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序章
世界は三層から成っていた。
光に包まれた天なる地。
四季が巡る常世の地。
闇に閉ざされた腐敗の地。
そして、その層を繋ぐのは、神なる道と呼ばれる光の筋。選ばれた者しか通ることの許されない道である。
それゆえに、多くの者はその層の中で生活し、その層の中で死に絶えていく。
それが彼らのすべてであり、世界はそう廻っていた。
けれど、変革のときは、じわり、じわりと訪れようとしている。
奴隷が生活する腐敗の地に珍しい色合いの子供が生まれたのだ。漆黒をまとう腐敗の地の住人の中では特異な、銀の髪に金の双眸を持つ子供。
暗く澱んだ腐敗の地の中で、その輝きはだれもの目を引いた。
やがて子供に転機が訪れる。
奴隷という身分でありながら権力者が集う天なる地に住まうことを許されたのだ。
子供の運命の輪が廻る。
廻る、廻る。
――くるくると。
ゆっくり、ゆっくりと確実に。
だが、その宿命に気づいた者は、ただひとりを除いてだれもいなかった。




