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三話 寺野

次の日は普通に学校に登校し友達と教室でしゃべっていた。

「そういえば川又は何部に入ったの?」

「うん。セパタクロー部に入ったよ」

「セパ?なんだそりゃ」

「まぁいいんだよ・・・・」

そんな会話をしていると廊下のほうから唸り声が聞こえてきた。

そして教室のドアを勢いよく開け「川又君はいるかい?」と威勢のいい声が聞こえてきたのだ。寺野先輩だ。

クラスの連中は寺野先輩に圧巻されて寺野先輩に注目をしていた。

「・・・寺野先輩。廊下で話しましょう」

「うん!そうだね」

とりあえず寺野先輩をつれ廊下の隅で話を聞くことにした。

「なんですか寺野先輩。」

「今日の放課後暇だよね?」

「まぁ、そうですけど」

「じゃあ放課後部室に来てね!」

「わかりました・・・・っていうか部員なんですから行くのは当然じゃないですか?」

「いや、だって部員がようやく入部してくれたからさなんかうれしくなっちゃって。昨日寝れずに騒いでたら妹に跳び蹴りされたよ・・・・」

「・・・まぁ放課後行きますから。もうホームルーム始まるんでいいですか?」

「わかった!じゃあ絶対来てね!!」

そういい終わると川又先輩は走り去っていた。ほんとにすごい人だ。

クラスに戻ると友人が「あの先輩がセパ部の先輩なの?」と聞いてきた。

「まぁね・・・」

肩をたたき「お疲れさま」と言われ私は少し落胆してしまった。

「あれ?川又君」

「なに城嶋さん?」

城嶋さんは私のクラスの女子であり男子の中では、恋人にしたいランキング一位らしい。まぁ、タイプじゃないけど。

「あれって、寺野先輩じゃないの?」

「そうだけど、それがどうかしたの?」

そういうと城嶋さんがものすごく驚いた顔で「えっ、なんも知らないであの人と関わってたの!?」と言ってきた。久々に人が目を見開いてるのを見た。

「なんだよ急に・・・。そんなにすごい人なの?寺野先輩って」

そういうと城嶋さんは深呼吸をして少し睨み付けるようにして話し始めた。

「いい?寺野先輩はこの学校で一番の成績っていうか全国でも一、二を争う成績を持っている人なの。そして中学校の部活動では弱小校だった先輩の母校をリーダーとして引っ張り全国制覇を成し遂げたのよ。だから制覇した時にはいろんな有名私立高校に入学してくれ~って言われてたんだけど全部断っちゃったのよ」

「なんで?」

「飽きたんだって。サッカーを極めちゃったらもうつまらなくなっちゃったんだって。それで高校進学は親友がこの学校に進学するからという理由でこの学校に進学。もちろんトップ合格よ、トップ。それほど寺野先輩っていうのはすごい人なのよ。あぁいう顔しててね」

話し終えると城嶋さんは疲れ果てたような顔で席に戻っていった。少し過呼吸気味だ。

だけども僕はまだ話を飲み込めずにいた。城嶋さんの話し方が悪かったんだろうか?それとも僕の理解力が無さすぎるだけなのだろうか・・・・・。


――


放課後、教室から部室へと走って駆け付けた。

「寺野先輩・・・・。遅くなってすみません・・・・・・」

「あっ。大丈夫だよ!スポーツドリンクでも飲むかい?」

「大丈夫です・・・・」

深呼吸をして呼吸を整え寺野先輩にこう話を切り出してみた。

「寺野先輩!」

「はひぃっ!?」とよくわからない声が寺野先輩から出てきた。手に持っていた湯呑が落ちそうだった。まぁなんで運動部に湯呑があるのか疑問だけども、今はそんなこと考えてる暇はない。まずは城嶋さんの情報が本当かどうか確かめないと。

「中学時代サッカー部だったって本当ですか?」

そういうと城嶋先輩は「うん」と軽い返事を返してお茶をすすった。

「成績が全国クラスというのも?」

「うん」

「進学理由が親友が進学するから決めたというのも?」

「うん」

「全部本当なんですか?」

「うん。・・・・っていうか突然どうしたの、川又君」

寺野先輩は普通に返してくる。決して自慢するようでも恥ずかしそうに言うのではなく、ただいつも通りに返してきた。

「いや、そんな風には全く見えなくて・・・・」

「うん!よく言われるよ。まぁそんなことはどうでもいいだろ?」

「いや気になりますよ!」

「どうせ過去の事なんだ。今更語ったって何も変わらないだろ。それなら今後にかかわる話をしようよ」

「なんですか今後にかかわる話って?」

「えっ!忘れちゃったの」

城嶋さんのような顔をしてこっちを見てきた。湯呑をしっかりと机に置いてからこっちを見てきた。

「言ったじゃん、今日部員勧誘しに行くって」

「あっ。忘れてました」

「まぁいいや。来てくれたし」

「でももう放課後ですよ。校舎には誰も残ってませんよ?」

「うん。分かってるよ」

そういうと寺野先輩は自信たっぷりに大きな声で行った。

「いまからサッカー部、バレー部の補欠を勧誘しに行きまーす」

笑顔だ。昨日よりもさらに笑顔だ。

「どういうことですか?」

「今話した通り、今から他の部活動を勧誘しに行くんだよ」

「いや、なんで?」

「だって部員取らないと廃部になっちゃうから」

「そうじゃなくてなんでほかの部活からなんですか?」

「きのう話さなかったっけ?セパタクローはサッカーとバレーボールを足して二で割ったようなスポーツだっていうのを」

「聞いてないですよ」

「まぁいいじゃん。とりあえず・・・・」

そういうと私の襟元をつかんで寺野先輩は「さぁ行かん!まずはサッカー部へ!!!!!!」と叫び私を引きずりながらサッカー部へと向かった。

本当にこの部活に入ってよかったのか、というかあの話絶対嘘だと思いながら私はサッカー部の部室へと到着してしまったのだった・・・・・。


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