いいってことよ」


 楽勝だったしな。礼を言われるほどのことじゃねーわ。

 ……しっかしなんだ、こいつ、結構可愛い顔してんな。歳は俺とタメくらいか? たぶん16、7くらいだろ。正統派の美少女ってーのはこーいうのを言うんだろうな。


 俺の周りには居なかったタイプだわ。マジで俺の周り、太ったあばた顔とバッテンマスクみてーな奴らしか居なかったからな、新鮮だぜ。


「あの、できたら是非お礼を! 私の家に泊まっていってください」


 んー、そうだな。どうせ一晩を過ごす場所は必要なんだし、厄介になっとくか。


「おう、んじゃ頼むぜ」

「はい! えへへ、私、パンジィって言います」


 そう言ってパンジィははにかみながら、俺の腕に自分のそれを絡ませてくる。

 ……顔に似合わず、以外と大胆だなコイツ。ひょっとして、みりょく:Sの効果か?


「あ、ああ。俺は虎梅だ」

「トラウメさま……。素敵なお名前ですね!」

「そ、そうか?」


 名前褒められンのは初めてだな。正直、自分で言うのも何だが変な名前だしな。まあ、悪い気はしねェ……。


「家に帰ったら、手料理をごちそうさせてください! 腕によりをかけますから」


 ふにょん。

 俺の腕にやわらかな感触。

 まあなんだ……。おっぱいだな、これは。

 生前の俺には縁が無かったものだ。ド貧乳で悪かったな? やンのかコラ? ……まあ、今の身体じゃもうカンケーねーけどな。


(んん?)


 なんだ、身体が妙に熱いぞ? っかしいな、まさか病気か? いや、状態異常無効ってスキルがあったから違うな。なんでだ?

 むむ、なんか下腹部に集中して熱が集まってる気がするぜ。くそっ、なんか落ちつかねェ……。


「それでですねー……――」


 隣ではずっとパンジィが何かしゃべっていたが、俺は自分の身体の異変についてずっと考えていて、それどころじゃなかった。


 いったいどうしまったんだよ俺の身体ァ!?

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